悪意ある噂の流布と若き英雄たちを待ち受ける新たな陰謀
軍械司への潜入を拒まれた衛韫の前に、敵の狡猾な罠が立ちはだかります。
宜香楼での密会を利用され、喪中に青楼で宿酔したという悪質な噂が華京に流布。
窮地に陥った衛家を救うため、楚瑜(そゆ)は知略を尽くした答謝宴を企画します。
宮廷の暗部と太子の行方を追う、緊迫の第8話です。
策略と交錯する感情が華京の闇を照らし出す
揺れる馬車内の鼓動と衛府を和ませる小さな来訪者
第7話の宜香楼で兵器職人の陸七八(りくしちはち)と会面した衛韫ですが、軍械司への潜入は叶いませんでした。
陸七八(りくしちはち)は襲爵後に得られる魚符が必要であり、現時点で潜入すれば命はないと警告。
失望を抱えながらも、衛韫は同じ目的を持つ楚瑜(そゆ)を自身の馬車に同乗させて帰路につきます。
衛府の門前に到着した際、楚瑜の髪飾りの鈴が馬車の装飾に絡まる不測の事態が発生。
楚瑜は力ずくで衛韫を車内に引き込み、絡まりを解くよう手伝わせました。
至近距離で触れ合う中、衛韫は第1話の華京城で舞剣を踊っていた彼女の鮮烈な姿を回想。
少年の心臓は激しく鼓動を始めます。
無事に外れた鈴を衛韫は思わず手の中に握りしめ、返す機会を逃しました。
馬車を出た二人は門前で長嫂の蒋純と鉢合わせ、衛韫は焦りから「今日は暑い」と言い訳。
冷たい風が吹く中で蒋純は首を傾げます。
その後、楚瑜の院に一匹の小さな犬が迷い込み、かつて実家で母の謝韻に飼育を禁じられていた彼女は深く愛でる決意をしました。
悪意ある青楼の噂と美しくない文字がもたらした奇策
陸七八の背後にいる勢力は、衛韫が円滑に爵位を継承することを妨害しようと動いていました。
翌朝、華京の街には「衛家の七郎が宜香楼で美女と宿酔し、一擲千金の大喧嘩をした」という醜聞が流布。
喪が明けていない時期のこの噂は、近日に控える襲爵の儀に壊滅的な打撃を与える計略でした。
楚家では母の謝韻が姉の身を案じる一方、冷酷な妹の楚錦(そきん)は衛家に関わるべきではないと一蹴。
状況を察知した楚瑜は、ピンチをチャンスに変えるため、承爵宴をこれまで衛家を支えてくれた人々への答謝宴へ変更する奇策を提案します。
彼女は早速自筆で招待状を作成しました。
しかし、戦場で育った楚瑜の筆跡はあまりにも下手であり、見かねた衛韫が自ら筆を執って書き直すことに。
その執務中、先ほどの小犬が部屋に乱入。
屈強な若武者であるはずの衛韫が、実は猛烈な犬恐怖症であることが発覚し、顔色を変えて怯え慌てる姿が周囲の笑いを誘いました。
長公主(ちょうこうしゅ)の心を掴む贈り物と薛寒梅(せつかんばい)が託した謎の錦囊
翌日、楚瑜は答謝宴の招待状を携えて長公主(ちょうこうしゅ)の李長明が待つ美しき庭園を訪れました。
第5話で長公主の知己を得ていた彼女は、相手の好みを徹底的に分析する投其所好の計を実行。
容姿端麗な10人の門客の小像を精巧に刻んだ木製の葉子牌を献上します。
自尊心の高い長公主はこの風雅な代物を大いに喜びました。
拝謁の後、門客の薛寒梅(せつかんばい)が楚瑜の前に立ち塞がり、一つの錦囊を密かに手渡します。
衛家の危機を救う秘策が入っているというその巾着は、長公主からの下賜品を装いつつも、薛寒梅個人の意思によるものでした。
長公主の歪んだ寵愛を受け流す薛寒梅の、底知れない思惑が垣間見える瞬間です。
一方、朝廷では顧楚生(こそせい)がかつての王朝を揺るがした秦王通敵案の再調査を着々と進めていました。
彼は護国公の次男であり智謀に長けた宋世瀾(そうせいらん)に協力を要請。
顧楚生(こそせい)の真摯な態度を見た宋世瀾(そうせいらん)は、寧国公府への対抗策としてこの危険な賭けへの同盟を承諾しました。
密室の客栈に隠された太子の影と再会する若き共闘者
衛韫は襲爵の件で朝廷の調停を得るため、親友の宋文昌(ソン・ウェンチャン)を介して太子・李環との接触を試みます。
しかし、宋文昌(ソン・ウェンチャン)が衛韫を案内したのは、華京の喧騒から離れた古びた客栈の前でした。
困惑する衛韫の背後から、馬を駆った楚瑜が鮮やかに合流を果たします。
楚瑜は先ほど薛寒梅から得た情報を元に、長公主の指示としてこの場所に太子が潜伏していると確信。
第2話の白帝谷の戦い以来、保身のために虚偽の報告を続けていた太子が、なぜこのような市井の宿に身を隠しているのか。
衛韫は楚瑜の言葉を信じ、宋文昌と共に宿の深部へと足を踏み入れました。
襲爵を巡る政治的防壁と楚瑜の鮮やかな名誉回復戦術
軍械司の防壁である「魚符」の政治的価値
大遂における魚符とは、親王や最高位の将軍のみに与えられる皇帝直属の身分証明書です。
第2話で楚瑜が指摘した通り、軍械司への潜入には皇帝の手諭かこの資格が必要。
陸七八が衛韫に襲爵を急がせたのは、合法的に機密の八角弩の図面を精査させるための唯一の手段だからです。
楚瑜が用いた「答謝宴」への名称変更という名誉回復戦術
喪中の醜聞という致命的な攻撃に対し、楚瑜が宴の目的を答謝(謝恩)に切り替えたのは見事な情報戦。
単なる権力誇示の席から「国に殉じた父兄への哀悼と感謝」の場へ変えることで、噂を流した曹衍の残党や寧国公・王靖之の企てを道徳的に封じ込めました。
胸キュンと緊張感が同居する名エピソード
今回は衛韫の犬嫌いという可愛らしい一面が描かれる一方、宮廷の陰謀が着実に進行する緩急の効いた展開でした。
馬車内での二人の微細な視線の交錯には、今後のロマンスの進展を予感させる強い引力があります。
次回の第9話では、客栈に潜入した衛韫と楚瑜が、ついに太子の衝撃の秘密を目撃。
秦王通敵案を巡る顧楚生の暗躍も絡み合い、華京を揺るがす大きな嵐が幕を開けます。
つづく

