あらすじ
伽羅(から)は宇文一族の安泰を条件に楊堅(ようけん)の皇帝即位を受け入れ、楊堅は隋を建国し皇帝となる。寺から解放された曼陀(ばんた)は楊堅への嫉妬と復讐心を燃やし、阿史那公主(あしなこうしゅ)と結託しようとする。そんな中、元幼帝・宇文闡(うぶんせん)が暗殺され、楊堅は自身への疑いをかわすため、宇文一族を皆殺しにし、陳国の刺客の仕業に見せかける。伽羅はショックで倒れるが、楊堅は関与を否定し重い誓いを立てる。しかし、伽羅は偶然、楊堅が宇文一族滅亡に関わっていたこと、そして宇文闡殺害の真相を知ってしまい、二人の間には修復不可能な溝が生まれる。
ネタバレ
愛する楊堅(ようけん)の野望と、守るべき宇文(うぶん)一族への想い。その狭間で揺れ動いていた伽羅(から)ですが、とうとう腹をくくります。「陛下、万歳!」とひざまずき、楊堅(ようけん)の皇帝即位を受け入れることを宣言! その代わり、宇文一族の未来永劫の安泰を楊堅(ようけん)に約束させるんですね。もちろん、楊堅はこれを快諾。天に誓いを立て、ついに、ついに念願の皇帝の座に就くのです!隋の国の誕生、そして楊堅が天下の支配者となった瞬間でした。幼い皇帝だった宇文闡(うぶんせん)は介国公(かいこくこう)に降格され、別の宮殿に移されることになりました。
さて、伽羅は当然、皇后陛下に。キラキラの髪飾りをつけた自分の姿を鏡で見ても、心は晴れません。なんだか重苦しい気持ち…。そばにいる冬曲(とうきょく)も、そんな伽羅の心中を察しています。「本当に、陛下が皇帝になることに反対じゃないんですか?」と尋ねる冬曲に、伽羅は静かに微笑みます。「もう後戻りはできないのよ。この道を選んだ以上、後悔はしないわ」と。うーん、覚悟を決めた女性は強い!でも、切ないですね…。
そんな中、あの人が帰ってきましたよ!そう、姉の曼陀(ばんた)です!王氏(王(おう)氏)と独孤(どっこ)順(どっこじゅん)に連れられて、長年閉じ込められていたお寺から出てきた曼陀。すっかりやつれて、昔の華やかさは見る影もありません。外の世界の変化に驚く曼陀に、王氏が「楊堅様が皇帝になられたのですよ!」と告げると…まあ、驚きと嫉妬で顔が歪む歪む! 王氏が「あなたが出られたのは、伽羅様が陛下にお願いしてくれたおかげなんですよ?これ以上逆らったら、命はもちろん、息子の李淵(りえん)にだって見捨てられますよ!」と必死で説得。さすがの曼陀も、事の重大さに気づき、しぶしぶ折れることに。
そして、独孤(どっこ)家の兄弟姉妹が集まる宴が開かれます。曼陀は殊勝な態度で楊堅と伽羅の前にひざまずき、これまでのことを謝罪。伽羅は優しく二番目の姉を許し、立派な青年に成長した息子の李淵を呼び寄せます。でも、久しぶりに会う実の母に、李淵はどこかよそよそしい態度…。一緒に国公府で暮らすことも拒否され、曼陀の心には冷たいものが走ります。その目には、またもや怪しい光が… 宴の後、伽羅と親しげに話す曼陀を、楊堅は冷ややかに見つめ、冬曲に「あの女を監視しろ。何か企んでいるかもしれん」と命じるのでした。やっぱり信用できませんよねぇ。
楊堅は伽羅に「大臣たちは世継ぎのために側室をたくさん置けとうるさいが、私の心にはそなたしかおらぬ。他の女を寵愛するつもりはない」と愛を誓います。きゃー!素敵!…と言いたいところですが、この話を聞いた曼陀、表向きは「まあ、陛下と皇后様はなんてお熱いこと!」なんて褒め称えながら、内心は嫉妬の炎メラメラ 「こうなったら、あの夫婦に目にもの見せてやる!」と復讐を決意。なんと、王氏を縛り上げて脅し、皇宮への秘密の通路を聞き出すというとんでもない行動に!どうやら、あの阿史那(あしな)元皇后と手を組んで、楊堅と伽羅に仕返しを企んでいる様子。王氏が「もうやめてください!」と泣いて止めても、聞く耳を持ちません。この人、本当に懲りないというか、破滅に向かって一直線ですね…。
数日後、とんでもない事件が起こります。まだ10歳にも満たない宇文闡が、何者かに刺殺されているのが発見されたのです!我が子同然に可愛がっていた麗華(れいか)は悲しみに打ちひしがれ、「父上の仕業では…」と楊堅を疑います。一方、楊堅もこの知らせに愕然。「これは誰かが私に罪をなすりつけようとしている!」とすぐに察知します。そりゃそうですよね、元皇帝が死んだとなれば、真っ先に疑われるのは今の皇帝ですもん。楊堅が頭を抱えていると、腹心の部下が「こうなったら、いっそ宇文一族を根絶やしにして、陳国の刺客の仕業ということにしてしまいましょう。そうすれば、この危機を乗り越えられますぞ」と進言。楊堅は一瞬ためらいますが、権力を守るためには非情になるしかない…と、この恐ろしい計画を黙認してしまうのです。そして、宇文一族の男子は、幼い者まで一人残らず殺されてしまいました…?? なんてこと…。
麗華は、宇文一族が陳国の刺客に滅ぼされたと聞き、楊堅への疑いを解きます。しかし、伽羅は違いました。宇文邕(うぶんよう)から後事を託された宇文一族が、こんな悲惨な最期を迎えたことに大きなショックを受け、気を失って倒れてしまいます。意識を取り戻した伽羅は、そばに付き添う楊堅に「宇文一族の件、あなたとは無関係なのですね?」と問い詰めます。薬も飲もうとしません。楊堅は「もし私が手を下したのなら、この隋王朝は50年で滅びるだろう!」と、かなり重い誓いを立てます。そこまで言うなら…と、伽羅もそれ以上は追及しませんでした。
でもね、でもね…!部屋を出た楊堅の元に、冬曲が報告に来るんです。「宇文闡様を殺害したのは、秘密の通路から侵入した阿史那公主(あしなこうしゅ)でした。事が露見し、公主は自害したとのことです」と。そして、冬曲は突然ひざまずき、「私は重傷を負ったので、故郷に帰らせてください」と願い出ます。楊堅は冷たく笑います。「鄭栄(てい えい)が、宇文一族滅亡の真相をお前に話したのだろう?」と。…そう、冬曲は、楊堅の命令で宇文一族が皆殺しにされたことを知ってしまったのです。伽羅とは姉妹同然の冬曲。これ以上、伽羅を騙し続けることはできない…だから、遠くへ去ることを選んだんですね。楊堅は冬曲と鄭栄が都を去ることを許可し、「表向きは、お前たちは死んだことにして手厚く葬ろう」と言います。
しかし、この会話…物陰で、伽羅が聞いてしまっていたのです…!!!??
楊堅はその後、陳や梁を滅ぼし、天下統一へと突き進み、「独孤天下」の予言を実現させます。誰もが彼を英雄と讃えます。でも、伽羅の心は晴れることはありませんでした。愛する夫が立てた重い誓いが嘘だったこと、そして宇文一族を守れなかったこと…。二人の間には、見えないけれど、決して越えることのできない深い溝ができてしまったのでした…。ああ、あまりにも悲しい展開です…??
つづく