あらすじとネタバレ
決別、血の署名
ついに、この時が来ちまったか。沈渡(ちんと)が自分をどう見ていたかを知って、顔幸(がんこう) はもう限界だった。彼女は離縁に同意する。これからは赤の他人だ。二人の思い出の品をその場に捨てて、顔幸(がんこう) は背を向けた。
その後ろ姿を、沈渡(ちんと)は涙で見送る。顔幸を守るには、こうするしかなかったんだ。でも、そんな彼の本心なんて、今の顔幸に届くはずもない。
実家へ帰る途中、顔幸は高熱で倒れてしまう。運良く母親に助けられ、実家で目を覚ました。すぐにでも沈渡の元へ行こうとする顔幸を、母親が止める。そこへ、沈渡から離縁状が届いたんだ。
顔幸の父と兄も、沈渡が来羅織(らしき)に寝返ったと知って驚きを隠せない。あんなに敵対していた二人が、まさか手を組むなんて。顔幸は離縁されただけじゃない。父たちの会話を聞いて、徐帥(じょすい)と雲雀(ひばり)が死んだことを知ってしまう。ショックで、彼女はまた倒れそうになった。
後日、顔幸は二人の墓参りへ向かう。そこには、沈渡も来ていた。彼は言う。徐帥(じょすい)が死んだのは、来羅織(らしき)の謀反を嗅ぎつけたからだ。君のせいじゃないでも、そんな言葉はもう顔幸の心には響かない。
顔幸は自分の簪(かんざし)を抜くと、沈渡の肩に深く突き刺した。そして、流れ出る彼の血を指につけ、離縁状に自分の名前を書きなぐった。これで、二人の縁は完全に、そして残酷に断ち切られたんだ。
黒白羅刹の誕生
今の朝廷は、完全に来羅織の息がかかった連中ばかりだ。公主や張丞相(ちょうじょうしょう)なんて、もはや彼の眼中にない。来羅織は太皇太后に代わって、朝会まで仕切ろうとする始末。その隣で、沈渡はただ黙って立っている。
沈渡が寝返ったせいで、彼の部下も辛い立場に置かれた。学堂で貴族の子弟が平民の学生をいじめても、景内衛は平民の学生を牢屋に入れるしかない。正しいことをするのが、もはや許されない世の中になってしまった。
世間の人々は、来羅織と沈渡を黒白羅刹と呼び始めた。二人が馬を並べて街を走る姿は、不気味な迫力があった。そこへ、かつての仲間、江郎行(こうろうこう)が立ちはだかる。彼は、民を顧みない二人のやり方が許せない。よくも悪に手を貸したな!江郎行(こうろうこう)は沈渡を激しく罵った。
来羅織が江郎行を捕らえようとした時、沈渡がそれを制した。こいつは俺を罵った。俺が始末をつける沈渡は江郎行に向かって矢を放つ。でも、矢は彼の体をかすめただけ。これは警告だ。これ以上、俺たちに関わるな。お前たちとの絆は、今日ここで終わりだそう言っているようだった。
屈辱の歌
結局、江郎行は来羅織に捕まり、刑部へ連行された。傷ついた彼の姿を見て、陸垂垂(りくすいすい)は胸を痛める。来羅織は、垂垂の前で江郎行を辱める。そして、彼女に歌を歌うよう強要したんだ。
垂垂は、江郎行を助けるために歌うしかなかった。その悲しい歌声は、かつて来羅織の母親が彼に歌ってくれたものらしい。なんて歪んだ愛情なんだろうか。
歌い終わると、来羅織は江郎行を解放した。俺のそばから離れない限り、お前が大切に思う人間には手を出さない彼はそう言って、垂垂の涙を拭こうと手を伸ばす。でも、垂垂は彼から顔をそむけた。彼女の心は、もうとっくに壊れていた。
第37話の感想
いや、もう、今回はキツすぎた。見てるこっちの心がえぐられる回だったよ。特に顔幸と沈渡の別れのシーンは、本当に辛かった。沈渡が顔幸を守るために悪に堕ちるっていうのは、理屈では分かる。でも、顔幸の視点から見れば、ただの裏切りでしかないんだよな。信じていた人に、仲間を殺した男の側につかれて、あげくに離縁状を叩きつけられる。彼女の絶望を思うと、言葉もない。簪で沈渡を刺して、その血で離縁状に署名するシーンは、彼女の怒りと悲しみ、そして決別の覚悟が詰まってて、鳥肌が立った。
来羅織の非道さも、もう天井知らずだな。垂垂を精神的に追い詰めていくやり方が、本当に陰湿で見ていられない。江郎行を人質に歌を強要するとか、人の心がないのか。沈渡も、かつての仲間に矢を向けるなんて、どれだけ辛い選択だったんだろう。わざと外したのが、彼の最後の良心に見えて、余計に悲しくなったよ。
つづく