九尾狐(きゅうびこ)の罠にはまり、師匠の姜長清(きょうちょうせい)と共に崖から転落してしまった鶯莺。幸いにも二人とも無事でしたが、崖の底で二人きりの夜を明かすことになります。焚き火を囲む中、鶯莺は普段は聞けない師匠の恋愛観や本心について、真っ直ぐな言葉で問いかけていきます。その問いは、常に冷静で感情を見せない姜長清の心を静かに揺さぶり、師弟の間にこれまでとは違う微妙な空気を生み出していくのでした。

「雪上恋歌 ~天に刻まれた悠久の愛~」あらすじネタバレ7話

さて、今回の『雪上恋歌』第7話、すごかったですね…。派手な戦闘シーンこそありませんでしたが、静かな崖の底で繰り広げられた師弟の心のやり取りに、息を飲むような濃密さを感じました。早速、あの忘れられない一夜を振り返っていきましょう!

九尾狐の罠、崖下での一夜

崖のそばにちらついた怪しい黒い影。それがすべての始まりでした。正体を探ろうと後を追った鶯莺(おうおう)と、彼女を案じて続いた師匠・姜長清(きょうちょうせい)。しかし、それは二人をおびき寄せるための九尾狐(きゅうびこ)の卑劣な罠だったのです。

突如として巻き起こった妖術の風に足元の岩が崩れ、二人はなすすべもなく深い崖の下へ。意識を取り戻した鶯莺は、隣で気を失っている師匠の姿に胸を痛めます。なんとか助けようと力を込めますが、小紅娘(しょうこうにゃん)の赤い糸の力が暴走!激しい雷に打たれ、彼女もまた力尽きてしまうのでした。

どれくらいの時間が経ったでしょう。先に目覚めたのは姜長清(きょうちょうせい)でした。彼が身じろぎした気配で、鶯莺も目を覚まします。すっかり夜の闇に包まれた崖の底は、骨身に染みるほど冷え込んでいました。

二人は黙って枯れ枝を集め、小さな焚き火をおこします。湿った衣を乾かしながら、パチパチと爆ぜる火の粉を見つめる沈黙の時間。その静寂を破ったのは、鶯莺でした。

「師匠は、いとこお嬢様のこと、あんなにきっぱり断ってしまって、心が痛まないのですか?」

彼女は、師匠の恋愛に対する姿勢に、ずっと疑問を抱いていたのです。姜長清(きょうちょうせい)は火をいじりながら、「中途半端な優しさこそが酷だ。断ち切るべき時は、きっぱりと断ち切るのが慈悲というものだ」と、いつものように冷静に答えます。

しかし、鶯莺は引き下がりません。

「師匠はいつもそうですね。まるで硬い殻に閉じこもるみたいに、本当の気持ちを隠してしまう。孤独なのを、誰かに近づかれるのが怖いから、わざと冷たく突き放しているように見えます」

焚き火の光に照らされた師匠の横顔。鶯莺の真っ直ぐな言葉は、彼の心の最も柔らかな部分を的確に射抜いていました。握りしめた枝がミシリと音を立て、姜長清は何も言い返すことができません。

気まずい沈黙が流れる中、鶯莺は「いとこお嬢様は、美しくて心が優しくて、師匠を一途に想っていて、家柄も申し分ないのに…」と、まるでお節介な妹のようにその美点を並べ立てます。それでも師匠は、まるで焚き火の炎の中に世界の真理でも見つけたかのように、視線をそらしません。

とうとう諦めた鶯莺は、木の根元に膝を抱えて丸くなり、眠ったふりを始めました。でも、まぶたの裏では、焚き火のそばに座る師匠の孤独な背中が焼き付いて離れませんでした。

夜が深まり、冷たい風が鶯莺の体を震わせます。その瞬間、ふわりと肩に温かい重みがかかりました。いつの間にか隣に来ていた姜長清が、自分の上着をそっと掛けてくれたのです。その手つきは、まるで木の葉を揺らすのもためらうほど、静かで優しいものでした。

彼は暗がりの中に立ち、眠っている(と思っている)弟子の寝顔をじっと見つめます。彼の瞳の中で、焚き火の光がゆらゆらと揺らめき、それは彼自身もまだ気づいていない、複雑な感情のようにも見えました。

『雪上恋歌 ~天に刻まれた悠久の愛~』第7話の感想

今回は、これまで鉄壁のようだった師匠・姜長清の内面が、ほんの少しだけ垣間見えた、非常に味わい深い回でした。崖の下という極限状況で、焚き火を挟んで交わされる言葉は少ないながらも、その一つ一つが重く、二人の関係性を静かに、しかし確実に変化させていきます。特に、いつも冷静沈着な姜長清が、鶯莺の核心を突く指摘に言葉を失う場面は圧巻でした。彼が抱える孤独や、感情を押し殺して生きてきた過去が透けて見えるようでした。鶯莺の真っ直ぐさが、彼の心の氷を少しずつ溶かし始めているのが伝わってきます。最後の、眠る鶯莺にそっと上着をかけるシーンは、セリフが一切ないにもかかわらず、彼の無意識の優しさと庇護欲が溢れていて、このドラマの真骨頂とも言える美しい演出でした。静寂の中にこそ、雄弁なドラマがあるのだと改めて感じさせられます。

つづく