死んだ恋人を蘇らせるという執念に囚われた莫謙之(ばくけんし)。親友の沈渡(ちんと)は彼を止めようとするが、莫謙之は民衆を味方につけて抵抗し、城を掌握する。窮地に陥った沈渡は、援軍到着までの時間を稼ぐため、一世一代の大きな賭けに出る。一方、宮廷の奥深くでは、太皇太后が静かに事態を操っていた。友の暴走を止めるため、沈渡は一人で城へ向かう。信念と信念がぶつかり合った先に、悲しい結末が待ち受けていた。

「長楽曲~白い愛、黒い罪~」あらすじネタバレ28話

第28話:届かない声、悲劇の連鎖

復活の夢、その残酷な現実

話は、沈渡(ちんと)が莫謙之(ばくけんし)を止めようとするところから始まる。死んだ潘馳(はんち)を生き返らせるなんて正気じゃない。潘馳(はんち)自身もそんなことは望まないはずだ、って必死に説得するんだ。でも、今の莫謙之(ばくけんし)に親友の声は届かない。完全に聞く耳を持たない状態だ。

その時、意識を取り戻した秀秀(しゅうしゅう)が目を覚ます。彼女は莫謙之の顔を見て、勘違いして莫兄さんって呼ぶんだよ。この一言で、潘馳が戻ってきていないという残酷な事実が確定する。沈渡(ちんと)は莫謙之を捕らえようとする。秀秀(しゅうしゅう)は最後の望みをかけて顔幸(がんこう) に本当に生き返らせる方法はないの?って聞くけど、顔幸(がんこう) は静かに首を振るだけ。希望が完全に断たれた瞬間だった。

民衆を盾にした反乱

沈渡が莫謙之を連行しようとしたら、驚くことに莫謙之は先手を打っていた。彼は民からの評判が良かったから、それを逆手にとって民衆を扇動して抵抗するんだ。それだけじゃない。沈渡が昔、悪徳役人の排除を邪魔したこととか、火蛾門と裏で繋がってるんじゃないかっていう疑惑をぶちまけて、沈渡を悪者に仕立て上げる。

これには沈渡も完全に不意を突かれて、一気に追い詰められる。マジでヤバいって時に、孫譚(そんたん)が部隊を率いて駆けつけてくれた。おかげで沈渡たちはなんとか郊外に逃げ延びることができた。

すべてを操る太皇太后の影

郊外で体勢を立て直そうとしていると、今度は太皇太后から密詔が届く。援軍1万を送るから営州を取り戻せ、という内容だ。でも、沈渡はこの援軍の速さに違和感を覚える。あまりにも早すぎる。

ここで顔幸が衝撃の事実を明かす。実は自分も太皇太后から密命を受けていた。そして、おそらく司馬比丘(しばひきゅう)が内通者で、事前に営州の異変を報告していたんだろう、と。つまり、自分たちの行動はすべて太皇太后に監視されていたってことだ。景林(けいりん)なんて、その事実に気づいて愕然としてる。

最後の説得、そして決裂

沈渡は一つの作戦を思いつく。援軍が来るまでの時間稼ぎだ。潘馳に偽の旗印を作らせて、莫謙之を騙すことにした。

その上で、沈渡はたった一人で莫謙之に会いに行く。武器も持たずに、最後の説得を試みるんだ。でも、莫謙之の決意は固かった。彼は空っぽの食糧袋を証拠として見せつけ、こんな腐った朝廷のために師匠が守った土地に価値があるのか、と沈渡を責める。城の民の命を盾に説得しても、彼の心は動かない。交渉は完全に決裂した。

牢獄で明かされる真実と悲劇の結末

決戦の末、莫謙之は捕らえられる。牢獄で、沈渡は彼にすべての真実を明かす。援軍なんて来ていないこと。すべては潘馳が外で偽の情報を流して作り出した幻だったこと。そして、死者を蘇らせる術なんてこの世には存在しない、お前は虚像に騙されていたんだ、と。

沈渡が莫謙之を連行しようとした、その時だった。秀秀が現れたんだ。命の恩人である莫謙之と最後に話をさせてほしい、と涙ながらに頼む。沈渡は反対するけど、秀秀は自らを傷つけようとして、無理やり許可させる。

秀秀は莫謙之に感謝の言葉を伝えると、彼の目の前で自らの命を絶った。純粋すぎる愛の、あまりにも悲しい結末だった。

そして、莫謙之もまた、秀秀と話している間に密かに毒を飲んでいた。彼は死ぬ直前、沈渡に秀秀の肖像画の裏に、君への遺品を隠したと告げて息絶える。友の執念と、彼を一途に愛した少女の悲劇を目の当たりにして、沈渡はただ立ち尽くすしかなかった。

第28話の感想:救いのない純愛が辛すぎる

いや、もう今回は言葉が出ないよ。莫謙之の狂気じみた執念も、元はと言えば潘馳への深い愛情から始まってる。その純粋な想いを、秀秀が信じてしまった。彼女もまた、ただただ一途だっただけなんだ。その純粋さが、最悪の形で連鎖して、二人を死に追いやってしまった。この皮肉が本当にキツい。

沈渡も辛いよな。親友を止めたかった。でも、結局誰も救えなかった。正義って何なのか、誰が本当に悪なのか、まったく分からなくなる。それぞれのキャラクターの感情が激しくぶつかり合って、本当に重くて、見ごたえのある回だった。後味が悪すぎて、しばらく引きずりそうだ。

つづく