趙秉文(ちょう へいぶん)の罠にかかり、処刑の危機に瀕した蔵海(ザンハイ)。誰もが彼の死を確信する中、高明(ガオ・ミン)は命がけの策で蔵海を救おうとする。それは、自らの命と引き換えにした、悲しい覚悟の上の計画だった。多くの犠牲を払い、なんとか都を脱出した蔵海と香暗荼(シアン・アン・トゥー)は、趙秉文の野望を阻止するため新たな目的地冬夏へと向かう。しかし、安息の地であるはずの香暗荼の故郷で二人を待っていたのは、実の姉による冷酷な裏切りだった。新たな試練と絶望的な選択が、蔵海たちに突きつけられる。

「蔵海<ザンハイ>伝」あらすじネタバレ38話

蔵海(ザンハイ)、死す?趙秉文(ちょう へいぶん)の非情な一手

趙秉文(ちょう へいぶん)が蔵海(ザンハイ)に全部ぶちまけた。自分がやってきたことのすべてを。そして、口封じに蔵海を殺すと言い出したんだ。高明(ガオ・ミン)はそれを聞いて、胸が張り裂けそうだった。でも、何もできない。

せめて蔵海に最後の飯を食わせてやりたい。高明(ガオ・ミン)はそう頼み込んだ。趙秉文は意外にもあっさり許可した。

高明は蔵海の好物を作って、牢屋に届けさせた。蔵海はすぐにそれを平らげた。趙秉文が自ら牢屋にやってくる。蔵海への拷問貼加官を監督するためだ。高明は物陰からその様子を見ていた。蔵海が苦しむ姿に、心がえぐられるようだった。趙秉文は容赦なく、さらに刑を重くするよう命じる。やがて蔵海は動かなくなった。息がない。趙秉文は蔵海の死を確認すると、高明に遺体の始末を命じた。

死の淵からの帰還、そして悲しい真実

蔵海は意識がもうろうとする中、不思議な世界にいた。そこには死んだはずの妹、月奴(ユエヌー)と母がいた。蔵海は駆け寄ろうとする。でも母は言うんだ。お前はここの人間じゃないって。現世に戻れ、と。蔵海は戻りたくないと抵抗する。その時、蒯铎(クァイ・ドゥオ)が現れて蔵海を呼び止めた。ちゃんと生きろ、と。母と月奴(ユエヌー)、師兄たちも蔵海を見送りに来た。蔵海は痛みこらえながら、その世界を後にした。

気がつくと、高明や観風(グアンフォン)たちが必死に介抱していた。蔵海は、なんとか一命をとりとめた。実はこれ、全部仕組まれていたことだったんだ。香暗荼(シアン・アン・トゥー)が事前に高明に助けを求めていた。高明は食事に薬を混ぜて、蔵海を仮死状態にした。趙秉文をまんまと騙したってわけ。永容王が使いを送って趙秉文を呼び出したのも、幸運だった。その隙がなければ、蔵海を助け出す時間はなかった。

趙秉文は永容王を屋敷に閉じ込めた。それから執事の沈用(シェン・ヨン)を蔵海のもとへ送る。伝言はこうだ。皇帝は息を引き取る直前、ずっと蔵海の名前を叫んでいた。そして、蔵海が正しかったと認めていた、と。趙秉文は冬夏で自分の軍隊を作るつもりらしい。蔵海はそれを聞いて、趙秉文を止めるために冬夏へ行くと決めた。香暗荼(シアン・アン・トゥー)も一緒に行くと言う。高明がすぐに馬車を用意してくれた。蔵海は拾雷(シーレイ)たちに別れを告げ、京城を後にした。

決死の脱出劇と、高明の覚悟

高明は蔵海と香暗荼を城外まで送ると言った。自分は都に残って、趙秉文の動きを見張る、と。二人が商隊に紛れて冬夏へ行けるように手はずを整える。城門を抜けるための策はこうだ。蔵海と香暗荼を、疫病で死んだ遺体に見せかける。案の定、城門の衛兵が検問しようと馬車を止めた。その瞬間、高明が突然、血を吐いた。衛兵たちは高明も疫病に感染したと思い込み、慌てて馬車を通した。見事な芝居だった。城外に出ると、高明は自分の全財産を蔵海に渡した。遠くでは八公子が、二人の脱出を静かに見届けていた。

その時、蔵海は高明が残した一通の遺書を見つける。そこには衝撃の事実が書かれていた。高明は趙秉文が出した毒入りの茶を飲んでいたんだ。もう助からないと知っていた。だから蔵海を騙して、自分を置いて行かせた。蔵海は高明を助けに戻ろうとした。でも、もう遅い。高明はふらふらと数歩歩いたかと思うと、その場に倒れ込んだ。そのまま息絶えた。蔵海は声を上げて泣きたかった。でも、今はそんな時間もない。悲しみを胸に押し殺して、先を急ぐしかなかった。

新たな舞台、冬夏での試練

蔵海と香暗荼は馬を飛ばした。野宿を重ねながら、ひたすら冬夏を目指す。やがて玉仞山の麓にたどり着いた。香暗荼はそこで願い事をする。

すると、冬夏の新女王、明顔銀術(ミンイェン・インシュウ)が自ら二人を迎えに来た。彼女は香暗荼の姉だ。でも、その表情は冷たい。姉は、大雍から届いた手紙で二人が来ることを知っていた。香暗荼が王位を狙っていると疑っているんだ。問答無用で、香暗荼と蔵海は捕らえられた。蔵海は天牢にぶち込まれる。香暗荼は食事もとらずに抗議した。すると姉の明顔銀術(ミンイェン・インシュウ)は、とんでもないことを言い出す。香暗荼に、服従したばかりの海東部の王子との政略結婚を命じたんだ。香暗荼はもちろん拒否する。死んだ方がマシだと。すると姉は冷たく言い放った。香暗荼が結婚に同意するまで、毎日、蔵海の指を一本ずつ切り落とす、と。香暗荼は、もう選択肢がなかった。蔵海を救うため、その結婚を承諾するしかなかった。

今回の感想

今回はマジで感情が追いつかない回だった。特に高明だよ、高明。蔵海のために仮死状態のトリックを仕掛け、命がけで都から脱出させる。その覚悟だけでも泣けるのに、まさか自分はもう助からないと分かってて、それを隠して蔵海を送り出すなんて。最後の遺書と、蔵海の前で力尽きるシーンは、本当に胸が締め付けられた。彼の忠誠心と愛情は、このドラマの中でも屈指の名場面だと思う。趙秉文の非情さもここに極まれりって感じだな。一方で、やっとの思いでたどり着いた冬夏では、香暗荼の姉っていう新たな敵が登場。身内からの裏切りって一番キツいよな。蔵海の命を人質に取られて、香暗荼が政略結婚を承諾するしかない展開は、あまりにも過酷すぎる。悲しみと絶望が立て続けに襲ってくる、本当にヘビーな回だった。

つづく