葉平安(よう・へいあん)は、悪徳高官・海宜平(かいぎへい)の罪を暴くため、命がけの計画を実行に移す。皇帝の前で、過去の事件の犯人である礼宗旭(れいそうきょく)を告発。平安の協力者である陸丹心(りくたんしん)も加わり、海宜平こそがすべての黒幕だと追い詰めていく。しかし、その計画の裏では、陸丹心の悲しくも壮絶な覚悟が隠されていた。二重三重に仕掛けられた罠と、仲間との絆を武器に、ついに巨悪の正体を白日の下に晒そうとする。息をのむ攻防が繰り広げられる回だ。

「掌心」あらすじネタバレ22話

すべては計画のうち

葉平安(よう・へいあん)はすべて分かっていた。海宜平(かいぎへい)が何を企んでいるのか。平安の手で礼宗旭(れいそうきょく)を殺させる。その上で、平安に皇族を人質に取った罪を着せて処刑する。一石二鳥で邪魔者を消し、御史案に完全にフタをするつもりだ。陸丹心(りくたんしん)は平安に聞いた。なぜ危険を冒してまで来たの?と。平安の答えはシンプルだった。今夜しかない。海宜平(かいぎへい)の化けの皮を剥がし、皇帝に御史案の再調査を決意させる。そのための唯一のチャンスが、今夜なんだ。陸丹心(りくたんしん)は覚悟を決めた。あなたと組む。失望させないでと。城門の向こうでは、元少城(げん しょうじょう)が射手たちと静かにその時を待っていた。

皇帝の前で、ショーの幕が上がる

皇帝が姿を現した。平安の計画が動き出す。彼女は衆人の前で、礼宗旭(れいそうきょく)の過去の罪を突きつけた。十数年前、通泉県で多くの女性の命を奪ったことを。すかさず陸丹心が前に出る。証拠として、体に刻まれた七葉曇花の烙印を見せつけた。礼宗旭への告発に、これ以上ない説得力を与える。

陸丹心は刀を抜き、礼宗旭に斬りかかろうとする。礼宗旭はパニックだ。陸丹心なんて女は知らない。なぜ殺されなきゃいけないんだ。その瞬間、陸丹心は叫んだ。海宜平様に命じられた!と。城壁の下に集まった民衆がどよめく。彼らにとって海宜平は清廉潔白な役人だ。陸丹心が誰かに騙されているんだと、誰もがそう思った。

平安は礼宗旭をさらに追い詰める。城壁の反対側を指差した。そこには元少城(げん しょうじょう)の姿がある。元少城が矢を放つ。矢は礼宗旭をわずかにかすめ、壁に突き刺さった。わざとだ。平安は礼宗旭の耳元で囁く。これで礼宗旭は確信した。海宜平が本気で自分を殺そうとしていると。彼は皇帝に向かって叫んだ。御史案の黒幕は海宜平だと。

悲劇のヒロイン、陸丹心

海宜平は陸丹心の裏切りに気づき、皇帝に潔白を訴える。そこに平安が用意した次の一手、詩人の孫曦正(そん きせい)が現れる。彼は海宜平の元友人だ。決定的な証言を持ってきた。皇帝は証言に目を通し、怒りを抑えながら命じた。海宜平を捕らえ、大理寺へ送れと。礼宗旭はお咎めなし。護衛付きで屋敷へ帰されることになった。彼は勝ち誇った顔で、平安と陸丹心を見下す。

その時だった。陸丹心が護衛を振りほどき、礼宗旭に飛びかかった。彼を人質に取り、何度も刃物を突き立てる。お前が殺した女たちに謝れ!彼女の叫びが夜空に響いた。

平安には分かっていた。海宜平が陸丹心に何かしたんだと。陸丹心は告白する。海宜平は用心深く、彼女に毒を飲ませた。今夜しか、もう命はないと。彼女はすべてを投げ打った。礼宗旭を城楼から突き落とし、その命を奪う。そして、自らも後を追うように、闇の中へ身を投げた。

最後の詰め、海宜平を追い込め

翌日、皇帝は御史案の全面的な再調査を命じた。大理寺に送られた海宜平は、一晩中尋問を受けても罪を認めない。彼は善人の仮面を被るのがうまい。民衆の中には、彼の無実を訴える者まで出始めた。このままでは、元少城たちの立場が危うくなる。

平安と元少城は、陸丹心が遺したものを探しに彼女の家へ向かう。香囊の中から、一通の手紙が見つかった。そこには、海宜平が御史・余乾(よ・けん)の親筆の手紙を持っていると書かれていた。裁判で彼の罪を決定づける重要な証拠だ。

元少城の部下が海宜平の屋敷を捜索し、鉄の箱を見つける。だが、箱には罠が仕掛けられていた。開けた瞬間、中の書類が燃え上がる仕組みだ。幸い、平安がそばにあった水で火を消し、証拠は守られた。

法廷で、海宜平はまだしらを切る。平安は次の証拠を突きつけた。孫曦正(そん きせい)が密かに保管していた滅口函。口封じを命じる手紙だ。筆跡は確かに余乾(よ・けん)のもの。でも、これは海宜平が余乾の別の手紙から一文字ずつ切り貼りして偽造したものだった。日光に透かすと、切り貼りの跡がはっきりと見える。

海宜平は最後の抵抗を試みる。その手紙は盗まれたものだと。平安は静かに言った。あなたのお母様なら、屋敷で盗難があったかご存じのはずだと。年老いた母親を法廷に引きずり出したくない。その一言が、彼の心を折った。海宜平はついに罪を認めた。ただ一歩、道を間違えただけだと、彼は呟いた。

明かされるトリックの全貌

すべてが終わった後、本当のトリックが明かされる。実は、海宜平の屋敷で見つかった余乾の親筆信は、偽物だった。本物は、箱の罠で燃え尽きていたんだ。では、法廷で海宜平を追い詰めたあの手紙は何だったのか。

陸丹心は、本物の手紙の内容を一字一句、完璧に記憶していた。元少城が彼女の記憶を元に、余乾の筆跡を完璧に模写して偽の手紙を作り上げた。平安は、海宜平に手紙をじっくりと検分させないよう、絶妙な距離を保って彼を追い詰めた。すべては、陸丹心の命がけの記憶と、仲間たちの連携が生んだ完璧な計画だった。海宜平は、彼らが作り上げた幻の証拠によって、自白に追い込まれたんだ。

感想

いや、今回は本当にすごかった。特に陸丹心。彼女の覚悟には胸を打たれたよ。自分の命が今夜で尽きることを知っていて、それでも復讐と正義のためにすべてを懸ける。礼宗旭を道連れにして城楼から身を投げるシーンは、悲しいけど、彼女の生き様そのものを見せつけられた気がした。彼女がいなければ、この計画は絶対に成功しなかった。

平安の計画も、相変わらずえげつないほど緻密だよね。人の心理を読み、二手三手先を考えて罠を張る。最後のどんでん返し、本物の証拠は燃えていて、陸丹心の記憶を元に偽造した手紙で自白させたっていうトリックには鳥肌が立った。仲間を信じているからこそできる、大胆で冷徹な作戦。

悪役の海宜平も、ただの悪党じゃなかった。ただ一歩、道を間違えただけだっていう最後のセリフが、彼の人間的な弱さを表していて印象に残る。完璧に見えた男が、たった一つの過ちから転落していく。このドラマは、そういうキャラクターの多面的な描き方が本当にうまいと思う。

つづく