記憶を失くした姜長清(きょうちょうせい)を取り戻すため、柳莺莺(りゅうえいえい)は二人の思い出の場所を巡り、必死に記憶を呼び覚まそうとします。その甲斐あってか、長清は再び莺莺に心惹かれ始めますが、それは彼の命を蝕む「絶情呪(ぜつじょうじゅ)」を悪化させることでもありました。愛が深まるほどに死が迫るという残酷な呪い。愛する人の命が尽きようとするとき、莺莺はあまりにも悲しい決断を迫られます。

「雪上恋歌 ~天に刻まれた悠久の愛~」あらすじネタバレ22話

いやはや、今回の『雪上恋歌』は本当に胸が締め付けられる回でしたね…。愛する人の記憶を取り戻したいだけなのに、その純粋な愛が彼を死に追いやってしまうなんて、あまりにも皮肉で、そして残酷すぎます。

それでは早速、涙なしには見られない第22話の世界に飛び込んでいきましょう!

愛が命を蝕む「絶情呪(ぜつじょうじゅ)」の恐怖

莺莺(えいえい)は、目の前の長清(ちょうせい)が自分を完全に忘れてしまったという残酷な現実に直面します。さらに、宿敵である九尾狐(きゅうびこ)の配下・煙児(えんじ)(えんじ)からの嫌がらせは日増しにエスカレートし、莺莺の心身を容赦なく追い詰めていきました。

それでも諦めきれない莺莺は、二人の「思い出」の力で長清の記憶を呼び覚まそうと決意します。彼女は長清を連れて、かつて二人で手入れをしたバラ園を訪れ、楽しかった日々を再現しようとします。しかし、長清の瞳には戸惑いの色が浮かぶだけでした。

次に、思い出の街角で一番好きだった糖葫芦(タンフールー)を買い、彼に手渡します。長清は言われるがままにそれを口にしますが、甘酸っぱいサンザシを咀嚼しながらも、隣で期待に満ちた眼差しを向ける女性が誰なのか、思い出すことはできません。

共に野良猫に餌をやったこと、東屋で詩を詠み合ったこと、夜中にこっそり屋敷を抜け出した路地裏…。莺莺は必死に過去の欠片を拾い集めますが、長清の記憶の扉は固く閉ざされたままです。

しかし、数日間を共に過ごすうちに、長清の心に変化が芽生え始めます。莺莺がそばにいると、理由もなく心臓が高鳴るのです。彼の肩に落ちた花びらを莺莺が背伸びして取ろうとした瞬間、長清は無意識に彼女の手を握っていました。その時、胸に刻まれた「絶情呪(ぜつじょうじゅ)」の印が、疼くように熱を帯びたことにも気づかずに…。

皮肉にも、蘇りかけたこの愛こそが、彼の命を奪う引き金となってしまいました。長清は突然、黒い血を激しく喀血し、その場に崩れ落ちます。純白の衣は、またたく間に禍々しい血で染まっていきました。医師の診断は無情なもので、「絶情呪が心脈に達しており、夜明けまで命はもたない」というものでした。

屈辱と引き換えにした解毒薬

愛する人が死の淵にいる―。その事実に、莺莺は我を忘れて九尾狐の洞穴へと駆け込みます。そして、憎き宿敵の足元に、まっすぐにひざまずくのでした。

それを見ていた煙児(えんじ)(えんじ)は、冷たい笑みを浮かべ、薬瓶を莺莺の額に投げつけます。「彼を救いたい?ならば、私の股の下をくぐりなさい」。

莺莺は、掌に爪が食い込むほどの痛みと屈辱を堪え、プライドのすべてを捨てて煙児(えんじ)の足元を這って進みます。その姿を見て満足したのか、九尾狐は深紅の薬丸を投げ渡しました。「この薬は絶情呪を浄化する。だが、飲んだ者は最も愛した人間の記憶を永遠に失うだろう」。

新婚の夜、涙の別れ

莺莺は、その残酷な代償を胸に、婚礼衣装が用意された部屋へと走ります。赤い蝋燭の光が、ベッドに横たわる長清の青白い顔を照らしていました。

「夢を見ていたんだ。ある娘が、私のために泣いてくれる夢を…」

か細い声で微笑む長清でしたが、言葉の途中で再び激痛に襲われます。莺莺は震える手で薬を砕き、合卺の酒(ごうきんのさけ)に溶かすと、彼の身体を抱き起こし、優しく囁きました。

「これを飲んで。そうすれば、もう苦しくなくなるわ」

長清は素直にその酒を飲み干します。すると、彼の瞳から徐々に光が失われ、焦点が合わなくなっていきました。そして、再び目を開けたとき、彼は涙にくれる花嫁を、まるで初対面の人間を見るかのように見つめ、こう問いかけるのでした。

「…あなたは、どなたですかな?」

その一言に、莺莺は身に着けていた鳳冠を引きちぎるように外し、部屋を飛び出していきます。後ろには、一人残された長清の戸惑いの声が響いていました。

「この嫁衣の涙の跡は…なぜか、心が焼けるように熱い…?」

『雪上恋歌 ~天に刻まれた悠久の愛~』第22話の感想

愛が深まるほど死に近づくという「絶情呪」の残酷な設定が、この物語の核であることを改めて痛感させられました。莺莺が払った犠牲は、単に自分の存在を忘れられるというだけではありません。彼女が積み上げてきた愛のすべて、そして未来までもを自らの手で消し去る行為であり、その痛みは計り知れません。特に、宿敵に屈辱的な仕打ちを受けてまで手に入れた薬で、愛する人の記憶を消さねばならない皮肉には、言葉を失います。しかし、記憶を失ったはずの長清が、最後に涙の跡に何かを感じ取るシーンは、唯一の救いであり、希望の光でした。記憶は消えても、魂に刻まれた愛は消えないのではないか。そう信じさせてくれる、見事な伏線だったと思います。

つづく