竇淳(とうじゅん)殺害事件の犯人が、ついに元莫(げんばく)によって追い詰められる。犯人の口から語られたのは、事件の裏に隠された悲しい過去と、長年にわたる復讐の動機だった。事件は一応の解決を見るが、元莫の冷徹な態度は阿術(あじゅつ)や尉遅華(うっちか)との間に亀裂を生んでしまう。そんな中、この事件に深く関わるもう一人の重要人物が、衝撃的な事実を告白する。ミステリーの解決と、登場人物たちの過去が交錯する、見逃せない回だ。
「四方館」あらすじネタバレ5話
犯人はお前たちだ!
王昆吾(おうこんご) が于得水(うとくすい)から昔の事件について聞き出している頃、元莫(げんばく)は動いていた。如意楼で江管家(こうかんけ)と花小娘(かしょうじょう)をガッチリと追い詰める。花小娘(かしょうじょう)は一晩中、江管家(こうかんけ)と部屋にいたわとアリバイを主張する。でも元莫(げんばく)はそんなの全部お見通しだ。部屋の密道と、そこで見つけた木の人形は何だ?と切り出す。
これには江管家も観念したらしい。自分が部屋を割り振った。花小娘の部屋の密道を使って、竇淳(とうじゅん)を殺した。そう自白したんだ。
ただ、元莫はまだ納得していない。おもむろに血の入った杯を床にぶちまけた。すると江管家がガクガク震えだす。そう、こいつは血がダメなんだ。元莫は前の事件の時から、江管家が血液恐怖症だと見抜いていた。人を殺せるようなタマじゃないってことだ。
明かされる悲しい復讐劇
追い詰められた花小娘が、ついに本当のことを話し始めた。竇淳(とうじゅん)を殺したのは自分だと。
計画はこうだ。まず薬を入れた酒を竇淳に飲ませて、ぐっすり眠らせる。その隙に密道を通って部屋に忍び込み、手を下した。彼女の告白はそれだけじゃ終わらない。
昔、彼女は委(い)家の琴弾きだった。江管家は委家の従者。主人の委雲祈(いうんき)は、竇淳が関わる軍事物資の密輸を発見した。証拠のリストも手に入れた。ところが、竇淳の方が一枚上手だった。リストの数字を書き換えて、罪をすべて委雲祈(いうんき)になすりつけたんだ。挙句の果てに、正式な報告もなしに委雲祈を殺して口を封じた。ひどい話だよな。
花小娘と江管家は、主人の無念を晴らすために復讐を決意した。だから竇淳を殺した。すべては亡き主人のためだったんだ。
二人が元莫に委家の汚名をそそいでほしいと頼んだ、まさにその時だ。譚林(たんりん)が兵隊を連れて踏み込んできた。この事件はずっと追っていたと言って、二人をあっさり連行してしまう。なんというタイミングだよ。
元莫の態度にみんなイライラ
事件は一応の解決を見た。でも、元莫の態度は相変わらずだ。委家の冤罪を晴らすことに全く興味を示さない。これには阿術(あじゅつ)もキレ気味だ。尉遅華(うっちか)も元莫のドライな態度にドン引きで、これじゃ報酬はもらえないかもねなんて言い出す始末。
翌日、阿術(あじゅつ)は尉遅華(うっちか)と街へ出かける。元莫は阿術に報酬の回収、頼むわなんて言ってる。ちゃっかりしてるよな。阿術はそのついでに、元莫から小銭をせしめてた。
街で尉遅華と会った阿術は、元莫に一泡吹かせる計画を思いつく。これがまた面白い。まず、使いの者に箱一杯の銀銭を報酬として元莫に届けさせる。ただし、運ぶのは手伝うなとクギを刺しておく。元莫はたった一人で、重い箱を少しずつ動かすしかない。ヘトヘトになった元莫の話を聞いて、阿術と尉遅華は腹を抱えて笑っていた。ちょっとしたコメディパートだな。
まさかの人物の告白
笑える話はここまでだ。家に帰った元莫は、季明礼(きめいれい)から気になる話を聞く。譚林(たんりん)が事件の前に、何度も屋敷をうかがっていたらしい。ピンときた元莫は、王昆吾(おうこんご) を連れて譚林のもとへ向かう。
そこで語られたのは、衝撃の事実だった。譚林は、殺された委雲祈の親友だったんだ。昔、友のためにと竇淳の悪事を告発する手紙を書いた。でも、その行動が裏目に出た。結果的に、親友を死に追いやってしまった。譚林は罪を認め、自ら役人に身を差し出した。まさかこんな真相が隠されていたなんてな。
事件の後、王昆吾は元莫に伝える。譚林は、元莫が委家の冤罪を晴らしてくれることを強く望んでいた、と。元莫の心に、何かが響いただろうか。
最後に、于得水(うとくすい)が元莫の家を訪ねてくる。四方館で正式に働かないかと誘いに来たんだ。元莫は、両親が砂漠で非業の死を遂げた過去をずっと引きずっている。正義のために動いても、ろくなことにならない。だから金をもらって仕事をするだけ。それが彼の信条になってしまった。この男の抱える闇は、思ったよりずっと深そうだ。
感想
いやあ、今回は濃かったな。前半の犯人捜しは二転三転して、純粋なミステリーとして楽しめた。江管家が犯人かと思いきや、元莫が血液恐怖症で論破。そこから花小娘の真の告白につながる流れは見事だった。彼女たちの復讐劇は、動機を考えると単純に悪とは言えないのがやるせないよな。
後半は、事件の裏に隠された人間ドラマにシフトした。特に譚林の告白は胸に刺さった。友を思う気持ちが、最悪の結果を招いてしまったなんて皮肉すぎる。彼の後悔の深さを思うと、言葉が出ない。
そんなシリアスな展開の中で、阿術と尉遅華が元莫に仕返しするシーンは最高の息抜きだった。重い銀貨を運ばされる元莫の姿には、思わず笑ってしまったよ。
そして最後に少しだけ見えた元莫の過去。彼がなぜあんなにひねくれてしまったのか、その理由が少しずつ分かってきた。この回で、ただの金儲け主義の男じゃないってことがはっきりしたな。
つづく