あらすじとネタバレ

父の影と交渉の始まり

王昆吾(おうこんご) が元莫(げんばく)に声をかけた。君の父親、元漢景(げんかんけい)が死んだ事件の档案を読んだ、と。当時の関係者、康雲海(こううんかい)が今、使節として来ている。何か聞けるかもしれない。元莫(げんばく)は興味なさそうだった。もう希望なんてない、と彼は言う。でも、その目は明らかに揺れていた。王昆吾(おうこんご) にはお見通しだ。本当は、心の整理がついていないだけ。

その夜、元莫は父の夢を見た。呼んでも消えていく父の姿に、叫びながら目を覚ます。阿術(あじゅつ)がすぐに駆け寄ってきた。彼女は、親の顔を覚えているだけでも幸せだと言う。自分は両親の顔すら知らないから、と。阿術(あじゅつ)が温め直した酒を飲み、元莫は再び眠りについた。

翌日、大雍と焉楽の交渉が始まった。元莫はこっそり王昆吾の隣で盗み聞き。気づけば、阿術が窓から侵入し、尉遅華(うっちか)は屋根から飛び降りてきた。机の下には沈百煉(しんひゃくれん)と季明礼(きめいれい)まで隠れている。みんなで聞き耳を立て、王昆吾が記録を取る。チームプレーってやつだ。

緑洲をめぐる攻防

交渉は焉楽の馬治文(ばちぶん)が茶葉の税を下げろと要求するところから始まった。大雍の安遠道(あんえんどう)は当然、首を縦に振らない。馬治文(ばちぶん)は良質な馬の供給を減らすと脅す。安遠道(あんえんどう)も負けていない。焉楽は牧草が大雍頼みだろ、とやり返した。結局、安修義(あんしゅうぎ)と于得水(うとくすい)がうまいこと立ち回り、馬治文を丸め込んで通商条約に同意させた。

これで一件落着かと思いきや、馬治文が最後に爆弾を落とす。馬の休憩地点として、緑洲(オアシス)を一つよこせ、と言い出した。 于得水(うとくすい)はすぐに裏を察知する。何か企んでいるに違いない。彼は休憩を提案した。

その直後、焉楽の交渉役である康雲海(こううんかい)に本国から密書が届く。重大な用件あり、即刻帰国せよという内容だ。康雲海は安遠道に即決を迫る。でも安遠道は冷静だった。相手が慌てている時こそ、こっちは落ち着くべきだと分かっている。

休憩時間、元莫たちは緑洲の情報を集め始めた。誰に聞いてもただの普通のオアシスだとしか言わない。元莫は発想を変えた。焉楽の敵国から情報を探ることにする。王昆吾は、交渉再開を1時間遅らせるよう提案した。

盤上の戦争

時間稼ぎのため、安遠道は宴会を開く。康雲海は帰りたくて仕方ないが、安遠道が宴が終われば契約だと言うので、しぶしぶ席に着いた。さらに時間を稼ぐため、今度は安修義(あんしゅうぎ)が康雲海に囲碁の勝負を挑む。康雲海は焉楽で棋聖と呼ばれるほどの達人だ。最初は乗り気でなかった康雲海も、周りにおだてられ、ついに勝負を受ける。ただし、条件を付けた。もし自分が勝てば、茶葉の価格をさらに一割下げる、と。

その頃、尉遅華(うっちか)は別の場所で動いていた。焉楽の副使たちを酒の席に誘い、緑洲の件でカマをかける。酔った副使の一人が、ついに焉楽の本当の狙いを漏らした。

一方、囲碁の対局では安修義が完全に劣勢だった。ただ時間を引き延ばすのが精一杯だ。 見ていられなくなった元莫が、阿術に数手指南する。選手交代だ。阿術が康雲海の前に座った。

康雲海は阿術の打ち筋を見て、目を見開く。これは元漢景(げんかんけい)の打ち方だ、と。阿術は正直に元莫から教わったと白状する。すると康雲海は、元漢景が生前に彫ったという玉の碁盤を取り出した。元莫が自分に勝てば、これをやろう、と。 元莫はもう逃げられない。自ら盤の前に座り、絶望的な状況から見事な逆転勝利を収めた。

もう引き延ばす口実はない。安遠道が協定書に印を押そうとした、その瞬間。王昆吾が白館長(はくかんちょう)を連れて部屋に飛び込んできた。待った!白館長(はくかんちょう)が、焉楽の本当の陰謀をすべて暴露した。追い詰められても、康雲海は冷静だった。彼は静かに、再協議を提案する。

感想

いやあ、今回は濃かったな。前半の交渉シーンから、もう情報戦がバチバチだった。焉楽が要求してきた緑洲ってのが今回のキモで、その裏を探るために四方館のみんなが時間稼ぎに奔走する姿は、見ていて本当にハラハラしたよ。特に、時間稼ぎの最終手段として始まった囲碁の対決は最高だった。ただの勝負じゃない。元莫の父親、元漢景の影が絡んでくるんだ。康雲海が元莫を挑発して、因縁の対決に持ち込む流れは鳥肌もの。盤上の戦いが、過去の謎と未来の国益をかけた代理戦争になるなんて、脚本がうますぎる。元莫が父親の過去と向き合わざるを得なくなる展開は、彼のキャラクターに深みを与えたと思う。最後の最後で王昆吾たちが駆けつけて、焉楽の陰謀を暴くシーンは、まさに痛快だった。

つづく