眉林(びりん) は過去を捨て、花娘子という新しい名前で生き始める。そんな彼女の姿を、慕容璟和(ぼようけいわ)は罪悪感を抱えながらも陰から静かに見守っていた。彼は彼女の新しい商売を人知れず手助けする。その頃、皇宮ではあまりにも悲しい別れが訪れ、炎帝(えんてい)は国のために苦渋の決断を下す。眉林が自分の菓子店を開いた日、ある事故がきっかけで慕容璟和と顔を合わせる。二人の距離が少し縮まったかのように見えたが、その裏では新たな陰謀が進行していた。やがてその危険は、眉林のすぐそばまで迫ってくる。

「春花焔~Kill Me Love Me~」あらすじネタバレ29話

新しい人生と、見守る男

眉林(びりん) は名前を変えた。今は花娘子だ。燕来香館でベールを被って暮らしている。本当の顔は誰にも見せない。阿伊(あい)と阿伽(あか)は、眉林(びりん) の性格が変わったと感じていた。それでも彼女が笑っているのを見ると、こっちも嬉しくなるよな。

その頃、慕容璟和(ぼようけいわ)はストーカーみたいになってる。近くの場所から、じっと眉林のことを見ているんだ。彼女がどれだけ辛いか、痛いほどわかっている。だから何も言わずに見守ることしかできない。それが今の彼にできる唯一のことだった。

皇宮の悲劇

西焉では、越秦(えつしん)が治療を受けていた。西焉王が腕利きの医者を呼んだらしい。この試練を乗り越えれば、過去は水に流すってさ。体が不自由な王はいらないってことだ。厳しい世界だよ。

その頃、都では子顧(しこ)が悪夢で目を覚ました。兄のことが心配でたまらない。突然、彼女は激しい腹痛に襲われる。下半身から血が流れて、炎帝(えんてい)はパニックになった。すぐに医者を呼んだけど、もう手遅れだった。

子顧(しこ)は流産して、そのまま出血が止まらなかった。死ぬ直前、彼女は炎帝(えんてい)の手を握った。昔、寿命を20年差し出して神様にお願いした。それが現実になったみたい彼女はそう言った。来世では、政略結婚の道具になりたくない炎帝は涙を流して約束した。来世では俺が君を西焉まで探しに行く。絶対に辛い思いはさせない

子顧は静かに息を引き取った。炎帝の悲しみは深かった。彼は一日一夜、部屋に閉じこもった。でも、今は悲しんでばかりもいられない。西焉の情勢が不安定だ。主戦派がこの機に乗じて騒ぎを起こすかもしれない。炎帝は子顧の死を隠すことに決めた。葬儀は内密に行う。そして侍女の茶谷に密書を持たせた。青州にいる景王経由で、越秦(えつしん)に渡すためだ。越秦が西焉を完全に掌握したら、改めて皇貴妃として盛大な国喪を行うつもりだった。

再会と、ばれない嘘

慕容璟和(ぼようけいわ)は、陰で眉林の商売を助けていた。長楽坊の女将に、眉林の店から香包を大量に注文させたんだ。もちろん、自分の名前は出さないように釘を刺して。清宴(せいえん)はそれを見ていた。花娘子として生きるのも、少君妃の立場から解放されて良いのかもしれませんね彼はそう言った。慕容璟和は首を横に振る。自分が人選を間違えたせいで、彼女を危険な目に遭わせた。その罪悪感でいっぱいだった。

その後、眉林は姉妹たちの協力で自分の店を開いた。春花餅舗だ。開店祝いの爆竹が鳴り響く。そのうちの一つが、おかしな方向に飛んできた。危ない!と思った瞬間、慕容璟和が飛び出してきて眉林をかばった。突然の登場にみんな固まる。どう説明するんだよ、これ。でも慕容璟和は彼女の正体を明かさなかった。むしろ、自分が花娘子の知り合いであるかのように振る舞った。

その夜はみんなで食事をした。阿伽(あか)が酔って衛老二(えいろうじ)に文句を言っている。あんたのせいで眉林の正体がバレそうになったじゃない!眉林は穏やかに笑っていた。慕容璟和は自分に気づいてくれた。これでもう隠れる必要はない。安心して花娘子として生きていける。みんなで杯を挙げて祝った。そのうち、阿伽が酔った勢いで衛老二(えいろうじ)に告白した。眉林は自分のことのように喜んだ。

忍び寄る新たな危機

清宴(せいえん)はあの爆竹を調べていた。中から桐油が見つかった。明らかに誰かの仕業だ。慕容璟和は、城内の花火店をすべて秘密裏に調べるよう命じた。彼は眉林の身を案じていた。店の近くをうろつくことが増えた。衛老二はそれを見て、ニヤリとした。二人の仲を取り持とうと考えたんだ。彼はなけなしの金をはたいて菓子を大量に買った。巡防営からの注文だと嘘をついて、眉林に直接届けさせた。ナイスプレーなのか、お節介なのか。

慕容璟和は郊外で花火を運ぶ車両を調べていた。そこに殷落梅(いんらくばい)が現れる。二人が情報を突き合わせると、とんでもない事実がわかった。明駒(めいく)が大量のスパイを送り込んでいる。巡防営に潜り込ませて、混乱を引き起こす計画だ。

その巡防営に、眉林が菓子を届けに来てしまった。タイミングが悪すぎる。彼女はそこで刺客に襲われる。慕容璟和が駆けつけて彼女を守った。彼の左肩が深く斬られた。

眉林はとっさに殷落梅(いんらくばい)に叫んだ。そこの草の山が怪しい!殷落梅が調べると、中から爆薬が見つかった。危ないところだった。

その後、眉林は天幕の外にいた。中から慕容璟和と清宴の話し声が聞こえてくる。彼は自分のために薬の毒見をして、内力を失っていた。太子に頭を下げて、貴重な雪龍須を手に入れてくれた。眉林は初めてその事実を知った。

意識を取り戻した慕容璟和は清宴に言った。眉林はもう武術が使えない。絶対に真相を突き止めろ。それと、彼女の周りに護衛をつけろ

遠い地での悲しみ

西焉では、越秦がようやく回復していた。でも彼の心は沈んでいる。腕は繋がったものの、全く力が入らない。そこに炎帝からの密書が届く。姉、子顧の死を知らせる手紙だった。越秦は両国の平和を思った。彼は悲しみを押し殺し、密書を火にくべた。そして机に向かい、静かに姉のための木馬を彫り始めた。

第29話の感想

今回はとにかく子顧の死が悲しすぎた。炎帝との最後の会話は本当に泣ける。来世で幸せになってくれと願うばかりだよ。一方で、眉林と慕容璟和の関係は少しずつだけど前に進んだ感じがする。陰から見守る慕容璟和の不器用な愛情表現がいい。衛老二のちょっとお節介なアシストも、いいスパイスになってる。

でも、すぐにまた事件が起きる。明駒(めいく)の陰謀が本格化してきて、二人がゆっくりする時間なんて全然ない。眉林が慕容璟和の過去の献身を知ったことで、これからの二人の関係がどう変わっていくのか。そこが一番の見どころになるだろうな。越秦も本当に気の毒だ。腕は動かないし、唯一の心の支えだった姉は亡くなるし。彼がこの絶望からどう立ち直るのかも気になる。全体的に、切ない展開の中に、ほんの少しの希望が見えた回だった。

つづく