葉平安(よう・へいあん)は、大手布工房の嫌がらせで賃金未払いに追い込まれた小さな工房の主人を助けるため、行動を開始する。調査を進めると、その背後には大善人として名高い皇族の富豪、礼宗旭(れいそうきょく)の影が見えてきた。平安は、彼の評判を利用したある奇策で問題を解決しようと試みる。一方、元少城(げん しょうじょう)は民を思うがゆえの行動が誤解を生み、孤立を深めていく。伍安康(ごあんこう)は、都で再会した平安の意外な一面を知り、彼女への見方を少しずつ変え始める。それぞれの正義と苦悩が交錯し、物語の新たな敵が姿を現す。

「掌心」あらすじネタバレ10話

平安、次なる標的は大善人?

万国香の妓女、黎歌(り か)の腕に烙印が見つかった。采蓮(さいれん)の腕にあったのと同じ、七葉曇花のデザインだ。これには霓裳(げいしょう)も驚きを隠せない。彼女は黎歌のことをよく知らなかった。家族に売られてきた、ということくらいだ。

葉平安(よう・へいあん)は早速、黎歌に直接話をしにいく。彼女の心の内を探り、単刀直入に聞いた。その烙印、誰につけられたの?黎歌は口が堅い。ただすごく身分の高い人とだけ答えて、それ以上は話さなかった。

それぞれの抱える痛み

伍顯兒(ごけんじ)と母の確執

伍由敬(ごゆうけい)に声をかける。山で修道している母親に、たまには会いに行ったらどうだと。顯兒にとって、母親は自分を捨てた存在だ。ずっと心の中で恨んでいる。父親の前では平気なふりをしてみせる。でも一人になると、母親が家を出ていった日のことを思い出して涙が止まらない。

采蓮の決断と顧文宇の覚悟

顧文宇(こ・ぶんう)は青龍橋で采蓮を待っていた。今回、采蓮は彼の前に姿を現した。でも、彼を受け入れることはできないと告げる。顧文宇は理由を察していた。彼女が巻き込まれた御史の事件が、二人の間に影を落としている。彼は自分の辛い出自や境遇を正直に打ち明けた。采蓮がどんな道を選んでも、そばにいたいと伝える。彼のまっすぐな想いに、采蓮は言葉を失うだけだった。

平安の奇策、悪徳富豪を追い詰める

平安は、小さな布工房の主人・蔡允(さいいん)が従業員に賃金を払えず困っている話を聞きつけた。直接会いに行くと、事情がわかってくる。大手布工房の久合から、品質が悪いと一方的に言いがかりをつけられていた。経営は火の車。役人に金を渡しても、何も解決しない。

久合の背後にいるのは、都で一番の金持ち、礼宗旭(れいそうきょく)。彼は皇族の一員でもある。ただ、世間での評判はすこぶる良い。大善人として知られている。明日には貧しい人たちのために酬民宴という宴会を開く予定だ。

平安はすべてを理解した。彼女は蔡允に一つの策を授ける。ちょっと痛い目に遭ってもらうけど、いい?

宴の当日、平安も会場に紛れ込んでいた。すると、彼女の筋書き通り、傷だらけの蔡允が泣きながら現れる。久合の番頭に殴られた!と大声で訴えた。名声を何より大事にする礼宗旭は、すぐに動いた。蔡允の従業員たちの未払い賃金を肩代わりすると宣言する。おまけに、一人十貫ずつ上乗せまでした。その様子を見て、平安は静かに微笑む。

伍安康(ごあんこう)もその宴の場にいた。彼はこの一連の騒動が平安の仕業だと見抜く。彼女のような人間と都で再会できたのは、良いことかもしれないと感じていた。

ついに明かされる烙印の主

工房の一件が片付いた後、黎歌が自ら平安を訪ねてきた。彼女はついに心を決めたらしい。すべての謎を打ち明けるために。

平安はこの時、初めて知ることになる。黎歌の腕に七葉曇花の烙印を刻んだ男の正体を。それは、昨夜酬民宴を開いたばかりの皇族。都一番の大善人として知られる、礼宗旭だった。

第10話の感想

今回の平安の立ち回りは見ていて本当に痛快だった。弱い立場の人を助けるのに、ただ同情するんじゃなくて、知恵と度胸で悪党の懐から金を出させる手口が鮮やかすぎる。相手が大善人っていう評判の裏に隠れた偽善者だってところも面白い。こういう奴が一番タチが悪いからね。

伍安康(ごあんこう)が平安の策略に気づいて、彼女をちょっと見直したのも良い展開だ。二人の関係がこれからどう変わっていくのか気になる。一方で、元少城(げん しょうじょう)は自分の正義を貫こうとして、民衆から孤立していくのが見ていて切ない。正しいことをしているはずなのに、誰にも理解されないって辛いよな。

いろんなキャラクターのドラマが深まってきた。小さな事件が、礼宗旭っていう大きな敵の正体につながった。物語がぐっと動き出した感じがする回だった。

つづく