あらすじ&ネタバレ

密林での約束と、終わらない襲撃

君家の次男坊が、宰相に贈り物を持って行った。自分が店のトップ、大番頭になりたいって魂胆が見え見えだ。宰相も百戦錬磨だから、そんなのはお見通し。君綺羅(くんきら)の弟、君非凡(くんひはん)くらいの実績を上げたら考えてやるって、軽くあしらわれてたね。

その頃、玄烈(げんれつ)はまだあの密林の中だ。君綺羅は玄烈(げんれつ)に、狼主になってほしいと伝える。彼女には考えがあった。誰も治めていない土地に市場を作ること。そうすれば戦も減る。人々の行き来も楽になる。これは弟、君非凡(くんひはん)の夢だった。君綺羅は弟の代わりにその夢を叶えたいんだ。玄烈は彼女の想いを受け止める。局面を安定させて、戦を減らすと約束した。

二人は遊猟会に間に合うため、密林からの脱出を急ぐ。でも、何者かにずっと監視されてた。森を出ようとしたその瞬間、黒い服の連中がまた襲ってきた。今回の奴らは本気だ。殺す気で斬りかかってくる。戦いの中で、玄烈が怪我を負ってしまった。

君綺羅は負傷した玄烈を、近くの廃屋に隠す。彼女は決心した。自分が囮になって、追っ手を引きつける。

吊るされた君綺羅と、青蔻(せいこう)の告白

君綺羅は必死に森を走る。追っ手は彼女だけを追いかけてきた。やがて彼女は崖際に追い詰められ、捕まってしまう。黒衣の連中は玄烈の姿が見えないことに気づく。奴らは君綺羅を木に吊るし上げた。彼女を人質にすれば、玄烈が必ず助けに来ると踏んだんだ。

その読みは当たっていた。玄烈が現れ、君綺羅を救い出す。まさにその時、羅奇(らき)が部下を連れて駆けつけた。形勢が不利になった黒衣の連中は、森の奥へ消えていく。

一方、玄烈たちとはぐれた青蔻(せいこう)と祁民(きみん)も森をさまよっていた。青蔻はもうお腹ペコペコ。疲れて歩きたくないって駄々をこねる。祁民(きみん)にウサギを狩ってこいって命令した。祁民が仕方なくウサギを狩りに行くと、青蔻はなんだか嬉しそうだ。彼が自分のことを気にかけてくれてるって感じたらしい。

ここで青蔻が、とんでもない爆弾を投下する。いきなり祁民にあなたが好きと告白したんだ。今まで自分の前で本音を隠さなかったのは、祁民だけだったから。彼女は取引を持ちかける。祁民が自分のそばにいて言うことを聞くなら、君綺羅を故郷の焱南へ無事に帰す手助けをすると。祁民はその条件を飲んだ。青蔻は笛を取り出して吹く。この音を覚えておけ、と。これから自分がこの笛を吹いたら、すぐに目の前に現れろという命令だった。

王都での新たな火種

玄烈と君綺羅は水路を使って密林を脱出。羅奇(らき)は青蔻と祁民を連れて、馬で王都へ戻る。

玄烈を密林に閉じ込めた黒幕は、羅執舟(らしつしゅう)だった。彼自身が狼主の座を狙っていたんだ。だから玄烈が生きて帰ってきたことに、心底驚いていた。

王宮では、王が玄烈から事情を聞いていた。玄烈は、誰かが自分の狼主就任を邪魔していると報告する。王は弟の玄烈を励ます。何としても狼主の座を勝ち取れ、と。そうすれば、これまでの恨みをまとめて晴らせる。今の王宮では、太后が敵対する奚(けい)部の一員だ。彼女が奚長昆(けいちょうこん)という男を庇っているせいで、王でさえ手が出せない状況なんだ。

遊猟会には、各部族の有力者が集まっている。容姿も武芸も優れた玄烈は、女性たちの注目の的だ。特に奚部の郡主は、玄烈にぞっこんらしい。彼女は積極的に玄烈に話しかける。兄の奚公子は、自分たちと玄烈の部族が敵対しているから、面白くない。でも郡主は聞く耳を持たない。私にふさわしいのは玄烈だけなんて言ってる。

その頃、君綺羅は大胆な行動に出ていた。敵かもしれない奚部の若様、奚公子に直接、商談を持ちかけたんだ。彼らが持っている玄鉄晶石を買い取りたい、と。奚部にとってはただの石ころかもしれない。でも自分の手に渡れば、もっと大きな価値を生むと彼女は語る。奚公子は、父親じゃなく自分に来たのは、自分が甘く見られているからだろうと勘繰る。でも君綺羅は動じない。奚部とは長く付き合いたい。あなたは未来の族長だから、あなたと話すのが筋です、と。その言葉に、奚公子は何かを考えているようだった。

今回の感想

いやあ、青蔻には驚かされたな。ただのわがままお嬢様かと思ってたら、いきなり祁民にストレートな告白。しかも、自分の立場を利用して彼をそばに置こうとするあたり、なかなかの策士だ。祁民もまんざらじゃない顔してるし、この二人の関係がどうなっていくのか、本筋と同じくらい気になってきたよ。君綺羅もただ守られてるだけじゃないのが良い。玄烈を助けるために自ら囮になるし、敵かもしれない相手にも堂々とビジネスの話を持ちかける。この強さとしなやかさが、彼女の本当の魅力なんだろうね。玄烈を取り巻く宮廷の陰謀も本格化してきたし、目が離せない展開が続くね。

つづく