決死の囮婚と長安に蠢く昌王の刺客

恩師・薛汝成(昌王)をおびき出すため、安郡王・蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)との結婚を自ら提案する楚楚(ソ・ソ)。

検視官の夢を捨ててまで彼を守ろうとする覚悟が、皇帝・唐宣宗の心を動かします。

長安の街で偽の神跡が起こる中、三法司の前に投げ捨てられた許如帰。

彼の腹の中に仕込まれた致死の罠を解除するため、楚楚(ソ・ソ)が生きたまま腹を裂く決断を下す怒涛の第35話です。

逆党討伐の罠と生体解剖への決断

冷府の夜と冷月(レイ・ゲツ)からの不意打ちキス

深夜の長安。冷月(レイ・ゲツ)は景翊(ケイ・ヨク)と共に、長年空き家となっていた冷府の門前に立ちます。

景翊(ケイ・ヨク)が取り出したのは、冷月の祖父・冷沛山大将軍から預かった屋敷の鍵。

荒れ果てた家の中を見渡し、両親を懐かしむ冷月。

第28話で祖父が抱えていた過酷な任務と短い余命を知った彼女は、祖父が冷府に帰れなかった真の理由をようやく理解しました。

冷月は景翊の心遣いに深く感謝し、彼の頬へ不意打ちのキスを贈ります。

驚きで固まる景翊。二人の絆が確かな愛情へと変わった瞬間です。

仵作の夢を捨てる楚楚と唐宣宗の賜婚

一方の楚楚は、薛汝成を確実におびき出すための一計を案じます。

それは安郡王である蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)との盛大な結婚式を開くこと。

皇族や朝廷の大臣が集まる婚儀であれば、反乱軍が必ず隙を突いてくるはずです。

蕭瑾瑜は愛する楚楚を危険な謀略に巻き込むことを断固拒否。

しかし楚楚の決意は固く、生死を共にすると誓った約束を盾に彼を説き伏せました。

皇族への輿入れにあたり、逆党の遺児という身分が唐宣宗の反感を買うことは明白。

楚楚は蕭瑾瑜を守るため、第1話から追い求め、過酷な試験を経て手にした「仵作(検視官)」の身分を捨てる覚悟を決めます。

この楚楚の大仁大義を知った唐宣宗は激怒を収め、忠烈の末裔として賜婚を快諾。

さらに亡き蕭恒へ駙馬の地位を正式に追封し、蕭家の名誉を完全に回復させました。

街頭の偽装神跡と許如帰の再登場

長安の街角では、突如「昌王万歳」と叫んだ男が倒れ、背中に墨の文字が浮かび上がる奇怪な事件が発生。

これは薛汝成が世論を扇動するために仕掛けた偽の神跡です。

蕭瑾瑜の予測通りに動く敵に対し、景翊が群衆の前で鮮やかに物理トリックを暴き立てます。

時を同じくして、三法司の裏門に一台の馬車が男を投げ捨てました。

車輪の酒粕の痕跡から城中の酒坊の馬車だと断定する蕭瑾瑜。

投げ出されたのは、第26話で薛汝成に強奪された許如帰でした。

長らく監禁されていた彼は激しく震え、極度の意識混濁状態に陥っています。

腹の中の丸薬とヒマシ油の毒

楚楚が許如帰の体を調べると、彼は連日水と饅頭だけを与えられ、無理やり苦い薬を飲まされていたことが判明。

さらに解放される直前、未知の丸薬を飲み込まされていました。

冷月はその症状から、少量の蓖麻子(ヒマシ油の原料)の毒が使われていると推測。

この程度の毒では風邪のような発熱を引き起こすだけで、即死には至りません。

薛汝成がわざわざ生きた許如帰を三法司へ送り返した理由。

蕭瑾瑜は、許如帰の腹の中にある未消化の「丸薬」こそが、自分を暗殺するための真の凶器であると看破します。

楚楚は躊躇なく、許如帰の腹をメスで切り裂き、丸薬を直接摘出する生体解剖(手術)を決断。

冷月が補佐に入り、蕭瑾瑜と景翊は書斎で反乱軍の潜伏地点の特定へと急ぎます。

同時に、侍衛長の呉江が神策軍の周翰を尾行し、彼が「蕭氏宗祠」を偵察している事実を掴んでいました。

独自考察・用語解説:ヒマシ油毒と蕭氏宗祠の陰謀

薛汝成が仕掛けた「腹の中の暗殺兵器」は、法医学ミステリーにおいて非常に高度な心理戦です。

三法司の長である蕭瑾瑜は、重要参考人である許如帰を尋問するため、必ず彼に接近します。

毒を仕込んだ丸薬が胃酸で溶けるタイミング、あるいは体温で気化する劇毒を想定し、密室での暗殺を狙った時限爆弾のような罠。

敵の思考を完全に読み切った蕭瑾瑜の推理力と、生きている人間の腹を裂く楚楚の外科的技術が見事に融合しています。

また、周翰が蕭氏宗祠(蕭家一族の霊廟)を偵察している点も重要です。

大太監・秦欒の配下である周翰が動いているということは、薛汝成と秦欒が完全に結託した証拠。

結婚式を襲撃するだけでなく、蕭家の根幹を破壊し、朝廷の転覆を同時に進める大規模なテロルを計画していることが読み取れます。

感想と次回の見どころ

楚楚が仵作の夢を諦めてまで蕭瑾瑜の命を守ろうとする自己犠牲に胸が熱くなります。

唐宣宗が彼女の忠義を認め、父・蕭恒の無念が完全に晴らされた瞬間のカタルシスは格別。

冷月からのキスでフリーズする景翊の可愛さも、緊迫した物語の完璧な清涼剤です。

そしてラストに待ち受ける前代未聞の開腹手術。

許如帰の腹の中に隠された丸薬の正体とは。

次回、蕭瑾瑜の囮婚の裏で動き出す薛汝成と秦欒の最終計画。

長安を揺るがす反乱軍の奇襲と、三法司が仕掛ける決死の迎撃作戦から一瞬たりとも目が離せません!

つづく