不正の証拠を消し去った康平王(こうへいおう)・伍由敬(ごゆうけい)は、皇帝からの処遇を屈辱と受け止め、ついに謀反という最後の手段に打って出る。その計画の裏では、娘の伍顯兒(ごけんじ)が自身の野望のために暗躍を始めていた。

一方、元少城(げん しょうじょう)は康平王から直接疑いをかけられ、毒酒を前に絶体絶命のピンチに陥る。葉平安(よう・へいあん)もまた、何者かの罠によっておびき出され、囚われの身となってしまう。

北境での勝利に沸く都の裏側で、それぞれの思惑が複雑に絡み合い、巨大な陰謀が静かに進行していく。物語が最終局面に向けて一気に加速する、緊張感あふれる回。

「掌心」あらすじネタバレ29話

ついに動く康平王(こうへいおう)、絶体絶命の元少城(げん しょうじょう)

まず康平王(こうへいおう)、伍由敬(ごゆうけい)の話から。彼は私塩売買の証拠を全部消し去った。帳簿をきれいさっぱり書き換えたんだ。これで物的な証拠はなくなった。彼は裏切り者を何茂山(か・もざん)だと信じ込んでいる。元少城(げん しょうじょう)のことは全然疑ってない。これは不幸中の幸いかな。

葉平安(よう・へいあん)は、ようやく1年前の皇帝の言葉の意味を理解した。皇帝は即位した時、朝廷が不安定だった。内も外も敵だらけ。だから伍由敬(ごゆうけい)が必要だったんだ。彼に礼氏を牽制させ、息子の伍安康(ごあんこう)には国境を守らせる。そのために、伍由敬(ごゆうけい)の塩の不正には目をつぶっていた。

でも伍由敬はやりすぎた。朝廷の役人を抱き込み、皇太子の地位まで狙った。私塩を官塩と偽って売るなんて、完全に皇帝の我慢の限界を超えた。今さら息子の武功で許してもらおうとしても、火に油を注ぐだけ。平安はそう読んでる。だから彼女は今は動くな。我慢できた方が勝つって言ってた。

その2ヶ月後、北の国境で大勝利の知らせが届く。朝廷は沸き立った。皇帝は伍由敬の娘、伍顯兒(ごけんじ)を呼び出す。彼女はもう14年も皇帝に仕えてるからね。皇帝は彼女に、父の罪を指摘しつつも、温情を見せる。伍安康(ごあんこう)が都に帰還したら、伍由敬を太子少保という名誉職に就かせ、彼の面子を保つつもりだと伝えた。

伍顯兒(ごけんじ)からその話を聞いた伍由敬は、プライドがズタズタにされた。彼はこれを屈辱と受け取ったんだ。そして、ついに謀反を決意する。息子の伍安康(ごあんこう)が率いる軍隊と、味方の将軍が持つ軍隊を合流させる。都でクーデターを起こす計画だ。

そんな中、元少城(げん しょうじょう)が平安に会いに行こうとしたら、康平王の部下に連れて行かれた。王府に着いた元少城は、警備の兵士が入れ替わっていることに気づく。ヤバい雰囲気だ。彼はそこにいた素玄真人(そげんしんじん)に、わざと宝誥とか救苦とか、道教の専門用語を話しかける。これは助けてくれっていう暗号なんだ。

案の定、伍由敬は元少城こそが黒幕だと疑っていた。目の前に毒酒を差し出す。元少城はもちろん飲まない。罪も認めない。ここで彼は賭けに出た。伍由敬の信用を得るために、切り札を切る。葉平安(よう・へいあん)の居場所を知っていると。

仕掛けられた罠と、囚われの葉平安(よう・へいあん)

元少城のこの一言が、平安を危険に晒すことになる。平安は邙溝(ぼうこう)で元少城を待っていた。でも彼は来ない。来たのは使いの者だけ。待ち合わせ場所を東郊の竹林に変更するという伝言だった。

平安はすぐに何かおかしいと感づく。彼女は霓裳(げいしょう)に、こっそり後をつけてくるよう指示した。案の定、平安は竹林で目隠しをされ、どこかへ連れ去られてしまう。霓裳(げいしょう)はその瞬間を目撃した。

一方、元少城の暗号を受け取った素玄真人は、すぐに彼の意図を理解した。平安が危ない。そこに伍顯兒(ごけんじ)が豊饒塩舗に人を送れと部下に命じる声が聞こえる。これで場所が分かった。素玄真人はすぐさま、豊饒塩舗の場所を記した地図を元少城の屋敷に届けさせた。彼女は伍顯兒を止めようとしたけど、もう聞く耳を持たなかった。

平安が連れてこられたのは、その豊饒塩舗の地下牢だった。そこで待っていたのは伍顯兒。彼女は平安と囲碁を打つ。3手ずつ置いて、この勝負に決着をつけましょうと。3手後、平安は負けた。でも彼女は不敵に笑う。私には夢を覗く力がある。あなたの夢も見た。あなたの野心もね。伍顯兒はそれを鼻で笑った。

それぞれの野望、謀反計画の全貌

伍由敬はもう後戻りできない。彼は妻の韋玄敏(い・げんびん)に離縁状を突きつけた。謀反が失敗しても、彼女を巻き込まないための最後の優しさだったのかもしれない。彼は息子の伍安康にも手紙を送った。伍家を守るため、自分の計画に従うと信じてる。

でも、計画は一枚岩じゃなかった。娘の伍顯兒は、父の計画に従うフリをしている。でも、兄の伍安康を皇帝にする気なんてサラサラない。彼女には彼女の野望がある。

その頃、父からの手紙を読んだ伍安康は、ひどく葛藤していた。忠義と孝行の間で板挟みだ。いっそこのまま戦死してしまえば、どちらも裏切らずに済むのに、とさえ考えている。

都では、伍顯兒が次の手を打っていた。彼女は皇帝に、上元節の祝宴の準備を自分に任せてほしいと申し出る。皇帝は喜んで許可した。彼女は味方の羡広平(せんこうへい)将軍に、密かに雷火という爆薬を作らせていた。その量はもう十分。彼女は今日から運び出せと命じる。羡広平は完全に彼女の味方だ。あなたこそが、王にふさわしいと信じている。

上元節の宴。それが、すべての計画が実行される舞台になる。

第29話の感想:全員が腹に一物、息もつけない心理戦

いやー、今回はマジでヤバかったね。全員が腹に何かを隠してる。誰一人として本心を見せない。その心理戦がすごすぎて、見てるこっちが緊張しちゃうよ。

特に伍顯兒の動きがエグい。今までは父親思いの娘って感じだったのに、ここにきて一気にラスボス候補に躍り出た。父の謀反計画に乗っかりつつ、兄を皇帝にする気はなくて、自分自身がトップを狙ってる。羡広平っていう軍人も手懐けてるし、用意周到すぎる。彼女が一番怖いかもしれない。

元少城の機転もすごかった。毒酒を前にして、冷静に助けを求める暗号を送るとか、並の神経じゃない。葉平安も捕まってるのに全然弱気にならない。あなたの野心、見えてるよって相手を揺さぶるあたり、さすがとしか言えない。

伍由敬はもう完全に引き返せない道を選んだし、息子の伍安康の苦悩も見てて辛い。この親子、どうなっちゃうんだろうね。とにかく、最終決戦に向けて一気に駒が動き出した。本当に見ごたえのある回だったよ。

つづく