あらすじとネタバレ

皇帝に会えないワケ

伍顯兒(ごけんじ)が、葉平安(よう・へいあん)を飲みに誘った。平安はずっと気になってたことを切り出す。なんで皇帝は自分に会ってくれないのか。伍顯兒(ごけんじ)の答えはシンプルだった。あんたが何かやらかしたか、皇帝の気に障ることをしたか。それか、あんたの狙いがバレバレで、相手にしたくないだけか。平安が考えていたことと、だいたい同じだった。

話は塩の密売事件に移る。平安は伍安康(ごあんこう)に教えた。例の礼宗旭(れいそうきょく)ってやつは、金原の戦いで塩の輸送を邪魔した黒幕で間違いない。でも、伍安康(ごあんこう)が捕まえた密売人たちは、そいつとは無関係だ。平安が本当に怪しいと睨んでいるのは、倉司使の龚绍(きょうしょう)という男。どうやら伍安康は、東橋の塩倉を探る必要がありそうだ。ただ、伍顯兒(ごけんじ)は釘を刺す。証拠もないのに正面から突っ込むな。相手に気づかれて逃げられるぞ、と。

つかの間の平和と、残酷な罠

もうすぐ八月十五日。顧二娘(こじじょう)が胡餅を焼いてくれた。半分は売り物で、半分はみんなの分。平安、陸丹心(りくたんしん)、顧二娘(こじじょう)、それに老鬼(ろうき)が持ってきた包子。四人で庭でそれを頬張りながら、束の間の楽しい時間を過ごしていた。

その頃、丹心は動いていた。絵の具屋のフリをして、海宜平(かいぎへい)の屋敷に潜入する。そこで彼女は見てしまった。管家がみすぼらしい身なりの老人を、海宜平(かいぎへい)の書斎へ案内するところを。丹心はこっそり後をつけ、聞き耳を立てる。そして、信じられない言葉を聞いてしまった。

老人は語っていた。平安の昔の名前は、顧清(こせい)。あの子が催眠術を使って、娘たちをあの廃屋へとおびき寄せたんだ、と。丹心は頭が真っ白になった。苦しくて、信じられなかった。

丹心は知らない。これが全部、海宜平(かいぎへい)が仕組んだ罠だということを。海宜平は、丹心が今日ここに来ることを知っていた。だからわざわざ老人を呼びつけて、丹心に聞かせるためにもう一度、あの話をさせたんだ。

最悪のタイミングで明かされる真実

海宜平は、仮面をつけた上役に計画を報告していた。邪魔な役人、徐清(じょせい)は都から追い出す。これで調査は止まる。平安については、もっとえげつない手を考えていた。彼女にとって一番の弱点は、ずっと一緒にいる友達だ。その友達からの信頼を奪えばいい。それが平安にとって、一番致命的な一撃になる。

丹心は、まだ平安を信じたかった。わずかな望みをかけて、屋敷で聞いた話を、何気ないフリをして平安にぶつけてみる。すると平安は、あっさりと認めた。私が顧清よと。

平安は、子供の頃の話を始めた。杜梁(と・りょう)という男に騙されたこと。催眠術を使って、三人の娘を廃屋に連れて行ったこと。自分がまだ小さな女の子だったから、誰も警戒しなかったこと。あの蝶のペンダントは、阮琴(げん きん)のものだった。彼女は、平安が初めて出会った廃屋火災の生存者だった。

決裂、そして新たな協力関係

丹心は、完全に絶望した。平安との友情を断ち切り、もう彼女の言うことは聞かないと決める。これからは、一人でやる。

その夜、雷が鳴り響く。安心館に誰かの気配がした。丹心が帰ってきたのかと平安が向かうと、そこにいたのは元少城(げん しょうじょう)だった。平安は彼に告げる。丹心の性格なら、今頃もう海宜平を殺しに行ってる平安が元少城(げん しょうじょう)にこれを話したのには理由がある。海宜平は御史事件の真相を知っている。まだ死なせるわけにはいかない。

元少城(げん しょうじょう)はギリギリで間に合った。丹心が海宜平に向けて放った矢を、身を挺して止める。そして、平安の心医手冊を海宜平に渡した。丹心の暗殺計画は、本気で殺すつもりのものじゃなかった。わざと捕まって、海宜平から情報を引き出すための芝居だった。でも、そんな小細工は海宜平にすべてお見通しだった。

海宜平は丹心を殺さない。それどころか、明日ある場所に連れて行ってやると言う。彼は茶屋の老人を使い、平安を試した。老人にわざと川へ落ちさせ、平安が助けるかどうかを丹心に見せつける。丹心の目の前で、平安は老人を見殺しにした。

海宜平は切り札を見せる。丹心の父、余乾(よ・けん)が獄中から無実を訴えた手紙。もし君が、葉平安(よう・へいあん)を殺すのを手伝うなら海宜平は取引を持ちかける。大理寺卿の郭輿(かくよ)の前で、君が火災の生存者だと証言してやろう。そうすれば、御史事件の再審を求めることができる丹心は、その取引を受け入れた。

第19話の感想

今回はマジでキツかった。特に丹心にとっては地獄みたいな回だったな。信じてた親友が、自分の家族の死に関わってたなんて。しかもそれを本人からあっさり認められるとか、もう心が壊れる。海宜平のやり方が本当にえげつない。人の一番弱いところを的確に突いて、友情をぶっ壊しにくる。見てるこっちの胃が痛くなったよ。

平安がなぜあのタイミングで真実を話したのか、その真意がまだ読めないのがもどかしい。彼女にも何か考えがあるんだろうけど、あまりにもやり方が不器用すぎる。結果的に丹心を最悪の道に追いやってしまった。元少城が間に入ってくれたのが唯一の救いだけど、もう手遅れ感がすごい。丹心は海宜平と手を組むことを選んでしまった。親友同士が敵になるなんて、一番見たくない展開だ。物語が大きく動いて、もう目が離せない。

つづく