あらすじとネタバレ
嵇煬(けいよう)、苦渋の決断
南顔(なんえん)が目を覚ました時、隣に嵇煬(けいよう)の姿はもうなかった。代わりに、一通の手紙が置かれていたんだ。手紙には、もう君を危険な目に遭わせたくない、と書かれていた。自分の体の中の魔を完全に消し去ったら、必ず戻ってくると。南顔(なんえん)はもちろん諦めきれない。必死に嵇煬を探し回る。でも、嵇煬は会うつもりがないから、見つかるわけもなかった。彼女は悲しみに暮れながらも、彼が帰ってくるのを待つと固く決心する。
その頃、嵇煬は一人で苦しんでいた。どうすればこの魔を祓えるのか、全く分からずにいたんだ。そんな彼を、殷琊(いんや) が見つけ出す。実は嵇煬、南顔が心配でこっそり近くで見守っていたんだよな。殷琊(いんや) は嵇煬を連れて、吃苦大師(きっくたいし)という専門家を訪ねる。
吃苦大師(きっくたいし)が語った方法は、どれも絶望的だった。一つは、神様が残した鎮魂釘を体に打ち込む方法。これなら魔を抑えられる。でも、嵇煬自身も魔と苦しみを共にし、百年後には魂ごと消滅してしまう。もう一つの方法は、魔物である森羅(しんら)の心の中に入り込んで、直接その魂を滅ぼすこと。これは狐族に伝わる禁術で、成功率はかなり低い。失敗すれば、嵇煬も死ぬ。嵇煬は、迷うことなく後者を選んだ。死ぬ覚悟はできているってわけだ。
殷琊の葛藤と裏切り
その禁術を使えるのは、世界でただ一人。殷琊の姉、狐后だけだった。殷琊は必死で姉に協力を頼み込む。でも、狐后の答えはノーだった。彼女からすれば、嵇煬はもはや危険な魔物と同じ。それに、面倒ごとに巻き込まれて、ようやく解放された狐族を危険に晒すわけにはいかない。一族のリーダーとしては、当然の判断かもしれない。でも、弟の親友を見捨てるなんて、あまりにも冷たいよな。
助けを求める道が絶たれた嵇煬は、すっかり落ち込んでしまう。でも、彼は殷琊を責めなかった。むしろ、狐族のことを頼む、とだけ言ったんだ。そして、南顔に自分を諦めさせるための、最後の手段を思いつく。嵇煬は殷琊に、とんでもない嘘を頼んだ。南顔には、俺は魔を鎮める儀式で死んだと伝えてくれと。親友にそんな嘘をつかせるなんて、嵇煬も辛かったはずだ。殷琊も、もちろん断りたかっただろう。でも、親友の覚悟を前に、彼は頷くしかなかった。物語の最後、鎮魂釘を体に打ち込む儀式が始まる。嵇煬はすさまじい苦痛にもだえ苦しむ。殷琊はその光景を直視できず、背を向けてその場を去ってしまうんだ。
南顔、新たな旅へ
嵇煬が姿を消して悲しむ南顔の元に、殷琊がやってくる。彼は、自分が封妖大陣で知った衝撃の事実を、南顔に伝えた。それは、彼女の叔父である南頤(なんい)と、南娆(なんじょう)の本当の正体に関する話だった。南顔は、信じられないという顔で話を聞いていた。自分のルーツに、そんな秘密が隠されていたなんて。彼女は、自分で真実を確かめるため、叔父の南頤(なんい)を探す旅に出ることを決意する。本当に強い子だよ。厲錦(れいきん)という女性が、自分も一緒に連れて行ってほしいと申し出る。彼女の血は、南顔の傷を癒す力があるらしい。南顔はその申し出を受け入れ、二人で旅立っていく。
孟盈(もうえい)と符浪(ふろう)、それぞれの道
一方で、孟盈(もうえい)と符浪(ふろう)は剣宗の門を叩いていた。剣宗に入るには、今まで学んだ術をすべて忘れ、剣だけを信じなければならない。厳しい試練の末、孟盈は見事に合格する。でも、符浪はこっそり霊力を使ってしまったのがバレて、追放されてしまった。ルール違反だから仕方ない。孟盈は、一人で剣宗に残ることになる。彼女は山の麓に符浪のための家を用意し、しばらくそこで休むように言い聞かせた。そして、一人で剣宗へと戻っていく。二人の道も、ここから分かれていくんだな。
今回の感想
今回はとにかく嵇煬の自己犠牲が胸に突き刺さる回だった。愛する人を守るために、自分の存在そのものを消そうとするなんて。それだけじゃない。自分が死んだと嘘をついてまで、彼女を自分から解放しようとするんだ。その覚悟が重すぎて、見ていて本当に苦しくなったよ。
南顔の強さも印象的だったな。恋人がいなくなって、ただ悲しんでいるだけじゃない。自分のルーツに関わる謎が浮上したら、すぐに自分で真実を確かめに行動を起こす。この二人の愛は、お互いに依存するんじゃなくて、それぞれが自立しているからこそ、本物だって感じるんだ。
そして、一番かわいそうなのは殷琊かもしれない。親友を助けたいのに、姉には反対される。挙句の果てには、親友の頼みで、愛する人に彼は死んだなんていう最悪の嘘をつく役目を引き受けることになった。彼の心の痛みは、想像するだけでこっちまで辛くなる。みんながそれぞれ、どうしようもない状況で必死にもがいている。そんな姿がリアルに描かれていて、目が離せない回だった。
つづく