仵作(検視官)への敬意と、深夜の幽霊屋敷に眠る謎の遺体

西南の黔州(けんしゅう)に到着した安郡王・蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)の一行。

楚楚(ソ・ソ)の実家である楚家に宿を借りた蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)は、世間から忌み嫌われる仵作への深い理解を示し、楚家の心を掴みます。

しかし、楚楚(ソ・ソ)の兄・楚河の異常なまでの警戒心と、深夜に訪れた「幽霊屋敷」の壁の奥から発見された宦官の遺体が、かつての政変と現在の偽金事件を繋ぐ新たな波乱を巻き起こす第11話です。

第11話の詳細解説:実家に隠された秘密と偽金追及の心理戦

蕭瑾瑜が示した仵作への敬意と、兄・楚河の焦燥

楚楚の家族への簡単な問診を終えた蕭瑾瑜は、今夜は楚家に泊まりたいと申し出ます。

世間一般では、死体を扱う仵作の家は「縁起が悪い(晦気)」と敬遠されがちですが、蕭瑾瑜は違いました。

「死者の無念を晴らし、官府の悪人退治を助ける仵作は、深く尊重されるべきだ」

この言葉に深く感動した楚楚の祖父は、我が意を得たりとばかりに大喜びで酒菜を振る舞う準備を始めます。

しかし、蕭瑾瑜の鋭い観察眼は楚家の違和感を捉えていました。

彼らは楚楚をとても可愛がっているものの、本当の血縁者に対する態度とはどこか違う。特に兄の楚河は、妹を連れ帰った自分たちに対して異常なほど防備を固めています。

当初は夜のうちに景翊(ケイ・ヨク)(ケイ・ヨク)へ向かう予定でしたが、蕭瑾瑜はこの謎を解き明かすため、あえて楚家に留まる決断を下しました。

その頃、楚河は妹を問い詰めていました。長安での出来事を聞き、蕭瑾瑜が楚楚の素性を調査しようとしていると知った途端、楚河は激昂します。

「仵作の試験なんて諦めろ!」と強く迫る楚河ですが、憧れの玉面判官のようになりたい、そしていつか家族を繁栄した長安へ連れていきたいと願う楚楚は首を縦に振りません。

楚河は言い知れぬ苦悩を抱えたまま部屋を飛び出し、楚楚はその怒りの理由が分からず立ち尽くします。

時を同じくして、ある闇の人物の元に「魚が針から外れて黔州に入った(標的が長安を離れ黔州に向かった)」という匿名の手紙が届いていました。

偽金事件の宣戦布告と、徹夜で作られた検視道具

その夜、楚楚が心を込めて作った手料理を囲み、温かい宴が開かれます。しかし楚河だけは、終始鋭い視線で蕭瑾瑜を睨みつけていました。

一方、県衙の歓迎の席では、黔州刺史の李璋(りしょう)と関嶺県令の鄭有德(ていゆうとく)らが景翊(ケイ・ヨク)と冷月(レイ・ゲツ)(レイ・ゲツ)を接待していました。

すると景翊は、突如として一串の銅銭を机に叩きつけます。

鄭有德はそれをただの「褒美の金」と勘違いして受け取ろうとしますが、冷月(レイ・ゲツ)が激怒して机を叩き、すっとぼけるなと一喝。

景翊は単刀直入に「これはすべて私鋳銭(偽金)だ」と告発しました。

あまりに精巧な作りに、李璋と鄭有德は驚愕し、膝を突いて偽金の流通に気づかなかった罪を謝罪します。景翊は彼らの言い訳を遮り、この偽金事件の捜査をそのまま彼らに命じるという高度な心理戦を仕掛けました。

楚家では、楚楚が蕭瑾瑜のために特製の「お酒覚ましスープ」を用意していました。彼の胃腸が弱いことを見抜いていた楚楚の優しさに、蕭瑾瑜は静かに浸ります。

さらに蕭瑾瑜は、ある木箱を楚楚に手渡しました。中に入っていたのは、長安の最高峰の鋳剣師から譲り受けた上質な素材を使い、長安から黔州へ向かう道中に蕭瑾瑜が徹夜で鍛え上げた「新しい検視道具一式」でした。

第4話の馮府の火災で道具を失った楚楚のために用意された、不器用ながらも深い愛が詰まった贈り物に、楚楚は激しく胸を打たれます。

そこへ、壁を越えて密かに景翊が合流。楚家が普段から「名もなき無主の墓」を熱心に参拝しているという奇妙な情報を蕭瑾瑜に伝えました。

幽霊屋敷の怪音と、壁の中から現れた宦官の遺体

そこへ、酒に酔った楚河が怒鳴り込んできます。蕭瑾瑜の肝を試してやると言わんばかりに、長年怪音が鳴り響き「幽霊屋敷」と恐れられている巫医(おじさん)の旧邸へ行こうと挑発。

蕭瑾瑜は拒むことなく、蕭瑾璃(しょう・きんり)(しょう・きんり)、楚楚、そして楚河を伴って深夜の幽霊屋敷へと足を踏み入れました。

不気味な鬼の鳴き声のような音が響き渡る中、蕭瑾瑜は冷静に音の出処を特定。風が吹き込むことで奇妙な音を鳴らしていた石の仕掛け(石碓)を発見します。

武芸の達人である蕭瑾璃(しょう・きんり)が木杭を使ってその石の仕掛けを突き崩した瞬間、崩れ落ちた壁の奥から一具の男の死体が姿を現しました。

恐怖を忘れてすぐに遺体を調べ始める楚楚。

その検視結果は衝撃的なものでした。遺体は「天根が断たれている(去勢されている)」こと、そして衣服のポケットから「内侍省(宦官の管理機関)の牌子」が発見されたのです。

深夜の幽霊屋敷に隠されていたのは、まぎれもない「長安から来た宦官の遺体」でした。

考察と解説:楚家の隠蔽工作と、発見された宦官の正体

今回のエピソードで最も重要なのは、巫医の古い屋敷の壁から発見された「宦官の遺体」です。

第10話で語られた通り、この屋敷の主である巫医は、数年前に朝廷の討伐軍が黔州へやってきた直後、忽然と姿を消しています。

その巫医の自宅の壁に、長安の内侍省の牌を持った宦官が埋められていたということは、巫医(=蕭恒の可能性が極めて高い)が朝廷からの追っ手(宦官)を返り討ちにし、壁に隠蔽して逃亡したことを意味しています。

また、楚河が楚楚の長安行きや素性の調査をこれほどまでに拒む理由も、この遺体の存在と深く関わっているはずです。

楚家は、巫医が朝廷の人間を殺害したこと、あるいは楚楚の出生が朝廷の禁忌(甘露の変の遺児など)に触れていることを知っているからこそ、これ以上長安の役人である蕭瑾瑜に関わってほしくないのです。

景翊が報告した「無主の墓」も、この殺された宦官、あるいは楚楚の本当の生母に関わる墓である可能性が浮上してきました。

感想と次回の見どころ

普段は冷徹な蕭瑾瑜が、道中に馬車の中でコツコツと楚楚のために検視道具を夜な夜な手作りしていたという事実が最高にロマンチックです。高価な宝石ではなく、彼女の仕事に対する最大の理解を示す「道具」を贈るあたり、安郡王の愛の深さが伺えます。

しかし、後半のサスペンス展開への急転回は見事。

深夜の幽霊屋敷のホラー演出から、一転して法医学による「宦官の証明」へと繋がる流れは鳥肌ものです。

次回、この壁から出た宦官の身元は特定されるのか。そして刺史の李璋は、景翊から突きつけられた偽金事件の捜査にどう対応するのか。黔州の闇が、ついにその姿を現し始めます!

つづく