葉平安(よう・へいあん)が長年苦しんできた悪夢の正体が、ある女性の悲劇的な死を目撃した過去の記憶であることが明らかになる。一方、采蓮(さいれん)を傷つけた犯人が、高貴な身分である礼宗旭(れいそうきょく)だと判明。平安と仲間たちは復讐を決意する。彼女たちは信心深い礼宗旭の弱点を利用し、彼が妖物に取り憑かれていると信じ込ませる大胆な罠を仕掛ける。計画は成功し、治療と称して屋敷に呼ばれた平安。彼女は危険を冒して、事件の核心に迫る証拠を手に入れるため、敵の懐深くへと潜入していく。

「掌心」あらすじネタバレ11話

葉平安(よう・へいあん)の悪夢、その正体

まず、ずっと平安を苦しめてきたあの悪夢の正体がわかった。あれは彼女自身の過去の記憶だったんだ。

昔、阮琴(げん きん)っていう無実の女性がいた。彼女は悪い男に騙されて、純潔を失った。そのせいで婚家から追い出されてしまう。彼女のおばあちゃんが、なんとか助けようと巫医のところに連れて行った。でも、心の傷を癒す治療が始まる前に、阮琴(げん きん)は絶望して崖から身を投げてしまったんだ。

平安は、その瞬間を自分の目で見てしまった。幼い彼女にとって、それはあまりにも衝撃的な光景だった。この記憶が、ずっと消えない悪夢として彼女を苛んでいたわけだ。

ターゲットは礼宗旭(れいそうきょく)

さて、現代の話に戻ろう。采蓮(さいれん)の体に曇花の烙印を押した犯人、ついに特定された。そいつは礼氏宗親の礼宗旭(れいそうきょく)。とんでもない大物が出てきた。

この件は危険すぎる。平安は仲間たちに、ここから先は自由意志だ、と選択を委ねた。でも、采蓮(さいれん)はもちろん復讐を誓う。陸丹心(りくたんしん)と霓裳(げいしょう)も引かなかった。みんな、覚悟が決まってる。

平安はすごい情報を掴んでいた。礼宗旭は男として不能らしい。その歪んだコンプレックスが、無力な女性への暴力に向かわせている。これが奴の動機だ。

礼宗旭にはもう一つ特徴がある。めちゃくちゃ信心深い。半月に一度は必ず万安山にお参りに行く。平安たちは、この習慣を利用して罠を仕掛けることにした。

罠、そして潜入へ

計画はこうだ。礼宗旭が万安山へ向かう道中に仕掛けをする。万安山の了浄師父にも協力させて、礼宗旭に妖物に取り憑かれていると信じ込ませる。師父は最後に心という一文字を示唆した。これはもちろん、心医である平安を連想させるための布石だ。

面白いことに、この平安の動きはすべて海宜平(かいぎへい)の計算の内だった。平安は知らず知らずのうちに、梅党が礼氏を倒すための最高の刀になっていたんだよ。

計画は完璧にハマった。すっかり妖物を信じ込んだ礼宗旭は、すぐに人をやって平安を屋敷に呼びつけた。

平安は屋敷に行くと、得意の鈴を使って礼宗旭を深い眠りに落とした。催眠状態の彼から祠堂という重要なキーワードを引き出すことに成功する。

祠堂に隠された秘密

平安の本当の目的はここからだ。礼宗旭が眠っている間に、御史の事件に関する手がかりを探し出す。彼女は警備の目をかいくぐり、屋敷の祠堂へ忍び込んだ。

祠堂には、なぜか礼宗旭の母親の位牌がなかった。怪しい。平安がさらに探すと、隠し部屋へのスイッチを発見した。でも、中に入った途端、扉が閉まって閉じ込められてしまう。絶体絶命のピンチだ。

だけど、平安は冷静だった。落ち着いて仕掛けを分析し、隠し錠を開けて脱出する。その隠し部屋で、彼女は決定的な証拠を見つけた。銅で作られた、あの曇花の烙印だ。これで礼宗旭が犯人だと確定した。烙印の隣には銅軸の巻物もあった。平安はその内容を素早く確認し、元に戻す。

彼女は礼宗旭が目覚める直前に、治療をしていた部屋へ戻った。すべてがギリギリ。本当に心臓に悪い。

動き出す新たな陰謀

話はこれで終わらない。礼宗旭もやられっぱなしじゃない。彼は叔父である礼牡元(れいぼげん)に接触する。

近々やってくる朔丹国の使臣をもてなす夜宴。その主催を自分にやらせてほしい、と皇帝に願い出てくれと頼んだんだ。その目的は、元少城(げん しょうじょう)を失脚させること。この夜宴を利用すれば、元少城(げん しょうじょう)がどう動こうと礼氏にとって有利な状況を作れる。礼牡元(れいぼげん)もこの計画に乗った。

平安の復讐劇と、元少城の政治闘争。二つの流れが、いよいよ交錯し始めた感じだな。

感想

いやー、今回は情報量がすごかった。平安のトラウマの原点が明かされて、彼女の行動原理がより深く理解できた気がする。ただの復讐じゃない。彼女は過去の悲劇を繰り返させないために戦ってるんだな。それにしても、礼宗旭を罠にかける計画の大胆さには舌を巻くよ。準備から実行まで、鮮やかすぎる。特に祠堂への潜入シーンは、見つかるかどうかのスリルがたまらなかった。平安の度胸と頭のキレは、もはや超人レベルだ。一方で、元少城サイドの動きも本格化してきた。平安が知らないところで、彼女の復讐が巨大な政治闘争の駒として利用されている構図がエグい。海宜平(かいぎへい)、あんた一体どこまで読んでるんだよ。平安の個人的な戦いが、国の権力争いとどう絡み合っていくのか。目が離せない展開になってきた。

つづく