あらすじとネタバレ

坊ちゃんの初陣と甘くない現実

荘之行(ジュアン・ジーシン)、ついに軍隊へ行く決心をしたね。蔵海(ザンハイ)にお前が侯爵家を継ぐには功績が必要だって言われて、その気になったみたいだ。親父の莊蘆隱(ジュアン・ルーイン)をなんとか説得して、いよいよ入隊だ。旅立つ前に蔵海(ザンハイ)に挨拶へ寄ったけど、あいにく留守。まあ、あいつはいつも忙しいからな。荘之行(ジュアン・ジーシン)は使用人に伝言を頼んで、蔵海(ザンハイ)の言う通り戦場へ向かった。

一方、軍隊での生活は荘之行(ジュアン・ジーシン)にとって地獄の始まりだった。沈小行(しん しょうこう)なんて偽名まで使ってさ。坊ちゃん育ちがバレないようにしたかったんだろう。でも、態度でバレバレなんだよな。共同生活に慣れなくて、周りの兵士から完全に浮いてる。案の定、嫌がらせのターゲットにされちまった。陰湿ないじめが続く。しまいには、整列中に展昊(てんこう)ってやつに首へ虫を入れられる始末。小学生かよ、まったく。もちろん、もぞもぞ動いた荘之行は隊長に怒鳴られて、罰として板叩きの刑だ。

さすがに堪忍袋の緒が切れた荘之行。痛む体を引きずって展昊に殴りかかった。まあ、気持ちはわかる。そこに割って入ったのが、項洪(シアン・ホン)っていう小隊長だ。彼は荘之行をかばって、手当までしてくれた。いい人じゃないか、って思ったのも束の間だったな。

信じた大人の裏の顔

荘之行は偶然聞いてしまう。項洪があいつが莊蘆隱(ジュアン・ルーイン)様の息子だと知ってたから助けたって話しているのを。ああ、やっぱりかと。結局、家柄かよ。自分がただの兵士だったら、誰も助けてくれなかったんだ。荘之行は完全に人間不信に陥る。世界で唯一、無条件で自分を愛してくれたのは亡くなった母親だけだった。そう気づいて、彼はすべてが嫌になった。

もうやってられない。荘之行は軍から逃げ出す。でも、その道中でばったり蔵海に出会う。お前、なんでここにいるんだよ。まるでストーカーみたいじゃないか。蔵海は冷静に軍からの脱走は死罪だぞと告げる。母親の復讐を忘れたのかと。その言葉で、荘之行は我に返った。そうだ、俺にはまだやることがある。彼は覚悟を決め直し、自分の足で軍営へ戻って行った。少しは強くなったみたいだ。

蔵海の次なるターゲット

その頃、蔵海は欽天監(きんてんかん)で大ナタを振るっていた。仕事しない役人を次々とクビにして、組織を立て直す。そんな中、亡くなった師匠、褚懐明(チョカイメイ)から遺品を受け取る。褚懐明(チョカイメイ)親王という王族に取り入ろうとしていたらしい。その手土産として、貞祐通宝(ていゆうつうほう)っていう古銭のコンプリートセットを贈ろうとしていた。でも、あと一枚折三銭(せつさんせん)が足りないまま亡くなった。永容親王(えいようしんのう)。この名前に、蔵海の勘が反応する。こいつが三人目の仇かもしれない。

蔵海は永容親王(えいようしんのう)に近づく計画を立てる。ちょうど地方の役人が都に来る時期に、親王が宴会を開くらしい。これに参加しない手はない。もちろん、手土産はあの古銭セットだ。蔵海は高明(ガオ・ミン)に、足りない折三銭を探すよう命じた。

恋の駆け引きと一枚上手の女

高明(ガオ・ミン)は闇市でついに折三銭を見つける。だが、タッチの差で誰かに買われてしまった。その相手が、なんと香暗荼(シアン・アン・トゥー)だった。どうなってんだ、この展開は。

少し前に、香暗荼(シアン・アン・トゥー)は蔵海に告白していた。蔵海も彼女に気がある。でも、復讐が終わるまでは恋愛なんて考えられないと、返事をはぐらかした。プライドを傷つけられた香暗荼は、蔵海が会いに来てもわざと無視したりして、二人の仲はギクシャクしていた。その香暗荼が、蔵海の探し物をピンポイントで手に入れていたわけだ。

蔵海はもう一度、枕楼(ちんろう)の香暗荼を訪ねる。家の権利書まで持ってきて、倍の値段で買うと頭を下げた。香暗荼は蔵海がなぜその古銭を欲しがるのか尋ねる。蔵海は正直に、永容親王に近づくためだと打ち明けた。事情を察した香暗荼は、手相を見るふりをして、彼の手にそっと折三銭を握らせた。お金はいらない。これで、私に貸しが一つできたからうわー、うまい。完全に香暗荼の方が一枚上手だ。蔵海は、彼女の手のひらの上で転がされていることにまだ気づいていない。

感想

今回は荘之行の成長回だったな。お坊ちゃんが社会の厳しさに打ちのめされる姿は、見ていて少し胸が痛んだけど、これを乗り越えないと物語は始まらない。蔵海が絶妙なタイミングで現れて軌道修正するのが、まるで保護者みたいで面白い関係だ。

それと、蔵海と香暗荼の恋模様。もう、じれったくてたまらない。蔵海は復讐のことしか頭にない朴念仁だし、香暗荼はプライドが高くて素直になれない。でも、最後の古銭のシーンは最高だった。香暗荼がただ恋に悩む女の子じゃないってことがよくわかる。彼女は蔵海の目的を理解した上で、彼を支えようとしてるんだ。しかも貸し一つっていう形で、対等な関係を築こうとするのがいい。この二人の恋の駆け引きが、重い復讐劇の絶妙なスパイスになってる。荘之行の試練と、蔵海たちの恋愛模様。二つの話がうまく絡み合ってて、すごく見ごたえがあったよ。

蔵海に後押しされ、荘之行は父の反対を押し切って軍への入隊を果たす。しかし、お坊ちゃん育ちの彼を待っていたのは、過酷な集団生活と兵士たちからの手厳しい洗礼だった。一方、蔵海は香暗荼から想いを告げられるが、復讐を優先するあまり返事を保留してしまう。そのせいで二人の関係はすれ違っていく。そんな中、蔵海は三人目の仇である可能性が高い人物、永容親王の存在を突き止める。親王が主催する宴に潜り込むため、蔵海は特別な手土産を探し始めるが、その鍵を握っていたのは意外な人物だった。

つづく