ついに迎えた最終回!『独孤(どっこ)伽羅(から)~皇后の願い~』第55話、もう涙なしには見られませんでしたね…。激動の時代を駆け抜けた独孤(どっこ)家の三姉妹、そして楊堅(ようけん)と伽羅の愛の行方はどうなったのか?早速、波乱万丈の最終回のあらすじとネタバレを、私の感想も交えながらお届けします!
忍び寄る罠、楊堅(ようけん)の心の隙間
隋の皇帝となった楊堅(ようけん)。宴席で臣下たちと酒を酌み交わし、ご機嫌な様子。そこに現れたのは、滅亡した陳の公主、寧遠(ねいえん)と臨川(りんせん)。かつての高貴な姫君が、今は舞姫として舞う姿に、楊堅は同情を禁じ得ません。「故郷に帰してやれ」と言うものの、国はもうない…。結局、側室にという声も上がりますが、愛妻家・楊堅は「史書の女官として宮中に置け」と命じます。
でもね、この一部始終を、あの独孤曼陀(ばんた)が見ていたんですよ!彼女の頭の中では、またしても恐ろしい企みが渦巻き始めていました…。
曼陀の陰謀、再び…
屋敷に戻った曼陀は、自分の若い頃の肖像画を取り出し、「これに似た宮女を探せ!」と命じます。もう、この時点で嫌な予感しかしませんよね!息子の李淵(りえん)は、母親の魂胆を見抜いて止めようとしますが、曼陀は聞く耳を持ちません。
実は、かつて曼陀が阿史那(あしな)公主を唆して宇文闡(うぶんせん)を手にかけさせようとした事件、あれが露見しなかったのは、偶然にもその夜、李淵が宿直で、母の悪事を隠蔽していたからだったんです!それを知った曼陀、反省するどころか高笑い!「楊家の皇位を狙うのよ!」と息子を焚きつける始末…。もう、どこまでも業が深いというか…。李淵は呆れて距離を置こうとしますが、曼陀の野望は止まりません。楊堅と伽羅(から)の絆を壊すこと、それが彼女の次なるターゲットでした。
甘い罠、楊堅の過ち
ある日、楊堅がお香を焚いていると、急なめまいに襲われます。その時、さっと彼を支えたのが、宮女の尉遅繁葉(うっち はんよう)。楊堅が顔を上げると…そこにいたのは、若き日の曼陀にそっくりな女性!
繁葉に誘われるまま後殿で休息をとった楊堅は、つい一線を越えてしまいます…。我に返った楊堅は、泣きじゃくる繁葉に「才人(さいじん)」の位を与え、そそくさとその場を去るのでした。あぁ、楊堅…あなたまで…。
伽羅の絶望と決断
一方、伽羅は嫁の教育中。そこに尚宮(しょうきゅう)の蕭氏(しょうし)が駆け込んできて、「陛下が宮女をお手つきに…」と報告。伽羅の表情が凍りつきます。あれほど「生涯、私だけを愛する」と誓った夫が…。血の気が引くような衝撃の中、伽羅は必死に平静を装います。
繁葉の素性を調べた伽羅は、しばらく考え込んだ後、彼女に白綾(自害用の白い絹布)を賜るという、あまりにも厳しい処断を下します。
この知らせを聞いた楊堅は激怒!伽羅のもとに怒鳴り込み、「たかが宮女一人、許せぬのか!」と責め立てます。伽羅は何も弁解しようとしません。その態度がさらに楊堅の怒りを買い、彼は袖を払って去っていきます。固く結ばれていたはずの夫婦の間に、決定的な亀裂が入ってしまった瞬間でした…。楊堅が去った後、伽羅は激しく咳き込み、その手巾には血が滲んでいました…。
明かされる真実、楊堅の深い後悔
楊堅もまた、苦悩していました。「伽羅は本当に私のことを夫と思っているのか…?」と。そんな楊堅を心配した臣下たちが、衝撃の事実を告げます。
「陛下、あの尉遅繁葉ですが…彼女の父親、尉遅惇(うっちとん)は、陛下が自ら剣にかけた人物です。そして、彼女の宮には常に怪しげな香が焚かれておりました!」
それを聞いた楊堅は愕然!繁葉は復讐のために近づいてきた…?そして、伽羅は自分を守るために、あえて汚名を被って繁葉を処分した…?自分がどれほど伽羅を誤解し、傷つけていたのか!楊堅は深い後悔に打ちのめされます。
遅すぎた和解、そして永遠の別れ
楊堅は急いで伽羅を探しに宮殿に戻りますが、彼女はすでに昔の住まいに移った後。慌てて追いかけると、そこにいたのは娘の麗華(れいか)だけでした。自分がどれだけ伽羅をないがしろにしていたか、楊堅は痛感します。
その夜、麗華は母・伽羅を慰めます。「父上と早く仲直りしてください」と。しかし伽羅は静かに語ります。「権力と欲望は人を変えてしまうのね…」。麗華はふと尋ねます。「母上は、宇文邕(うぶんよう)様と父上、どちらを愛していたのですか?」
伽羅は遠い目をして過去を振り返ります。若い頃、確かに宇文邕(うぶんよう)に心惹かれた。でも、心から愛したのは楊堅だった。ただ、いつからか二人の関係は家族のようになり、怒りや失望はあっても、憎むことはできなかった、と。涙を浮かべながら、「私はずっと、般若(はんじゃく)姉上のように強くありたいと真似てきたけれど、結局、姉上のようにはなれなかった…」と呟く伽羅。今のこの状況は、本当に自分が望んだものだったのか…?
その時、戸口にはいつの間にか楊堅が立っていました。彼は皇帝のプライドを捨て、伽羅の前にひざまずき、声なく許しを請います。伽羅は楊堅の手を取り、立たせます。涙ながらに見つめ合い、二人は固く抱きしめ合うのでした。
楊堅は、宇文一族を滅ぼしたことについて話そうとしますが、伽羅はそれを止めます。「あなたが何をしたとしても、私はあなたを愛している」。楊堅は伽羅の手を握り、「早々に位を譲り、二人で天下を旅しよう」と約束します。
しかし、翌朝。身支度を整えた伽羅は、突然意識を失い倒れてしまいます。長年の心労と病が一気に噴き出し、彼女はそのまま、愛する楊堅を残して、静かにこの世を去りました…。
独孤天下の結末
伽羅が亡くなって2年。楊堅はすっかり老け込み、伽羅との思い出だけを胸に、孤独な日々を送っていました。「独孤天下」を手に入れたはずが、残ったのは深い孤独だけ…。
一方、曼陀もまた、死の淵にいました。彼女は最後の力を振り絞り、息子の李淵に「決して帝位を諦めるな」と言い残します。「独孤天下」の予言が、自分にも実現することを願って…。
そして時は流れ…
- 仁寿四年、隋の文帝・楊堅が崩御。
- 義寧二年、唐王・李淵が隋の恭帝(きょうてい)から禅譲を受け、長安で皇帝に即位。国号を「唐」と定める。
- 武徳元年、曼陀が皇后として追諡され、「元貞(げんてい)」と号される。
- 武徳九年、「玄武門の変」で李淵の子・李世民(りせいみん)が父から帝位を奪い、後に李淵も崩御。
独孤家の三姉妹、般若、伽羅、曼陀は、それぞれ北周、隋、唐という三つの王朝で皇后となりました。「独孤天下」の予言は、形は違えど、確かに成就したのです。なんとも皮肉で、切ない結末でしたね…。