時を越えて交錯する愛憎と隠れ家に眠る戦神の遺品

第44話の悲劇を経て物語は数年の歳月を大幅に飛び越えます。

白娉婷(はくへいてい)は隠棲の地で沈在野(シェン・ザイイエ)(シェン・ザイイエ)との愛の結晶を育てながら民を導いていました。

一方で何侠(かきょう)の飽くなき侵略により白蘭国は天下の強国へと変貌を遂げます。

歳月が紡いだ平穏な暮らしと宮廷の不穏な覇権闘争

酔菊(すいぎく)の墓前での決別と不毛の荒地を塞上江南へと変えた開拓の知恵

松森山脈の美しい墓前で白娉婷(はくへいてい)と陽鳳(ようほう)は悲哀に満ちた琴の合奏を捧げました。

第44話の白骨の誤解により愛する酔菊(すいぎく)が死んだと信じ込む白娉婷。

彼女は沈在野(シェン・ザイイエ)(シェン・ザイイエ)と二度と会わない過酷な誓いを立て名琴を叩き割りました。

それから激動の中原の裏側で数年の歳月が静かに流れ去っていきます。

則尹(そくいん)夫婦と共に移り住んだ大涼国の獅子林の村はかつて不毛の荒地でした。

白娉婷は持ち前の知略で联动水車を発明し荒地を塞上江南へと変えます。

成長する長笑の優しい嘘とベッドの下から現れた神威宝剣

則尹(そくいん)の愛息である則慶と沈在野(シェン・ザイイエ)の血を引く長笑は実の兄弟のように育ちました。

二人の幼子が則尹の手ほどきで武術の型を真似る姿に父の面影が重なります。

白娉婷は我が子の成長を見つめながら遠い空の下にいる夫の安否を思いました。

百里梅林が豊かな収穫期を迎え長笑は優しい心から小さな嘘をつきます。

恩人である阿漢おじさんへの恩返しに帳簿の分配金の数字を書き換えたのです。

第34話での胎動の奇跡を経て生まれた子の純粋な想いを母は包み込みました。

子供たちが部屋の床で転げ回って遊ぶうちベッドの奥底に隠された箱を見つけます。

埃を払って取り出した精巧な木箱の中には鈍い光を放つ鉄剣が眠っていました。

それは第31話で沈在野(シェン・ザイイエ)が託した本物の神威宝剣に他なりません。

十城の金匙を捧げた何侠(かきょう)の凱旋と耀天公主(ようてんこうしゅ)を欺く偽りの懿旨

最愛の夫の物証を抱き締め白娉婷の思念は再び大晋の空へと飛んでいきます。

同じ頃中原のパワーバランスは何侠の冷徹な手で塗り替えられていました。

最弱だった白蘭国を率いて諸国を転戦し圧倒的な国力強盛を達成します。

何侠は攻め落とした十の城池の金匙を携えて王宮へと華々しく凱旋しました。

耀天公主(ようてんこうしゅ)は夫の軍功を大いに称え白蘭国の一統が間近に迫ったことを確信します。

その夜何侠は公主を自らの駙馬府に留めて甘美な闇に嵌めました。

翌朝の朝廷を欠席した公主の権力を奪い何侠は独断で公主の懿旨を宣読します。

大晋国への全面的な出兵を堂々と宣言し自身が全軍の最高主帥に就任しました──。

第41話で廷杖の屈辱を与えられた老臣の貴常青丞常は怒りに歯噛みします。

嬌嬿楼に響く競売の槌音と燕十三娘(えんじゅうさんじょう)が仕掛ける黄金の心理戦

大涼国の賑やかな都の市場では則尹と管家が新しい酒の取引に赴いていました。

二人が極秘裏に足を運んだのは一寸嬌嬿一寸景と謳われる高級楼閣の嬌嬿楼

きらびやかな帳の向こうでは富豪たちを巻き込む奇妙な宴が催されていました。

絶世の女主人である燕十三娘(えんじゅうさんじょう)は蝉紋金鐺の壮絶な競売を冷徹に主催します。

価値ある至宝は富豪たちの競り合いにより五百両の紋銀で落札されました。

落札者が貂尾を贈り燕十三娘が黄金三百両を返すという謎めいた極上の心理戦

联动水車に潜む防衛の数理と神威宝剣が告げる宿命のコールバック

白娉婷が獅子林の荒地に構築した联动水車は単なる農業器具ではありません。

第38話の雲安城の戦いにおいて水源の地政学的弱点を見抜いた天才の頭脳。

水を自在に誘導する計略を今回は民の生計を救う完璧な防護壁へと昇華させました。

また子供たちの遊びによって発見された沈在野(シェン・ザイイエ)の神威宝剣の存在。

これは第34話の別院壊滅の悲劇の夜に楚漠然(そばくぜん)へと受け継がれた武の象徴。

形見として大切に隠されていた名剣が数年の時を越えて姿を現した劇的な展開です。

孤独な檻を破る天才の覚悟と戦火に包まれる中原の行方

数年の空白を破り凛々しく成長した長笑の姿と共に描かれる新章の幕開け。

沈在野(シェン・ザイイエ)の愛剣を抱きしめる白娉婷の寂しげな横顔に胸が締め付けられます。

第28話の美しい婚礼の記憶を胸に抱きながら生きる彼女の姿は切なすぎます。

しかし平穏な獅子林の背後には確実に新たな戦乱の足音が迫っていました。

何侠が大晋国への出兵を強行したことで中原は再び血の海へと変わります。

戦神の剣を掲げた長笑の存在が離ればなれの夫婦を繋ぐ契機となるか。

つづく