揺るがない二人の絆と、長安で交錯する「簪の絵図」

前話で許如帰から「親世代の因縁」を突きつけられ、動揺を隠せなかった楚楚(ソ・ソ)。しかし安郡王・蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)は、犯人の離間計(仲違いを狙う罠)に落ちることなく、彼女へ変わらぬ信頼と重用を示します。

一方、長安では楚楚(ソ・ソ)の生母の遺品である「簪の絵図」を巡り、皇室と景家の過去が結びつき始めます。さらに、巫医(蕭恒)の旧邸に残された光る石と山水画が、新たな真実の扉を開く第17話です。

第17話 詳細解説:散布される昌王の流言と旧邸の秘密

信頼の再構築と、秘書郎・厳明の手札が遺した手がかり

許如帰は楚楚に実の親の素性を明かすことで、彼女と蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)の間の信頼関係を破壊しようと目論んでいました。しかし蕭瑾瑜は、彼女の能力を誰よりも高く評価し、三法司の仵作として改めて重用することを宣言。二人の間には以前よりも強固な信頼関係が築かれます。

蕭瑾瑜は長安で起きた秘書郎・厳明の暗殺事件に思いを馳せていました。厳明が遺した、まだ墨痕も新しい手札(日記・備忘録)の内容から、彼が生前に「昌王の幼子」に関する何らかの決定的な手がかりを掴んでいたのではないかと推測します。

長安の謀略:秦欒の進言と景夫人が見覚えた簪

長安の皇宮では、大太監・秦欒が「昌王生存の噂」を打ち消すため、唐宣宗へある策を講じていました。先帝(武宗)の諸子に一斉に諡号(贈り名)を授けることで、昌王が既に死亡していることを公に示し、流言を根底から覆すという計画です。唐宣宗はこの提案を受け入れ、さらに西南の黔州から一向に連絡のない蕭瑾瑜の動向を探るため、長安にいる侍衛長・呉江を宮中へ召集します。

退廷後、側近の孫明徳は、なぜ秦欒が前話で服毒自殺した小太監のことを隠し、皇帝に報告しなかったのか疑問を抱きます。秦欒の真意は、自分たち師弟の身を守ることにありました。かつて昌王の最期を直接看取ったのは、他ならぬ秦欒と孫明徳。皇帝に少しでも「昌王生存」の疑念を持たせないためには、昌王は完全に死んだと突き通す必要があったのです。

一方、蕭瑾瑜は「昌王一脈が皇位を奪還するためには、昌王を擁立して謀反を起こす大義名分が必要であり、あえて生存説を流布している」と睨んでいました。敵は万事の準備を終え、あとは決起の機会を待つのみ(万事俱備,只欠東風)という緊迫した状況です。

蕭瑾瑜は楚楚の身の安全を守るため、大理寺少卿・景翊(ケイ・ヨク)に彼女の素性を絶対に口外しないよう厳命。景翊(ケイ・ヨク)は親友の必死な様子を見て、蕭瑾瑜の心に深く楚楚が住み着いている(恋心を抱いている)ことを確信し、ニヤリと笑います。

その頃、長安の景閣老の元へ、景翊から「宝石の簪の絵図」が届きます。それを見た景夫人は即座に反応しました。かつて西平公主の母妃から一対(二本)の簪を贈られ、一本は自分が持ち、もう一本は誰かに贈ったというのです。誰に贈ったかの記録を調べるため、景閣老は即座に病気と称して朝廷の早朝会議(早朝)を欠席し、自宅に籠もって過去の贈答記録の徹底調査を開始しました。

楚楚の遺言と、光る結晶石が示す将棋盤の暗号

黔州では、楚楚の養父・楚平が柴房(薪小屋)に囚われている許如帰の元へ密かに忍び込み、彼がかつて失踪した「許宗方」その人であることを確認します。

一方、楚楚を不憫に思う祖父は、血の繋がらない彼女を正式に楚家の族譜(家系図)に書き加えようとしていました。しかし楚楚はそれを断り、「自分が死んだ後は、ただ実の母の傍に埋めてほしい」と寂しげに願います。

この会話を偶然盗み見ていた蕭瑾瑜は、楚楚がまるで遺言のような覚悟を持っていることに心を痛めます。同時に、長安の景閣老の動き次第では、景翊が楚楚の安全を顧みずに彼女の情報を京の朝廷へ送ってしまうのではないかと懸念を募らせていました。

そんな中、蕭瑾瑜は楚楚がキノコを焼くために使っていた不思議な石に目を留めます。その石は、光を当てると内部が透き通って美しく輝く「結晶石(晶石)」でした。楚楚から「巫医のおじさんも、光を当てると透き通る石の話をしていた」と聞いた瞬間、蕭瑾瑜の脳裏に電撃が走ります。

それは、第14話で父の隠れ家から発見された、何度指し直しても最後に「車・馬・象・卒」の四枚が残るという、あの不可思議な将棋盤の暗号でした。あの四枚の棋子こそ、この光る結晶石で作られていたのではないか、と蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)は直感します。

楚河の暴走と、巫医の旧邸に遺された山水画の秘密

楚楚の義兄・楚河は、蕭瑾瑜が妹を危険な事件に巻き込み続けていることに激しい不満を抱いていました。彼は柴房へ行き、見張りの侍衛を騙して中へ潜入します。狡猾な許如帰は楚河の単純な性格(愣頭青)を見抜き、「このままでは楚楚の命が危ない、彼女を救いたければ俺をここから逃がせ」と甘い言葉で揺さぶりをかけました。楚河はその言葉を真に受け、許如帰を逃がそうとしますが、間一髪で侍衛が戻ってきたため、計画は一時中断を余儀なくされます。

その頃、楚楚は蕭瑾瑜を伴って、巫医の旧邸(幽霊屋敷)を再び訪れていました。

屋敷の周囲や室内の壁を丹念に観察していた蕭瑾瑜は、壁に掛けられた大量の山水画に違和感を覚えます。描かれているのはすべて、地元の「鳳凰山」と「永安河」の景色ばかり。

楚楚によれば、巫医のおじさんは失踪する直前、突如としてこれらの山水画を熱心に収集し始めたといいます。蕭瑾瑜は、これらの絵画と先ほどの光る結晶石の間に、父・蕭恒が命懸けで遺した黔州の巨大な秘密(私鋳銭のアジトや謀反の拠点など)が隠されていると確信しました。

考察と解説:昌王の幼子と、山水画が示す鳳凰山の地形

今回、蕭瑾瑜の口から出た「昌王の幼子」というキーワードは、今後の展開を大きく左右する極めて重要な伏線です。

第14話で、蕭瑾瑜の恩師である薛汝成が「武宗の嫡出子」であることが判明しましたが、もし彼が「昌王の遺児(あるいは昌王そのもの)」を名乗り、現在の皇帝から皇位を奪還しようとしているとすれば、すべての辻褄が合います。厳明はその秘密に気づいたために消されたのです。

そして、巫医(蕭恒)が遺した大量の山水画。

すべてが「鳳凰山」と「永安河」を描いているという事実は、これらの絵画が単なる美術品ではなく、精密な「地形図(暗号マップ)」であることを示しています。

光を当てると透き通る結晶石の棋子(車・馬・象・卒)を、これらの山水画の特定の場所に配置することで、私鋳銭(偽金)の隠密な鋳造基地や、反乱軍の潜伏場所を示す正確な座標が浮かび上がる仕組みになっていると推測できます。

また、長安の景家が調べ始めた「簪の贈答記録」も楚楚の出自を確定させる爆弾です。西平公主の母妃(皇太后)から景夫人へ贈られた一対の簪。その片方が楚楚の母・許氏の手に渡っていたということは、許氏の家系、あるいは楚楚の本当の父親(陳瓔の副将・雲易)が、かつての皇室や高貴な官僚一族と血縁、または非常に深い主従関係にあった動かぬ証拠となります。

感想と次回の見どころ

許如帰の卑劣な罠をものともせず、楚楚への絶対的な信頼を貫く蕭瑾瑜の男気に胸が熱くなります。景翊から「心の中に人が住んでいる(惚れている)」とからかわれて、否定しきれない安郡王の表情もたまりません。

しかし、楚楚が実母の隣に葬られたいと遺言のように語るシーンは切なすぎます。

さらに、許如帰の口車に乗せられて完全に騙されかけている兄・楚河の暴走が、今後の大きな不穏分子になりそうでハラハラさせられます。

結晶石の光と、壁に掛けられた山水画。父・蕭恒が遺した暗号が、ついに具体的な形となって蕭瑾瑜の前に現れました。

次回、蕭瑾瑜は鳳凰山の山水画からどのような秘密の場所を割り出すのか。

そして長安で景閣老が突き止める簪の本当の持ち主の正体とは。緊密に絡み合う暗号解読の行方から目が離せません!

つづく