あらすじとネタバレ
仮面の男との出会い、そして復讐の誓い
稚奴(ジーヌー)が目を覚ましたのは、小さな舟の上だった。隣には、奇妙な仮面をつけた男が座っている。男は稚奴を助けたらしい。死んだ父、蒯铎(クァイ・ドゥオ)の知り合いだと名乗った。
稚奴はすべてを思い出す。目の前で殺された父さん、母さん、そして妹の月奴(ユエヌー)。一夜にして天涯孤独の身になった。こみ上げる悲しみで、涙が止まらなかった。
岸に着くと、仮面の男が事情を話してくれた。父からの手紙を受け取り、一家を都から逃がすために駆けつけた。でも、間に合わなかった。屋敷は燃え、父の弟子も家族も皆殺しにされていた。男が救えたのは、稚奴ただ一人。
稚奴は地面にひざまずいて感謝を伝えた。同時に、心の底から誓いを立てる。莊蘆隱(ジュアン・ルーイン)…あいつは、この手で必ず殺す家族の仇を討つ。それが稚奴のすべてになった。
地獄の10年修業
仮面の男は稚奴の復讐を手伝うと約束した。ただ、相手は権力者だ。簡単にはいかない。少なくとも10年は潜伏しろ。その間に技を磨くんだ男はそう言って、稚奴を星斗大師(セイトタイシ)という人物のもとへ送った。
星斗大師(セイトタイシ)は稚奴を一目見て言った。こいつは武術の才能がないな稚奴はカチンときて、食ってかかった。師匠は気分を害したみたいで、弟子の禄存(ルー・ツン)に稚奴を連れて行かせた。
次に稚奴が意識を取り戻した時、顔は包帯でぐるぐる巻きだった。それだけじゃない。榫卯(そんぼう)っていう、釘を使わない木組みの籠に閉じ込められていた。兄弟子になる高明(ガオ・ミン)が教えてくれた。星斗大師(セイトタイシ)が稚奴の顔を整形したらしい。仇に正体がバレないように、少しだけ顔立ちを変えたそうだ。背中に受けた鞭の傷は深すぎて完全には消せなかった。傷跡を浅くするのがやっとだった。
星斗大師からの命令はシンプルだった。その籠から自力で出ろ。さもないと飯は抜きだ稚奴は父からからくり仕掛けの技術を教わっていた。得意なはずだった。なのに、どんなに試しても、この籠は開かない。腹が減って死にそうだ。朦朧とする意識の中、父の教えを思い出す。ついにからくりを解き、籠から脱出した。空腹と疲労で倒れそうになった稚奴を、高明(ガオ・ミン)が抱きとめてくれた。ここから、稚奴の全方位的な訓練が始まった。
10年という歳月が流れた。稚奴は星斗大師と高明(ガオ・ミン)のもとで、あらゆる技術を叩き込まれた。彼が彫る楼閣の模型は、本物と見紛うほど精巧だった。一方、仇の莊蘆隱(ジュアン・ルーイン)は息子を連れて各地を巡り、役人たちを巧みに手なずけていた。誰もが莊蘆隱(ジュアン・ルーイン)に逆らえなくなっていた。
新たな師匠と感情を殺す訓練
ある日、稚奴のもとに新しい師匠が来ることになった。六初(リウ・チュー)という名前だ。星斗大師はなぜか緊張した様子で、高明と修行に籠ると言い出した。稚奴は町で一番いい酒を買って、新師匠を出迎えるよう言いつけられる。
酒を買って戻ると、新師匠はもう待っていた。稚奴は自分の目を疑った。そこにいたのは、花のように美しい女性だった。
六初(リウ・チュー)は言った。私が教えるのは、男女のことよ最初の授業は女を拒絶する方法。彼女はありとあらゆる手で稚奴を誘惑する。稚奴は復讐のことしか頭にない。六初(リウ・チュー)を突き放した。
すると彼女はこう言った。人の真心には気をつけなさい六初も稚奴と同じで、幼い頃に孤児になったという。両親との楽しかった記憶はある。でも、もう顔は思い出せない。稚奴も同じだった。家族との幸せな時間は、決して忘れられない。六初の話に、稚奴は完全に心を許してしまった。
それが罠だった。復讐を果たすなら、感情を閉じ込めなさい。真心を隠すのよ六初は稚奴に警告する。感情に流されたら、復讐なんて夢のまた夢だ。稚奴は必ずやり遂げると誓う。今回の試験は半分だけ合格よ。これからは常に用心しなさい六初の言葉が、稚奴の胸に突き刺さった。
ついに復讐の時、その名は蔵海(ザンハイ)
稚奴は高明に酒を届け、感情を封じ込める秘訣を尋ねた。高明は岩のように揺るがない星斗大師様から学べと助言する。
そこに、あの仮面の男が突然現れた。男は魯班錠(ろはんじょう)という、複雑なからくりパズルを差し出す。稚奴はそれをいとも簡単に解いてみせた。男は稚奴への誕生日プレゼントだと言って、一枚の絵を渡す。それは仇敵、莊蘆隱の肖像画だった。
男は莊蘆隱の情報を詳しく説明した。やつは常に金糸で編んだ鎧を下に着込んでいる。腕利きの護衛が三人。殺し屋の瞿蛟(チュー・ジアオ)。父の元部下で裏切り者の褚懐明(チョカイメイ)。そして軍師の楊真(ヤン・ジェン)。
仮面の男は、莊蘆隱の屋敷に潜り込むよう命じた。屋敷の使用人名簿もすべて渡された。星斗大師はまだ早いと反対する。でも男は言った。太后が崩御された。朝廷は混乱している。今こそ都に入る絶好の機会だ高明もその意見に賛成した。明日、稚奴と一緒に都へ向かうと言う。
仮面の男は、稚奴に新しい身分を用意していた。これからは、蔵海(ザンハイ)と名乗れ
翌朝、蔵海(ザンハイ)が高明を探しに行くと、彼はもう出発した後だった。星斗大師から最後の注意を受け、蔵海は一人、復讐の道へと足を踏み出す。
感想
いやあ、第2話は濃かったな。10年という歳月をたった1話で描くスピード感がすごい。主人公がただ強くなるだけじゃないのが面白い。顔を変え、からくりの技を磨き、さらには女性の誘惑を断ち切る訓練まで受ける。復讐のために、元の自分を完全に殺していく過程がえぐい。特に新しい師匠の六初、彼女の授業はヤバすぎる。感情を揺さぶってからそれがお前の弱さだって突き放すんだから。鬼かよ。でも、復讐を成し遂げるにはそれくらいの非情さが必要だってことなんだろうな。いよいよ蔵海として都に入るラストシーンは、ここから本当の物語が始まるぞっていう期待感でゾクゾクした。
つづく
