あらすじとネタバレ

偽りの祝言、本物の気持ち

蒋長揚(しょう ちょうよう)と牡丹の祝言が始まった。決められた儀式を一つ一つ、丁寧に進めていく。でも、結髪の儀式で牡丹は髪を切りたがらなかった。そりゃそうだ。やっと伸びてきた大事な髪なんだから。蒋長揚(しょう ちょうよう)は、そんな牡丹の気持ちをすぐに察する。じゃあ俺の髪だけでいいそう言って自分の髪だけを切って、お守りの香袋に入れた。牡丹の髪は、いつか自然に抜けたものを入れればいい、と。こういう気遣いができる男なんだよ、蒋長揚は。

そこに馮夫人から櫛が届く。実はこれ、蒋長揚の亡き母の形見だった。将来、息子のお嫁さんに渡すはずだった大切な品だ。それを牡丹が受け取った。なんだかんだ、二人はちゃんと繋がっている。

初夜の部屋。ベッドの上にはお金が山積み。それを見た牡丹は、もう大喜びだ。さすが、根っからの商売人。二人は偽装結婚だから、当然何もない。ベッドの上で、普通にご飯を食べ始めるんだ。このシーンが、すごく良かった。

蒋長揚は牡丹に言う。俺と結婚したからって、無理に変わるな。今まで通りのお前でいい牡丹も、前の本当の結婚では自分を押し殺していたと気づく。劉家の若奥様を演じるのは、息が詰まる毎日だった。でも、この偽りの結婚で、初めて本当の自分でいられる。皮肉な話だけど、これが彼女の真実だった。

一方その頃、劉暢(りゅう ちょう)は…

対照的に、こっちの夫婦はもう最悪だ。劉暢(りゅう ちょう)は自分の祝言の日だというのに、一人でヤケ酒をあおっている。かつて劉家に嫁いできた牡丹と、今の自分は何も変わらないと自嘲する。結局、家柄で人を踏みつけ合うだけ。一番高い場所に登らない限り、誰かに食い物にされる運命なんだ。

雨が降る中、庭で濡れる千弁蓮を見つける。劉暢は足の怪我も忘れて、雨の中に飛び出した。傘も放り出して、その花を必死に守ろうとする。その全てを、新妻の李幼貞(り ようてい)が見ていた。彼女の中で、嫉妬の炎が燃え上がる。頭につけていた千弁蓮の髪飾りを、力任せに引きちぎった。そして、屋敷の者たちに冷たく命じる。この屋敷では、今後一切、牡丹と蓮を植えることを禁ずる!初日からこれだ。この結婚は、もう終わっている。

すれ違う二人と新たな出会い

翌朝、蒋長揚は幸せな気分で目覚めた。使用人たちからの祝福に、上機嫌で祝儀を配る。でも、その幸せは長く続かなかった。牡丹が、もう芳園に引っ越してしまったと知る。自分の想いが全く伝わっていない。蒋長揚は、寂しそうに笑うしかなかった。

その頃、牡丹は芳園にいた。幼い頃の思い出が詰まったこの場所を、花の好きな人々のために開放したい。そうすれば、天国の母も喜んでくれるだろう。そんなことを考えていると、一人の老婆が騒ぎを起こす。湯大娘と名乗るその人は、ここから追い出されるくらいなら死ぬとまで言う。牡丹は彼女に3日間の猶予を与えた。何か才能を見せられるなら、ここに置いてやると。この決断力と度胸は、さすがだ。

牡丹が帰ってこない。蒋長揚は一人、寂しく肉を焼いていた。そこへ、あの寧王(ねいおう)がやってくる。そして、蓮舟という名の美人を無理やり押し付けてきた。お前の妾にしろと。王の命令だ。蒋長揚は断ることができない。これは、絶対に面倒なことになる。

3日後。湯大娘は、牡丹の前に3人の女性を連れてきた。琴の名手である阿桃。刺繍の達人、阿満。そして、調理の技に優れた錦娘。彼女たちはそれぞれ辛い過去を背負っていたが、その腕は確かだった。牡丹は彼女たちの実力を見抜き、すぐに身請けを決める。こうして、芳園再建のための最強チームが誕生した。

感想

今回は、対比の描き方が見事だった。蒋長揚と牡丹の、偽りの結婚なのに心が通い合う温かい祝言。それに対して、劉暢と李幼貞(り ようてい)の、本物の結婚なのに初日から憎しみと絶望に満ちた祝言。どっちが本当の夫婦なのか、分からなくなるくらいだ。

蒋長揚の不器用な優しさが、本当に心に沁みる。牡丹が自分らしくいられる場所を見つけて、彼も嬉しいはずなのに、物理的に距離ができて寂しがっている姿がたまらない。一方で、牡丹は商売人としての血が騒ぎ始めた感じだ。芳園再建に向けて、有能な女性たちをスカウトしていく姿は見ていてワクワクする。

ただ、最後の最後でとんでもない爆弾が投下された。寧王(ねいおう)が送り込んできた妾、蓮舟の存在だ。蒋長揚は断れないし、これは今後の大きな波乱の種になる。せっかく二人の関係が進展したと思ったのに、また大きな壁が立ちはだかる。このもどかしいすれ違いこそが、このドラマの面白さでもあるんだけどね。

つづく