あらすじ(ネタバレあり)
一夜の後の決意と、忍び寄る悪意
朝、君綺羅(くんきら)が目を覚ます。昨夜のことは夢じゃなかった。彼女は急いで自分の住処へ帰ることにした。
部屋に戻ると、侍女の冬銀(とうぎん)が話しかけてくる。玄烈(げんれつ)に避妊のための薬を飲ませなかった。正妃を迎える前にそんなことをするのは、異例中の異例らしい。冬銀(とうぎん)は、玄烈(げんれつ)の愛が本物だと伝えたかったんだろう。でも君綺羅は冷静だ。もし子供ができたら、その子は焱南の血を引くことになる。世継ぎにはなれないし、きっと辛い思いをする。君綺羅は冬銀に、避妊薬を用意するように頼んだ。彼女の覚悟は、もう固まっていた。
一方、玄烈はめちゃくちゃ上機嫌だった。ずっとニコニコしている。部下の羅奇(らき)が、何か良いことでもあったのかと尋ねる。玄烈はただ笑うだけで、何も答えない。分かりやすいやつだな。
もうすぐ正旦の祭りだ。羅奇(らき)が、他の部族みたいに俺たちも祝いたいと提案する。玄烈はあっさり許可した。みんな大喜びだ。
猛毒が仕込まれた薬
その頃、冬銀は君綺羅のために薬を煎じていた。材料の当帰が足りないことに気づき、取りに戻る。その隙を狙って、奚姬秀(けいきしゅう)が薬をこっそり調べた。それが避妊薬だと知って、彼女は怒りに震える。兄を殺した女が、玄烈を独り占めするなんて許せない。彼女の侍女が、さらに恐ろしいことを言い出した。薬に毒を混ぜて、君綺羅を子供が産めない体にしてしまおうと。奚姬秀(けいきしゅう)は、その提案を受け入れた。
冬銀は薬草を取りに戻る途中、羅奇と出くわす。その頃、羅奇は奚姬秀たちの怪しい動きを見ていた。彼は急いで玄烈に報告する。話を聞いた玄烈は、血相を変えて医者を呼んだ。薬を調べさせると、衝撃の事実が判明する。中には雷公藤という猛毒が混ぜられていた。これを飲めば、二度と子供は産めない。最悪の場合、大出血して死に至ることもある。
すんでのところで救出、そしてぶつかる想い
君綺羅が、その毒入りの薬を飲もうとしていた。まさにその瞬間、玄烈が部屋に飛び込んでくる。彼は薬碗を叩き落とした。本当に、ギリギリセーフだった。
玄烈は激しく怒っていた。どうしてこんなことをするんだと、君綺羅を問い詰める。君綺羅は涙を流しながら説明した。まだ母親になる覚悟ができていない。自分の子供が、将来父の国と母の国との間で戦争に巻き込まれるなんて見たくない。玄烈は焱南を攻めないと誓った。でも、そんな約束がいつまで続くか分からない。彼女の言葉は、あまりにも切実だった。
玄烈は、胸が張り裂けそうな顔をしていた。彼が本当に欲しかったのは、子供じゃない。君綺羅の、真心そのものだったんだ。
犯人は誰だ? 祭りの中のそれぞれの思惑
次に玄烈は冬銀を厳しく問い詰めた。冬銀は震えながら否定する。自分が仕えるお嬢様を傷つけるわけがない。羅奇も、真犯人は別にいると証言した。みんなの視線が、部屋に入ってきた奚姬秀に集まる。玄烈が怒りに任せて彼女に詰め寄ろうとした、その時だ。王からの呼び出しがかかった。王は玄烈に警告する。奚姬秀はこちらを深く疑っている。大局のためだ。この件にこれ以上関わるな、と。
場面は変わって、邵祁民(しょうきみん)が帰ってきた。玄青蔻(せいこう)が彼に、君綺羅と玄烈の関係を教える。君綺羅のことが気になるなら、私のそばにいなさい。彼女はそう言って、邵祁民(しょうきみん)を自分のそばに置こうとする。
祭りの日がやってきた。奚姬秀は兄を亡くしたばかりで、皆が浮かれる様子に不満そうだ。奚長昆(けいちょうこん)に、外で余計なことを言うなと釘を刺される。
玄青蔻(せいこう)は、この土地に飽き飽きしていた。彼女は邵祁民を引っ張って、城下町の賑わいを見に行く。太后が止めようとしたけど、聞く耳を持たない。
玄烈は、君綺羅を訪ねて祭りに連れ出した。彼は狼の形をした飴を君綺羅に贈る。店の主人が、狼は強くて忠実な動物だと褒めていた。それはまるで、玄烈自身のことのようだった。
君綺羅の二人の妹も、祭りを過ごしていた。でも、姉のことを思い出して気分が沈んでいる。上の妹が、綺羅はきっと無事だし、家も大丈夫だと励ましていた。
玄青蔻と邵祁民は、城下町で天灯を空に放つ。それぞれの願いを込めて。玄烈は君綺羅を一本の古木の下へ連れて行った。君綺羅は赤い帯に願い事を書き、静かに枝へ結びつけた。
感想
いやー、今回はマジで濃かったな。君綺羅と玄烈の関係が、ただ甘いだけの恋愛じゃないってことがハッキリした回だった。君綺羅は自分の立場も、生まれてくるかもしれない子供の未来も、全部考えてる。だから避妊薬を飲もうとするんだ。その覚悟がすごいよ。彼女は決して流されて生きているわけじゃない。それに対する玄烈の真心が欲しいってセリフも良かった。王としての立場じゃなく、一人の男として君綺羅を愛してるのが伝わってきて、グッときた。でも、奚姬秀の妨害がエグすぎる。侍女もヤバい。あの二人がいる限り、君綺羅と玄烈の未来は簡単じゃないだろうな。王からの横やりも入って、政治的なしがらみが二人に重くのしかかる。そんな重い展開の中、玄青蔻と邵祁民のパートが唯一の癒やしだった。この二人の軽やかなやり取りが、いい息抜きになってる。狼の飴や古木に願い事を結ぶシーンは、ベタだけどやっぱりロマンチックで良い。甘さと苦さが絶妙に混じり合った、見ごたえのある回だったよ。
つづく


