ネタバレ全開!第21話は地獄の始まり
束の間のロマンチックな別れ
蒋長揚(しょう ちょうよう)が洛陽へ出張することになった。出発前に牡丹(ぼたん)のところへやってくる。何か欲しいものはないかと聞くんだ。牡丹も遠慮しない。どうせ運賃は払うからと、4つも品物を頼んでいた。洛陽にいる親戚は、と聞かれても牡丹はきっぱり。何氏の娘はもう死んだから、洛陽に身内はいないってね。この切り替え、彼女らしい。
蒋長揚も粋なことをする。めちゃくちゃでかい鳳凰の凧を用意したんだ。空に揚げた凧の腹が割れて、中から花びらが舞い落ちる。こんなの、忘れられるわけないよな。彼は牡丹に言う。これからどこにいても、月を見れば一人じゃないこのセリフ、後々めちゃくちゃ重要になるから覚えといて。
忍び寄る悪意の数々
いい雰囲気だったのに、ここから空気が一変する。まず、あのろくでもない王擎(おう けい)とごたごたしてる。その中で勝意(しょうい)が口を滑らせてしまうんだ。牡丹が洛陽で結婚していた過去を、王擎に知られてしまった。こいつは本当に悪いやつで、勝意(しょうい)を言いくるめて牡丹の過去を根掘り葉掘り聞き出す。
悪意はもう一つ。李幼貞(り ようてい)だ。彼女は劉暢(りゅう ちょう)の行動を逐一探らせていた。劉暢(りゅう ちょう)が仕事の合間に酒場へ行くこと。その酒場の真向かいに、牡丹の花屋があることまで突き止める。もう完全にストーカーだよ。
李幼貞(り ようてい)はすぐさま劉暢(りゅう ちょう)家へ乗り込む。父親の劉申(りゅう しん)を焚きつけて、何惟芳(か いほう)の正体を暴かせようとする。寧王(ねいおう)府の馬車を使えば、役人もどうすべきか察するはずなんて、やり方が陰湿すぎる。劉申も、自分たち親が動けば息子に怪しまれると考える。だから、無関係の第三者に告発させることにした。この時点で、最悪のシナリオが完成してしまった。
牡丹、絶体絶命のピンチへ
計画はすぐに実行される。王擎がまず勝意を騙す。偽の婚書にサインさせ、祝言の杯だと言って薬入りの酒を飲ませて眠らせた。本当にクズな手口だ。
その足で王擎は役所へ向かう。何惟芳(か いほう)が良民の身分を偽り、都で花屋を営んで不正に儲けていると告発した。証人として、劉申夫妻が出廷する。もう完全に仕組まれた罠だ。
役人たちがすぐに花満筑へ踏み込んでくる。牡丹は捕まる直前、朱福(しゅふく) に徐祭酒を逃がすよう冷静に指示を出す。この土壇場での胆力は、さすがとしか言いようがない。
京兆府へ連行される途中、牡丹は豪華な輿を見かける。中に乗っているのが誰かなんて、考えなくてもわかる。李幼貞(り ようてい)に決まってる。役所の人間は腐敗しきっていて、牡丹に勝ち目はない。彼女は官奴の身分に落とされ、財産はすべて没収。城外の軍営へ送られることが決まった。
どん底の軍営生活
牡丹がすべてを失った頃、勝意が目を覚ます。店の扉には鍵がかけられ、外に出ると花満筑は王擎に乗っ取られていた。王擎はさらに、朱福(しゅふく) と勝意の仲を引き裂こうとする。勝意が自分と共謀して店を奪ったんだと嘘をついた。朱福(しゅふく) は激怒し、勝意を憎む。王擎は抵抗する朱福を殴りつけ、呂耕春(りょこうしゅん)がなんとかその場を収める。朱福は着物の裾を切り裂き、勝意との縁を切った。姉妹の絆は、ここで完全に断たれてしまう。
牡丹は杖で60回も打たれ、ボロボロの体で罪奴として軍営へ送られた。そこはまさに地獄。でも、たった一つの出会いがあった。口のきけない一人の女性が、牡丹に親切にしてくれる。牡丹の目が、自分の姉に似ているからだという。これが、牡丹が軍営で出会った最初の優しさだった。
二人は一緒に洗濯をする。石鹸が手に入らない時は、野草を焼いて灰を作り、汚れを落とした。配給される粥は水のように薄い。体の大きい罪奴が、牡丹のそのわずかな粥さえ奪っていく。役人に訴えても、誰も取り合わない。自分の食い扶持も守れないのかと、逆に罵られる始末。罪奴に尊厳なんてない。牡丹はそれを思い知る。
彼女は口のきけない女性と支え合い、なんとか生き抜こうとする。その頃、蒋長揚は遠い洛陽の地。長安で起きた悲劇など何も知らず、役人たちとの付き合いに追われていた。この対比が、あまりにも残酷だ。
感想
いや、今回は本当に胸が苦しくなる回だった。蒋長揚との甘い別れのシーンで油断させておいて、そこから一気に地獄へ突き落とすんだから。高低差がありすぎて耳がキーンとなるレベル。王擎の卑劣さと、李幼貞の陰湿さが完璧なコンビネーションを発揮していて、見事なくらい腹が立ったよ。牡丹が積み上げてきたものが、悪意によって一瞬で崩れ去っていく様は見ていられない。ただ、どん底に落ちても彼女の芯の強さは折れていない。軍営での出会いが、今後の反撃の狼煙になることを信じたい。早く蒋長揚に帰ってきてほしい!
つづく