あらすじ
明朝末期に実際に起きた謎の大爆発事件をモチーフに、中国の古典『山海経』の世界観と、西洋のクトゥルフ神話が融合した、オリエンタル・ミステリー・アクション大作です。
あらすじ
舞台は明朝末期の天啓(てんけい)年間。皇帝直属の秘密警察である「錦衣衛」の百戸(隊長格)褚思鏡(ちょ・しきょう)は、辺境の地・寧遠(ねいえん)城で発生した謎の疫病を調査せよとの密命を受けます。
現地では「妖魔の祟りだ」「病人が怪獣に食い殺された」といった不気味な噂が飛び交い、人々は恐怖に怯えていました。しかし、現地の役人たちはこれをただの傷寒(伝染病の一種)だと主張し、何かを隠しているかのように真相を語ろうとしません。
疑念を抱いた褚思鏡(ちょ・しきょう)は、屈強なタタール人の役人・伯顔(バヤン)や、ミステリアスな異国の女性船長アンジェリカといった、敵とも味方ともつかない人物たちと出会い、時に協力し、時に衝突しながら、事件の核心に迫っていきます。
調査の舞台が、海に浮かぶ孤島・烏暮(うぼ)島(うぼとう)へと移ったとき、彼は疫病の裏に隠された、人知を超えた存在と巨大な陰謀に直面することになるのでした。
見どころ
史実と神話が織りなす、重厚な世界観
実際に起きた「天啓(てんけい)の大爆発」という歴史上の大事件の謎を物語の起点とし、中国最古の地理書とされる『山海経』や『神異経』に記された古代のクリーチャーたちが登場します。 歴史ミステリーとダークファンタジーが融合した、壮大で独特な世界観が魅力です。
東洋の神秘とクトゥルフ神話の融合
本作は、中国古来の伝承が持つ神秘的な雰囲気に、じわじわと正気を蝕むようなクトゥルフ神話的な恐怖演出を巧みに融合させています。 冷たいトーンで描かれる映像美と、常識では説明のつかない怪異が、「東洋怪談」とも言うべき未知の恐怖とサスペンスを生み出しています。
謎が謎を呼ぶ、本格ミステリー
単なる疫病調査から始まった物語は、主人公の弟の失踪、朝廷内の権力闘争、そして島に潜む謎の組織へと、次々と新たな謎へと繋がっていきます。 幾重にも張り巡らされた伏線が、視聴者の知的好奇心を刺激し、主人公と共に真相を追いかける没入感を味わえます。
圧巻のクリーチャーと迫力のアクション
『山海経』などを典拠とした、異形のクリーチャーたちの独創的なビジュアルは圧巻の一言です。 主人公たちが、これらの人知を超えた存在に立ち向かう、視覚的インパクトの強い戦闘シーンも大きな見どころの一つです。
好みが分かれるかもしれないポイント
- じっくりと進む物語:序盤は多くの伏線を丁寧に描いていくため、物語の展開は比較的ゆっくりです。そのため、性急な展開を好む方よりは、重厚な世界観にじっくりと浸りながら謎解きを楽しみたい方におすすめの作品と言えるでしょう。
- 独創的なクリーチャーデザイン:登場するクリーチャーは中国の古典籍に名前の由来がありますが、そのデザインは西洋ファンタジーの要素も取り入れた独創的なものとなっています。古典のイメージに強いこだわりがある方は、少し意外に感じるかもしれません。
各話あらすじとネタバレ(全12話)
1話
天啓(てんけい)三年、朝廷の密命を受けた錦衣衛のエリート、褚思鏡(ちょ・しきょう)は、奇病が噂される雪深い辺境の砦・寧海堡へと派遣される。しかし、現地の役人たちは非協力的で、何かを隠している様子が明らかだった。砦の不審な習慣や、謎の島民との遭遇を経て、褚思鏡(ちょ・しきょう)は事件の裏に潜む巨大な陰謀の存在を確信する。案内役の伯顔(バヤン)と共に、彼は固く閉ざされた砦の秘密に迫っていく。
2話
奇病が蔓延するという烏暮(うぼ)島に上陸した錦衣衛の褚思鏡(ちょ・しきょう)と韃靼(だったん)の武官・伯顔(バヤン)。二人は、島に古くから伝わる「魚を食べると災いが起きる」という奇妙な禁忌と、何かを隠しているような村人たちの姿を目の当たりにする。褚思鏡は、行方不明の弟の手がかりを探すため、独自の調査を進めていくが、次々と不可解な出来事に遭遇する。島の暗い秘密に迫る二人を待ち受けていたのは、人知を超えた恐ろしい脅威だった。
3話
行方不明の弟を知るという謎の少女と出会った褚思鏡(ちょ・しきょう)。彼女の曖昧な記憶と、繰り返し見るという悪夢を手がかりに、弟の失踪の真相に迫ろうとします。一方、島の調査を進める中で、相棒の伯顔(バヤン)が島の住人に捕らえられ、島の隠された秘密が少しずつ見え始めます。怪物に追われ、命からがら島を脱出した褚思鏡は、濃霧の海を漂流した末、巨大な異国の戦艦に救助されます。しかし、たどり着いた先で朝廷の役人に捕らえられ、絶体絶命の危機の中で、生き残りをかけた新たな任務を与えられることになるのでした。
4話
ついに謎の島に上陸した褚思鏡(ちょ・しきょう)は、異国の女性アンジェリカの一行と行動を共にする。深い霧と不気味な静寂に包まれた島で、彼らはついに凶暴な怪物と対峙し、捕獲に成功する。しかし、怪物を「家族」と呼ぶ謎の少女・沈淙(しん・そう)の存在や、突如現れた黒装束の集団によって、事態は三つ巴の混戦模様に。それぞれの思惑が交錯する中、褚思鏡(ちょ・しきょう)は島の深淵に隠された真実に迫っていく。
5話
行方不明の弟を探す褚思鏡(ちょ・しきょう)は、島の少年・雷隧(らい・ずい)と行動を共にする中で、島に蔓延する奇妙な病と村人たちの狂気を目の当たりにする。一方、牢から脱出した伯顔(バヤン)は、島の長老・丘芷(きゅうし)と出会い、恐れられていた「怪物」の悲しい正体と、その裏に隠された秘密に触れる。それぞれの場所で起きていた事件は、やがて島に潜む邪教組織「横公」の存在へと繋がっていく。大切な少女が連れ去られたことで、褚思鏡たちは否応なく島の闇の核心へと迫っていくことになる。
6話
烏暮(うぼ)島を支配する謎の組織「黒環」の罠にかかり、仲間を失った褚思鏡(ちょ・しきょう)。彼自身も捕らわれの身となり、謎の薬によって弟の幻覚を見せられる。黒環のメンバー・賀子礁(が・ししょう)の真の目的とは一体何なのか。一方、同じく捕らえられた少女・沈淙(しん・そう)にも異変が起きる。絶体絶命の状況で、島の秘密がさらにその深淵をのぞかせ、物語は予測不能な領域へと突入していく。
7話
牢獄で発生した奇怪な連続死事件により、島内の緊張は一気に高まる。事件の隠蔽を図る徐宗器(じょ・そうき)は、上官の楊公公(ようこうこう)と対立し、追い詰められていく。一方、謎の薬によって超人的な力を得て覚醒した褚思鏡(ちょ・しきょう)は、弟の失踪にまつわる自らの過去と向き合い、島に留まる決意を新たにする。目的を同じくするアンジェリカと同盟を結んだ彼は、仲間と合流するが、そこへさらに狡猾になった怪物が村を襲う。絶体絶命の危機に、仲間の一人が悲壮な決断を下す。
8話
島に現れた怪獣との死闘の末、褚思鏡(ちょ・しきょう)は仲間と共に辛くもこれを退ける。しかし、その裏で島の少女・沈淙(しん・そう)が何者かに操られているという衝撃の事実を知ることに。一方、この島で蔓延する奇病の兆候が、ついに褚思鏡自身の体にも現れ始める。行方不明の弟の謎、そして自らの体の異変に焦る褚思鏡に対し、島の秘密を知る沈譲(しん・じょう)は固く口を閉ざしていた。しかし、ある出来事をきっかけに、彼はついに2年前に起きた悲劇について重い口を開き始める。島の深き闇へと、物語はさらに加速していく。
9話
弟・褚思鈺(ちょ・しぎょく)の行方を追う褚思鏡(ちょ・しきょう)と、妻の不審な行動に疑念を抱く沈譲(しん・じょう)。二人の道が、烏暮(うぼ)島で開かれる不気味な祭祀の夜に交差する。島の住人たちを操る黒幕の正体、そして古くから伝わる怪異の真相とは。祭祀の夜、沈譲と褚思鈺は島の深淵に潜む秘密を暴くため潜入するが、そこで彼らを待ち受けていたのは、想像を絶する衝撃的な出来事だった。閉ざされた島で、希望は見出せるのか。物語が大きく動き出す、緊迫の第9話。
10話
援軍を求め島を出た伯顔(バヤン)を、まさかの裏切りが襲う。一方、島に残された褚思鏡(ちょ・しきょう)たちは、ついに姿を現した怪物との決戦に挑む。しかし、その裏では黒幕・賀子礁(が・ししょう)の陰謀がうごめき、沈譲(しん・じょう)・沈淙(しん・そう)親子に逃れられない悲劇が迫っていた。仲間との共闘、そして父の愛が試される極限状況の中、彼らは生き残る術を見つけ出すことができるのか。希望の光が差し込んだかと思えば、さらに深い闇が彼らを飲み込もうとする、息をのむ展開が待ち受ける。
11話
怪物に囲まれ絶体絶命の褚思鏡(ちょ・しきょう)は、援軍を連れて帰還した伯顔(バヤン)によって九死に一生を得る。しかし、彼らが連れてきた新たな協力者・唐安(とう・あん)の冷酷なやり方は、島に新たな火種を生むことに。一方、伯顔がもたらした情報から、怪異の元凶「横公」の巣窟の在り処が少しずつ見えてくる。そんな中、褚思鏡たちのすぐそばにいた人物の驚くべき正体が発覚し、物語は核心へと大きく動き出す。謎と裏切りが交錯し、一瞬たりとも目が離せない展開が続く。
12話(最終回)
行方不明の弟と奇病の謎を追い、ついに諸悪の根源が潜む東の海域へたどり着いた褚思鏡(ちょ・しきょう)一行。羅針盤も効かない魔の海で彼らが発見したのは、古の儀式が行われるという珊瑚島だった。弟の生存を信じ、危険な海底洞窟へと足を踏み入れる褚思鏡。しかし、そこで彼を待ち受けていたのは、想像を絶する存在と、仲間たちの未来を懸けたあまりにも過酷な選択だった。果たして、褚思鏡は島に平和を取り戻すことができるのか。物語は衝撃の結末を迎える。
キャスト、登場人物

褚思鏡(ちょ・しきょう)
黃軒(ホアン・シュエン)

伯顔(バヤン)
呉樾(ウー・ユエ)

アンジェリカ
張榕容(サンドリーナ・ピナ)

沈譲(しん・じょう)
蘆芳生(ルー・ファンション)