故郷の焉乐に帰ってきた公主・阿術(あじゅつ)と、彼女を支える元莫(げんばく)たち。でも、国を牛耳る龍突麒(りゅうとつき)がすんなり迎えてくれるわけがない。城門からすでに一触即発のムードが漂う。王宮では、元莫と龍突麒の間で静かな心理戦が始まるんだ。一方、阿術は国の悲惨な現状を目の当たりにして、民のためにある決意を固める。味方だと思っていた人物の裏の顔が見えたり、敵対する者たちの間にも亀裂が見え始めたり。焉乐を舞台にした本格的な権力争いが、ついに火蓋を切った回だったよ。

「四方館」あらすじネタバレ35話

第35話:焉乐(えんらく)での静かなる戦い

黄沙村の誓い

故郷の焉乐に帰る途中、阿術(あじゅつ)がどうしても寄りたい場所があるって言い出したんだ。それが黄沙村。かつて虐殺があったと噂される、あの村だよ。村は完全に荒れ果てていた。阿史蘭(あしらん)が話していた通りの光景が広がってる。元莫(げんばく)は一軒の家の中を覗いて、その酷さにすぐ引き返そうとした。でも阿術(あじゅつ)は中に入っていくんだ。家の中は、ホコリをかぶった骸骨で埋め尽くされていた。阿術は、龍突麒(りゅうとつき)のために木図(もくと)がこの村を滅ぼしたことを思い出す。ここで彼女は誓うんだ。必ず木図(もくと)をこの手で討ち、村人の無念を晴らすって。その覚悟、本物だった。元莫(げんばく)も手伝うって静かに約束する。

城門での火花

焉乐の城門に着くと、龍騎兵都統の木図が大勢の兵を連れて出迎えてきた。これが歓迎の態度じゃないんだな。兵士たちは盾を構えて、こっちを威嚇してくる。元莫も黙っちゃいない。槍を構えろって大雍の兵士に命じて、一気にもピリピリしたムードになった。睨み合いのまま城門をくぐり、木図は使節団にさっさと雍国館に入れと命令する。阿術はそのまま公主府へ向かうことになった。

王宮での心理戦

王昆吾(おうこんご) と尉遅華(うっちか)は、一人で行く阿術の身をすごく心配する。元莫は大丈夫だと言って、二人に何かをこっそり頼んでいた。そして自分は王宮へ向かい、龍突麒(りゅうとつき)と直接対決だ。

龍突麒のやつ、元莫の親父さんの服とか持ち出してきやがった。俺たち、親友だったんだぜアピールがすごい。親父さんの遺体はハゲタカに食われた後で見つかった、なんて悲劇の物語まで語り出す。もちろん、元莫はそんな芝居に騙されない。俺からも贈り物があるって切り返すんだ。その直後、王宮の外に焉乐の民衆がどっと押し寄せてきた。公主に権力を!って叫び声が響き渡る。そう、これは全部、元莫が仕組んだことだった。

新たな火種

龍突麒は当然、ブチギレる。寝室に戻るなり阿術を殺す!と息巻いていた。それを止めたのが、謎の白衣客(はくいきゃく)。今殺せば、民衆の怒りがさらに燃え上がると冷静に諭す。奴の始末は自分が考える、と約束するんだ。

その頃、王昆吾(おうこんご) は別のルートで情報を集めていた。月影国の使臣に会って、面白い話を聞き出す。龍突麒は凶暴なだけで、頭はからっぽ。彼を裏で操っているのが、無面人のリーダーである白衣客(はくいきゃく)だという。白衣客は自分の仲間たちが焉乐を自由に行き来できるようにしたい。でも、軍を握る木図がそれに猛反対している。おかげで、二人の仲は最悪らしい。王昆吾は、この貴重な情報をすべて元莫に報告した。

公主の逆襲

翌日、元莫は阿術を連れて龍突麒と公式に会見する。龍突麒は下手に出ているフリをするけど、阿術を完全に見下しているのがミエミエだ。阿術は堂々と要求する。国の蔵を開けて、飢えた民に食糧を配りなさい龍突麒は民が怠け者になるとか俺の長年の苦労をなんだと思ってるとか言って、もちろん拒否。周りの役人たちも、みんな龍突麒の顔色をうかがうだけ。

ここで阿術は引き下がらない。私が焉乐の統治を引き継ぐと宣言する。龍突麒がまともに聞かないと分かると、次の手を打った。木図を私の僕(しもべ)にしなさいこの要求は、龍突麒も断れなかった。公主府に戻った阿術は、さっそく木図に無理難題を吹っかけていじめる。プライドを傷つけられた木図は、龍突麒に泣きつく。その様子を見ていた白衣客は、木図をあざ笑う。これで二人の対立は決定的になった。

第35話の感想:いよいよ本番って感じだな

今回はアクションシーンは控えめだった。その分、言葉の裏での駆け引きがすごく濃密だったな。元莫の頭のキレっぷりには本当に感心するよ。民衆を動かして龍突麒にプレッシャーをかけるとか、なかなかの策士だ。父の話をされても全く動じないあのポーカーフェイスもたまらない。

阿術もただ守られているだけのお姫様じゃないことがはっきりした。自分の足で立って、国を取り戻すっていう覚悟がビシビシ伝わってきたよ。龍突麒の前で堂々と食糧の配給を要求する姿は、見ていてスカッとした。

龍突麒と役人たちのやり取りは、見ててイラっとしたけど、ああいう権力にしがみつく奴っているよなってリアルだった。小物感がすごい。

そして、敵側にも亀裂が見えてきたのが面白い。白衣客と木図の仲の悪さ。これは絶対に今後の鍵になる。誰が敵で誰が味方なのか、ますます分からなくなってきた。このヒリヒリする感じがたまらないね。

つづく