長安への潜入と恩師が仕掛けた最終計画の幕開け
長安城へ舞い戻った安郡王・蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)と楚楚(ソ・ソ)たちを待ち受けていたのは、恩師である兵部尚書・薛汝成の無惨な焼死体でした。
しかし、検視官の楚楚(ソ・ソ)が暴き出したのは、死体をすり替えた極めて冷酷な偽装工作の痕跡。
第27話から大太監・秦欒が執拗に追っていた蕭家兄弟の「出生の秘密」がついに西平公主の口から語られ、物語の全貌が完全に覆る第32話です。
大唐を揺るがす出生の秘密と恩師の狂気
廣泰楼の食材箱と陳瓔夫人が遺した悲劇の双子
長安では、景閣老が長男・蕭瑾璃(しょう・きんり)の真の正体に気づき始めていました。
大太監・秦欒が過去の乳母たちを尋問し、萧家を滅ぼすための証拠を固めつつある緊迫した状況。
追い詰められた西平公主は、景閣老にすべてを打ち明けて助けを求めます。
時は、駙馬・蕭恒が西南へ旅立つ直前に遡ります。
剣南節度使・陳瓔の夫人は、一族に降りかかる謀反の濡れ衣(甘露の変の余波)を予感していました。
彼女は絶望の中、身重の体で催産薬を煽り、決死の覚悟で息子を産み落として命を絶ちます。
陳府の家奴に託されたその赤子。
親交の深かった陳瓔夫人の死と、罪なき幼子を不憫に思った西平公主は、秘密裏に彼を養子として引き取りました。
第15話で楚楚が抱いた「双子なのに骨格が似ていない」という疑問、そして第27話で秦欒が掴んだ「抱養(養子)」の疑惑。
これら全てが繋がり、蕭瑾璃(しょう・きんり)が陳瓔の遺児であったという悲壮な事実がここで完全に回収されます。
一方、西南から長安城外へ到着した蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)の一行。
大理寺少卿・景翊(ケイ・ヨク)は青楼の女子の群れに巧みに紛れ込み、神策軍・周翰の検問を突破。
楚楚と蕭瑾瑜は、酒楼「廣泰楼」の食材箱の底に身を潜めるという危険な方法で、長安城内への密かな潜入を果たしました。
その頃、骨董店「博古齋」はすでに反乱軍を都へ迎え入れるための手引きを完了させていました。
焼け落ちた薛府と楚楚が暴く死体のすり替え
長安へ戻った蕭瑾瑜を待っていたのは、恩師・薛汝成の屋敷が炎に包まれるという悲劇です。
冷沛山大将軍に軍報を封鎖させたため、誰も事態を予測できませんでした。
燃え盛る薛府。焼け跡から見つかった恩師の無惨な遺体を前に、蕭瑾瑜は深い悲痛と絶望に暮れます。
しかし、冷静な検視官・楚楚の目は誤魔化せませんでした。
炭化した遺体の骨格と筋肉のつき方を調べた楚楚は、死者が薛汝成ではなく、20代の若い男性であると断言。
さらに気道を調べ、彼が火災の前に「絞殺」され、その後に火中へ投げ込まれたという偽装工作の証拠を提示します。
激しく動揺した薛府の管家が、懐から「兵部尚書の令牌」を落としました。
さらに楚楚は、薛府の庭の隅に、西南地方の人間しか栽培しない植物「蛇滅門」が植えられているのを発見。
これらの不可解な物証と楚楚の的確な検視報告により、蕭瑾瑜の明晰な頭脳にひとつの恐るべき仮説が浮かび上がります。
暴かれた昌王の全貌と安郡王を救う楚楚の抱擁
蕭瑾瑜は夜を徹して三法司の巻宗(記録)を漁り、兵部の呈奏文書を確認しました。
そこで彼は、薛汝成が西南の軍情を遥か以前から正確に把握していた事実を突き止めます。
点と点が繋がり、自身の恩師・薛汝成こそが、死んだはずの先帝の子「昌王」その人であると完全に確信しました。
さらに長安の後宮では、張太医が自室で首を吊って死んでいるのが発見されます。
黒幕が薛汝成であると判明したものの、朝廷の根幹にまで敵の根が張り巡らされている事実に、蕭瑾瑜は打ちのめされました。
三法司の刑獄官でありながら、大唐の安寧を守れず、恩師の悪行を見抜けなかった自分を激しく責め立てます。
自責の念で崩れ落ちる彼を、楚楚が優しく、そして力強く抱きしめました。
「あなたは西南の民を救った。その英勇を私は心から敬服している」
どんな患難も共に乗り越えると誓う楚楚の温かい励ましを受け、蕭瑾瑜は再び立ち上がります。
恩師への情を断ち切り、反逆者・薛汝成を法の裁きにかけるという冷徹な決意を固めました。
独自考察・用語解説
薛汝成のパーフェクトプランと厳明暗殺の伏線回収
今回、蕭瑾瑜の口から薛汝成(昌王)のこれまでの壮大な謀略の手順が明かされました。
第3話で発生した、舞姫による秘書郎・厳明の暗殺事件。
これは単なる口封じではなく、意図的に「昌王生存の噂」を長安に流布し、世論を煽るための発火点でした。
その後、黔州で李璋を使って大量の私鋳銭(偽金)を鋳造。これを民間にばら撒いて経済を混乱させ、朝廷の威信を完全に失墜させた上で、昌王として民心を掌握する予定だったのです。
しかし、安郡王と楚楚の神業とも言える法医学捜査により、偽金製造の拠点が早々に制圧され、計画は大きく狂いました。
そこで薛汝成は「奪営(軍の乗っ取り)」の日から逆算し、軍報が長安に届くリミットである今日に合わせて自身の屋敷を放火。
見事な「偽装焼死」を演じて地下へ潜伏し、第26話で許如帰を自作自演で強奪した際の切り札「蕭恒の遺書」を使って、今度は宿敵である大太監・秦欒を脅迫し、強引に結託を目論んでいます。
法医学ミステリーとして始まった本作が、緻密な国家転覆サスペンスへと変貌を遂げた見事な脚本です。
感想と次回の見どころ
恩師の死に涙する蕭瑾瑜の姿に心を痛めましたが、楚楚の「絞殺後に焼かれています」という無慈悲かつ頼もしい検視報告で一気に形勢逆転!
絶望する安郡王を、楚楚が物理的にも精神的にも抱きしめて支えるシーンは、二人の絆が最高潮に達した胸熱な瞬間でした。
そしてついに明かされた「陳瓔の遺児」の真実。西平公主が命懸けで守り抜いた忠臣の血脈が、長安の朝廷を大きく揺るがそうとしています。
次回、地下へ潜った昌王(薛汝成)と、追い詰められた大太監・秦欒による最悪の結託。
長安を火の海にしようとする反乱軍の牙に対し、蕭瑾瑜と楚楚たち三法司の精鋭はどのような罠を仕掛けるのか。知略と法医学が交差する最終決戦へのカウントダウンから一瞬たりとも目が離せません!
つづく


