風月経済の爆発が招いた夫婦の危機と洋行が迫る近代貿易の利権争い

第29話で描かれたように、古平原(グー・ピンユエン)は南京復興のため秦淮河を舞台にした風月経済の拡大に打って出ました。

しかし、その奇策が成功を収めた途端に、古家にはかつてない家庭内の大嵐が吹き荒れることになります。

国家の主権を脅かすイギリスの巨大な産業資本の影と、宿敵との新たな競争が幕を開ける激動の展開です。

秦淮河のスキャンダルから始まる国境なき経済戦の幕開け

青楼の感謝が生んだ誤解と常玉児が下した非情の門前払い

古平原(グー・ピンユエン)の進言通り、総督の瑞麟は20万両を投じて秦淮河の美化と貢院の修築を断行しました。

計画は大成功したものの、恩義を感じた青楼の女性たちが一斉に古家へ感謝の挨拶に訪れます。

これを目撃した妻の常玉児は激怒し、言い訳を並べる平原を力任せに床へ叩きつけました。

家から完全に追い出された平原は、身内の全員から冷たい視線を浴びて針のむしろに座らされます。

古母はあなたが官吏でなくて幸いだった。さもなくば朝廷に罪を問われる所だと厳しく説教。

しかし、事の深刻さを悟り反省した平原の姿を見て、玉児は一転して彼と共に歩む覚悟を宣言します。

李欽(リー・チン)が持ち込んだ20万両と瑞麟総督が仕掛けた甘い競争の罠

同じ頃、平遥金融戦以来のライバルである李欽(リー・チン)が、瑞麟の元へ20万両の現銀を携えて乗り込んできました。

李欽は軍の遣散費を立て替える代わりに、江南の塩田の専営権を自分に引き渡すよう要求します。

瑞麟は資金を得て喜びつつも、平原を呼び出して塩業を任せようと引き留めの工作を図りました。

宿敵の李万堂(り・ばんどう)と関わりたくない平原は拒否しますが、瑞麟の強い懇求に折れて書院の建設を引き受けます。

さらに瑞麟は、南京条約後に押し寄せる洋人との交渉を平原と李欽の二人へ同時に丸投げしました。

二人は総督が自分たちを競わせ、漁夫の利を狙っている冷徹な意図を完璧に見抜きます。

英国公使が披露した珍妮紡織機と古平原が拒絶した洋行の進出

平原と李欽は、南京での工場建設を画策するイギリス公使との直接交渉の席につきました。

公使は最新鋭の珍妮紡織機(ジェニー紡織機)を披露し、民を雇って巨大な富を生み出すと豪語します。

イギリス資本による市場独占の危機を察知した李欽は、その場で激しい抗議の声を上げました。

平原も公使の言葉に猛反論し、江南にはすでに独自の紡織や茶の産業があると利権の引き渡しを拒絶。

彼らは総督府に戻り、洋人の機械は買い取るが工場の建設は断固阻止するという防衛策を復命します。

そこへ南通で発生した大洪水による大量の災民が南京へ押し寄せ、瑞麟は急ぎ現場へ走りました。

西装を纏った李掌櫃の帰還と李万堂(り・ばんどう)が狙う三大利権の陰謀

深夜、平原が帰宅すると、第26話の密輸戦でインドへ旅立っていた老八家の李掌櫃が待っていました。

驚くべきことに、李掌櫃はきらびやかな西装(スーツ)と礼帽を身に纏い、見事な変貌を遂げています。

その珍しい姿を見た古平文や夥計たちは、物珍しさから門の隙間を覗き込んで大騒ぎを始めました。

平原が騒ぎを収めた後、李掌櫃は洋人が江南の繭の8割を強奪したという恐ろしい戦況を報告します。

さらに京師の李万堂は、塩、茶、シルクの専営権を全て独占するため四大行の掌櫃を抱き込んでいました。

焦る李欽は瑞麟に塩田を再度要求しますが、総督は難題である河堤の修復レースを二人に命じます。

南京条約後の市場防衛線と瑞麟が目論む官督商辦の過渡期

第30話で古平原がイギリス公使に対して展開した防衛戦は、清末の経済的民族主義の目覚めを表しています。

洋人が持ち込んだ珍妮紡織機は圧倒的な生産力を誇り、そのまま受け入れれば中原の産業は一瞬で崩壊します。

平原と李欽が機械は買うが工場は建てさせないとした選択は、技術のみを導入する高度な防衛策。

また、李掌櫃が西装を着用してインドから帰還した描写は、国際貿易の流動性の高まりを象徴しています。

しかし、その裏で洋商や李万堂の独占資本がシルクや薬品の利権を急速に侵食している現実。

瑞麟が二人に河堤の修復を競わせた行動は、インフラ建設の負担を商人に背負わせる官督商辦への狡猾な布石です。

洋人の脅威に立ち向かう兄弟の共闘と次なる河堤レースへの期待

家庭内での殴られ損から始まったコミカルな前半から、洋行の脅威が迫る後半への劇的なテンポの切り替えが見事でした。

かつて反目し合った平原と李欽が、大清の国土を守るためにイギリス公使の前で見事な共闘を見せる姿には胸が熱くなります。

スーツ姿の李掌櫃を家族で覗き見る微笑ましい演出が、これからの過酷な利権闘争の前の貴重な癒やし。

しかし、南通の洪水と災民の襲来により、市場の安定は再び激しく揺らぎ始めています。

次回、利権の単独支配を狙う李万堂の圧力を背に、李欽と平原が決死の堤防建設レースへと突入。

泥塗れの戦場で天才商人が放つ次なる第31話の奇跡の兵站レバレッジの行方を、プロとして全力で追いかけていきます。

南通の洪水を舞台に、古平原が李万堂の包囲網を破る次なる堤防建設の奇策を知りたいですか?

つづく