梅長蘇(ばいちょうそ)は靖王(せいおう)に沈追(しんつい)という人物を推挙した。民のことを思い、実直な沈追(しんつい)は戸部尚書の適任者だと。ちょうどその時、梁帝(りょうてい)の側近である高湛(こうたん)も沈追(しんつい)の名を挙げ、その中立的な立場から梁帝(りょうてい)も彼を最適だと判断し、沈追(しんつい)は戸部尚書に任命された。

靖王(せいおう)は長年の遠徴で六部の事情に疎いため、梅長蘇(ばいちょうそ)は予め用意していた六部及び三司協審の官吏名簿を靖王(せいおう)に渡し、彼らと誠実に付き合うよう助言した。

演武場では、飛流(ひりゅう)と戚猛(せきもう)が手合わせをしていた。観戦していた梅長蘇(ばいちょうそ)に対し、戚猛(せきもう)は挑発的な態度をとる。梅長蘇(ばいちょうそ)はこの機会を利用し、靖王(せいおう)の軍の規律の緩み、綱紀の乱れを指摘し、皇位継承の準備として軍務の厳正化を促した。靖王(せいおう)はハッと気づき、戚猛(せきもう)を厳罰に処した。

靖王(せいおう)は三司を招集し、梅長蘇(ばいちょうそ)が提供した名簿に基づき、輔審官吏を任命した。

梅長蘇(ばいちょうそ)の計画通り、"蘭園蔵屍案"は証拠確鑿となり、楼之敬(ろうしけい)は逮捕され、死刑を宣告された。

野菜売りに扮した童路(とうろ)は、梅長蘇(ばいちょうそ)と十三先生(じゅうさんせんせい)への連絡役を担っていた。彼の妹は蘭園で楼之敬(ろうしけい)に殺害され、無念の死を遂げていた。今、一家は仇を討ち、梅長蘇(ばいちょうそ)に深く感謝した。

梅長蘇(ばいちょうそ)は次の目標を吏部に定めた。楊柳心妓楼では、宮羽(きゅうう)の手配により、心柳(しんりゅう)と心楊(しんよう)が命懸けで文遠伯(ぶんえんはく)の息子、邱澤を陥れる準備を整えていた。二人の弟は13歳の時、邱澤に撲殺されていたのだ。

宮羽(きゅうう)の計略により、吏部尚書何敬中(か けいちゅう)の息子、何文新(か ぶんしん)は邱澤と妓女を巡って争い、激しい喧嘩となる。計画通り、何文新(か ぶんしん)は衆人環視の中で邱澤を撲殺した。

京兆尹高昇(こうしょう)は自ら何文新(か ぶんしん)を捕縛に向かうが、門前払いを受ける。吏部尚書の何敬中(か けいちゅう)は誉王(よおう)に助けを求めた。誉王(よおう)の幕僚は、何文新(か ぶんしん)を一旦引き渡し、高昇(こうしょう)に結審させ、刑部(けいぶ)に報告が上がった後で、改めて対応する策を提案した。

文遠伯(ぶんえんはく)は幾度も刑部(けいぶ)に事件の進捗を問い合わせるが、刑部(けいぶ)尚書の斉敏(せいびん)に躱され続け、埒が明かない。

寧国公(ねいこくこう)は秋決となり、家財は没収された。裁判は見事に成功したが、靖王(せいおう)は梁帝(りょうてい)から僅かな称賛しか得られなかった。一方、寛大な態度を示し、騒ぎを起こさなかった誉王(よおう)は多大な褒美を受けた。輔審官吏たちは不公平だと感じたが、靖王(せいおう)にとってはいつものことだった。

言豫津(げんよしん)と蕭景睿(しょうけいえい)は紀王府を訪ね、紀王が事件現場に居合わせ、何文新(か ぶんしん)が殺害するのを目撃していたことを知る。

第10話の感想

第10話は、梅長蘇(ばいちょうそ)の周到な計画性と冷徹なまでの復讐心が際立つエピソードでした。まるで盤上の駒を動かすように、何敬中(か けいちゅう)父子と邱澤を利用し、見事に復讐を果たす様は、見ていて鳥肌が立ちました。特に、心柳(しんりゅう)と心楊(しんよう)姉妹の悲痛な過去と、復讐への強い意誌が描かれたシーンは、胸を締め付けられる思いでした。彼女たちの弟を殺害した邱澤が、同じように命を落とすという因果応報的な結末は、ある種の残酷さを感じさせながらも、カタルシスも感じられました。

一方、靖王(せいおう)は梅長蘇(ばいちょうそ)の指示に従い、著実に勢力を拡大していきます。しかし、寧国公(ねいこくこう)事件の功績が正当に評価されず、誉王(よおう)が褒美を得るという不条理な状況に、改めて朝廷内の権力争いの複雑さを思い知らされます。靖王(せいおう)の真面目さと実直さは、時に損をする結果に繋がるようですが、梅長蘇(ばいちょうそ)の支えによって、少しずつ変化していく兆しも見られます。演武場での戚猛(せきもう)への叱責は、まさにその象徴と言えるでしょう。

つづく