あらすじ(ネタバレあり)

癸璽を盗め!蔵海(ザンハイ)の潜入作戦

春節が明けて、蔵海(ザンハイ)は史官に選ばれた。毎日、皇宮に通って歴史書の編纂作業だ。真面目に仕事してるように見える。でも、もちろん狙いは別にある。

ついに上元節の夜が来た。皇帝は宴会で留守にする。蔵海はこのチャンスを逃さない。長年追い求めてきた癸璽(きじ)を盗む計画を実行する。

作戦はこうだ。まず、協力者の明玉粛提(めいぎょくしゅくてい)が皇宮の外でド派手に花火を打ち上げる。その光で警備の禁軍の目をくらませる。その隙に蔵海が皇帝の私室、含章殿に忍び込む。完璧な計画に見えるよな。ここまでは。

親父の想いと癸璽のありか

含章殿に潜入した蔵海は、銅魚のコンパスを使って奥の部屋へ進む。そこには皇帝が手ずから彫った、たくさんのミニチュア建築が並んでいた。すごい凝りようだ。

蔵海は必死で癸璽を探す。でも見つからない。ふと、鹿と雁の彫刻が目に入る。そこには貞順九年という年号が刻まれていた。

さらに探すと、見覚えのある建物があった。10年前に火事で焼けたはずの、自分の家だ。ただ、建物の配置が少し違う。蔵海が記憶を頼りに正しい配置に直すと、ガコンと音がした。仕掛けが動いたんだ。

ついに癸璽が現れた。その箱には雁の一文字。蔵海は全てを理解する。皇帝が鹿で、自分の父・蒯铎(クァイ・ドゥオ)が雁だったんだ。二人はただの君臣じゃなかった。特別な関係だったことがここでわかる。

最悪の裏切り者、お前だったのか

蔵海は隠し通路を通って、自分の職場である欽天監に戻る。急いで癸璽の偽造に取り掛かる。本物を使って、復讐を果たすために。

そこに、同僚の時全(シー・チュエン)がやってきた。蔵海は焦る。なんとか追い返そうとする。その瞬間、時全が刀を抜いて蔵海の首に突きつけた。

時全は自分の正体を明かす。自分は曹静賢(ツァオ・ジンシエン)の義理の息子、陸焚(りくふん)だと。ずっと欽天監に潜入して、この日を待っていたんだと。マジかよ。一番近くにいたお前が裏切り者だったのか。

時全はずっと褚懐明(チョカイメイ)を監視していた。でも彼が癸璽を見つけられないから、親父の蒯铎(クァイ・ドゥオ)がいたこの場所で待ち続けていた。蔵海が現れるのを。

絶望の乱戦、そして失われた命

蔵海が呆然としていると、ボスの曹静賢(ツァオ・ジンシエン)本人が現れた。ご満悦の表情だ。蔵海は自分が蒯铎(クァイ・ドゥオ)であることを認めるしかない。

曹静賢(ツァオ・ジンシエン)は蔵海が偽の癸璽を作っていることにも気づく。そして、用済みになった蔵海を殺すよう時全に命じた。万事休すかと思われたその時。

明玉粛提と娘の香暗荼(シアン・アン・トゥー)が助けに駆けつけた。一気に乱戦状態になる。香暗荼(シアン・アン・トゥー)が蔵海を逃がそうとする。その隙に逃げようとした曹静賢を、明玉粛提が食い止める。

曹静賢は卑劣だ。癸璽を渡すフリをして、隠し持っていた弩(いしゆみ)で明玉粛提を撃った。さらに曹静賢は香暗荼に狙いを定める。蔵海がとっさに香暗荼をかばう。その蔵海を、撃たれたはずの明玉粛提が身を挺してかばった。二発目の矢が、彼女の体に突き刺さる。

明玉粛提は最後の力を振り絞り、曹静賢の体を剣で貫いた。曹静賢は部下に抱えられて逃げていく。

明玉粛提はもう助からない。彼女は蔵海に、香暗荼を守ってくれと頼んで息を引き取った。泣き崩れる香暗荼。蔵海も言葉を失う。彼は香暗荼に、母の死を事故として処理するように告げた。復讐の連鎖を止めるためじゃない。今はまだ、その時じゃないからだ。

翌朝、朝廷では皇帝が明玉粛提の病死を発表した。皇帝はその死をいぶかしむ。でも真相は闇の中だ。

第32話の感想

今回は本当に息が詰まる回だった。時全の裏切りには、正直声が出たよ。一番人の良さそうな顔をして、ずっと蔵海のそばにいたのに。彼が正体を明かした時の冷たい目は忘れられない。こういう静かな裏切りが一番心にくる。

そして何より、明玉粛提の死だ。彼女は本当に強くて気高い女性だった。最後まで娘を守り、蔵海を助けようとした。母親としての愛、一人の人間としての誇り、そのすべてが彼女の最期の行動に詰まっていた。蔵海をかばって二度目の矢を受けたシーンは、あまりにも悲しすぎる。彼女の死は、蔵海の復讐心にさらに重い意味を与えたはずだ。

曹静賢のゲスっぷりも際立っていたな。目的のためならどんな汚い手も使う。彼のせいで、物語は一気に悲劇の色を濃くした。アクションもすごかったけど、それ以上に登場人物たちの感情が爆発していて、見ていて本当に辛かった。物語がとんでもない方向に舵を切った。そんな回だった。

つづく