愛する阿術(あじゅつ)と共に彼女の故郷・焉楽へ行くことを決意した元莫(げんばく)。そのためには、焉楽への使者を決める四方使の選抜試験に合格しなければならない。阿術や仲間たちの全面的なサポートを受け、元莫は猛勉強に励む。しかし、彼の前には常に首席のエリート、安修義(あんしゅうぎ)が立ちはだかる。試験の結果、元莫はわずかな差で敗れてしまうが、どうしても諦めきれない。果たして元莫は、最大のライバルを乗り越え、焉楽への道を切り開くことができるのか。二人の男の誇りと友情が試される、見ごたえのある回だ。
「四方館」あらすじネタバレ33話
元莫(げんばく)、覚悟を決める
元莫(げんばく)のやつ、ついに腹をくくったみたいだね。流民救助所で忙しく働く阿術(あじゅつ)の姿を見て、何かを感じたんだろう。昔、親父さんが使者として国を出た時のことを思い出したんだ。国に帰りたいっていう阿術(あじゅつ)の気持ちが、やっと本気で分かった。これは自分が果たさなきゃいけない使命なんだってね。
それで元莫、とんでもない行動に出るんだ。大事にしてた酒を全部売っぱらった。その金で手に入れたのは、なんと焉楽の神木。新しい家にそれを植えたんだ。阿術が焉楽に帰るなら、自分も一緒に行く。その覚悟を示すために、買ったばかりの家まで売ろうとする。
でも、その家の買い手がまさかの阿術本人だった。平和になったら、また二人でこの家に戻ってくるんだからって。元莫が必死で手に入れた家を、無駄にするつもりなんてなかったんだよ。泣かせるじゃないか。
もちろん、周りは大騒ぎだ。上司の于得水(うとくすい)は、元莫を出世させたことを後悔してた。元莫の親父さんから息子を平穏にって頼まれてたからね。でも、元莫の決意は固かった。今まで世話になりました。でも、もう決めたんですって。男の覚悟ってやつだ。
決戦!四方使選抜試験
さあ、ここからが本番だ。焉楽へ行くための使者、四方使の選抜試験が始まる。阿術が本気で元莫をサポートする。山のような本を持ってきて、元莫に猛勉強させるんだ。体力テスト対策もバッチリ。三娘(さんじょう)に頼んで、護身術まで叩き込ませる。
試験が近づくと、四方館の連中が賭けを始めた。元莫と、エリートの安修義(あんしゅうぎ)、どっちが勝つかってね。まあ、みんな安修義(あんしゅうぎ)に賭けるわけだ。普通に考えたらそうなる。
そこに阿術が登場。大金の入った袋をドサッと置いて、全部元莫に賭けたんだ。それを見た周りの連中はざわつく。これは何かあるぞって。阿術がここまでやるなら、元莫に勝算があるに違いない。みんな慌てて賭けを変えてたよ。
そして試験結果が出た。やっぱり首席は安修義。誰もが予想した通りの結果だった。元莫は、わずかな差で2位。たった一つの順位の違いが、まるで天国と地獄だった。元莫は完全に打ちのめされてしまう。
まさかの大逆転劇
普通ならここで諦めるよな。でも元莫は違った。納得いかなくて、偉い人のところに乗り込んでいくんだ。鴻顱寺で、自分の想いを全部ぶちまけた。公主のこと、両親のこと、どうしても自分が焉楽へ行かなきゃいけないんだって。再試合をさせてくれって直訴したんだ。
その熱意が伝わったのか、安修義も再試合を承諾する。二人はもう一度、焉楽へ行くための方策を書き上げる。でも、結果は同じだった。安遠道(あんえんどう)は、再び安修義の勝利を告げた。元莫も、今度こそ負けを認めるしかなかった。
だけど、話はここで終わらない。元莫が寺を去ろうとした、その時だ。安遠道(あんえんどう)が呼び止めてこう言ったんだ。砂漠は環境が厳しい。服を多めに持っていけ元莫は、何が何だか分からない。
種明かしはこうだ。安修義が、答案用紙にたった一言こう書いてた。この機会を元莫に譲るって。鳥肌が立ったよ、マジで。
ライバルの胸の内と、父子の和解
なんで安修義がそんなことをしたのか。彼はずっと四方使を目指してきた。それは、家柄の力じゃなく、自分の実力を証明したかったから。でも、いざ合格してみたら、気づいたんだ。自分は、知らない土地を飛び回るのが好きじゃないって。特に、過酷な砂漠なんて真っ平ごめんだってさ。
それに、彼にはもっと大事なことがあった。亡くなった林素素(りんそそ)のことだ。彼女が眠るこの長楽の地を、離れたくなかったんだ。一生、彼女のそばにいたい。それが安修義の本心だった。
その夜、安修義は親父さんの部屋に灯りがついてるのに気づく。部屋の壁には、大きな赤い布がかかっていた。それをめくると、そこには安修義が子供の頃から取ってきた賞状が、びっしりと飾られてたんだ。親父さんは、一つ一つの賞状の思い出を語り始めた。息子に関心がなかったわけじゃない。ただ、国の仕事が忙しすぎて、息子の成長を見守る余裕がなかっただけなんだ。親父さんは、プライドを捨てて息子に謝った。安修義も、ずっと心の中にあったわだかまりが、やっと解けたんだ。
第33話の感想
いやあ、今回はマジで神回だった。恋愛もいいけど、やっぱり男たちの熱いドラマは最高だね。元莫が阿術のために全てを捨てて焉楽へ行こうと覚悟を決める姿には、グッときた。自分のことしか考えてなかった彼が、誰かのためにここまでやれるようになったんだから。
そして何より安修義だよ。ずっと鼻持ちならないエリートだと思ってたけど、全然違った。彼にも守りたいものがあって、譲れない想いがあった。ライバルの元莫に、自分の夢だったはずの地位を譲るシーンは、本当に名場面だと思う。ただのお人好しじゃない。自分の弱さも、愛する人への想いも、全部受け入れた上での決断だから、すごく重みがあった。
最後の、安修義と不器用な父親との和解も泣けた。壁一面の賞状とか、反則だろ。父親の愛情表現が下手すぎただけなんだよね。今回は、登場人物たちの人間的な深みが一気に増した回だったと思う。
つづく