あらすじとネタバレ

兄を欺くための恋の演技

まず、兄の玄烈(げんれつ)が弟の璟和をガッツリ疑ってる。上巳節の夜に璟和が眉林(びりん) と一緒にいたのだって、絶対裏があるはずだって睨んでるわけだ。部下に命じて、二人の動向をしっかり監視させてる。

璟和の方も、兄の監視は百も承知。本当の狙いは西山鉱山を探ることだけど、警備が固すぎて手が出せない。だから、兄を油断させる作戦に出る。それは、眉林(びりん) に本気で惚れたと信じ込ませること。恋に溺れたフリをして、兄の目をごまかすんだ。ここから璟和の猛アタックが始まる。

不器用な舞と意外な優しさ

璟和は毎日みたいに鴻胪寺に通い詰める。眉林(びりん) が舞の練習をしてるのを、ただじっと見てるんだ。眉林は剣や刀を扱うのは得意だけど、舞はからっきしダメ。手足がぎこちなくて、まるで操り人形みたいなんだよな。

それを見かねた璟和が、自ら太鼓を叩いてリズムを取ってやる。すると不思議なことに、眉林は武術の動きを応用して、少し自然に踊れるようになる。それでも教習係のおばさんには怒られて、罰として2時間も立たされる羽目に。

普通ならここで終わりだけど、璟和は違う。罰で立ってる眉林のところに人をやって、傘をささせたり扇子で扇がせたりする。罰のはずが、まるでVIP待遇。周りの美人たちからは羨望の眼差し。教習係もこれには文句を言えなかった。

すれ違う兄妹の想い

一方、宮殿では別の物語が進んでる。子顧(しこ)公主は、護衛の書墨(しょぼく)が亡くなったことを悲しんでた。彼の故郷の花を植えようと庭の土を掘っていたら、危うく父である炎帝(えんてい)が大事に育てていた牡丹を掘り返すところだった。

でも炎帝(えんてい)は娘を叱らない。むしろ花匠を手配して、子顧(しこ)が花を育てられるようにしてやるんだ。優しい父親だよな。

子顧(しこ)に対しても複雑な気持ちを抱えてる。隠し事をされた怒りと、もうすぐ兄が国へ帰ってしまう寂しさ。昔、兄が人質として大炎に来る時、意地を張って見送りに行かなかったことを後悔してる。でも今の彼女はもう子供じゃない。今度は私が家族を守るって決意するんだ。

恋のライバル、直接対決

場面は戻って、眉林の誕生日。越秦(えつしん)がプレゼントを持って、ついに告白しようとやって来る。いい雰囲気だったんだ。本当に。

そこに、あの男が現れる。そう、璟和だ。最悪のタイミングで登場して、越秦(えつしん)とバチバチの火花を散らす。眉林は二人の間で完全に板挟み状態。璟和の行動が兄を欺くための演技だって頭では分かってる。分かってるのに、眉林の心はざわつき始める。

誕生日サプライズと本物の心

璟和は眉林を舟遊びに連れ出す。そして、自分が戦で見たという青い星の川の話をする。それは川に住む浮遊生物が光る、幻想的な光景だったらしい。話が終わると、璟和は川にたくさんの浮遊生物を放つ。目の前に、あの青い星の川が再現されたんだ。

これだけじゃない。璟和は、眉林の本当の誕生日を知っている唯一の人物だった。彼女の好物である灯果餅まで用意していた。眉林はもう嬉しくてたまらない。

故郷の味に両親を思い出して少し寂しくなった眉林のために、璟和は即興で家族の似顔絵を描いてやる。ちゃんと生きて、春花餅のお店を開きたいという彼女の願いを聞くと、太子を倒したら、店を開いてやろう。利益は折半だと約束する。

演技のはずだった。でも、この瞬間、眉林の心は本気で璟和に傾いていた。

翌日、璟和は鴻胪寺に指示を出す。眉林のためにお菓子を作れ、と。ただし、味は二の次でいい。見た目を綺麗にしろと付け加える。眉林は以前、味覚がない自分は見た目が綺麗ならそれでいい、と話していた。璟和がその言葉を覚えていたことに、彼女は心を温かくする。

でも、この話はスパイの劉嬷嬷(りゅうまま)を通じて玄烈の耳に入る。璟和が眉林の味覚障害を治そうと医者を探し回っていたことも全部バレる。玄烈はそれを聞いて大喜び。弟がただの駒のはずの女に本気になったと勘違いしたんだ。自分の計画にとって好都合だと、ほくそ笑んでいた。

第10話の感想

いやあ、今回の璟和は策士すぎてちょっと引くレベルだったな。兄を騙すためっていう大義名分があるけど、やってることが本気の口説き文句ばっかりなんだよ。青い星の川を再現するとか、本当の誕生日を祝って灯果餅を用意するとか、普通に考えたら惚れてなきゃできないだろ。演技と本気の境界線がどんどん曖昧になっていく感じがたまらない。

眉林がそれに戸惑いながらも、確実に惹かれていく描写がすごくリアルだった。頭ではこれは嘘だと分かっていても、あんなに優しくされたら心が動くに決まってる。特に、味覚がない自分のために見た目が綺麗な菓子をって指示するシーンは、細やかすぎて鳥肌が立ったよ。

一方で、越秦がとにかく不憫でならなかったな。やっと告白しようとしたらライバル登場って、どんな少女漫画だよ。彼の真っ直ぐな想いが報われないのが見ていてつらい。

そして一番面白いのが、兄の玄烈。弟が自分の手のひらで転がされていると信じて疑わない。璟和が本気で眉林に惚れたと勘違いして喜んでるけど、実はそれこそが璟和の狙い通り。一番の策士のつもりが、一番踊らされているっていう皮肉な構図が最高だった。

つづく