束の間の安らぎと迫りくる危機

柴小屋に身を隠して二日。追われる身の鄭知衡(てい ちこう)と崔十九(さいじゅうきゅう) は、お腹を空かせていました。知衡は大切な指輪を質に入れ、十九のためにこっそり肉まんを二つ買ってきます。目を覚ました十九は、そばに知衡の姿がないことに一瞬「まさか逃げたの!?」と不安になりますが、すぐに肉まんを手にした知衡が戻り、その優しさに心が温まるのでした。しかし、そんな束の間の安らぎも長くは続きません…。

一方、都では張晋然(ちょう・しんぜん)が鄭家が夜中に二つの駕籠を動かしたという情報を掴みます。「これは何かある…!」と直感した張晋然(ちょう・しんぜん)は、すぐさま手勢を集めようとしますが、そこへ大理寺の役人たちが!なんと、徐南英(じょなんえい)を夜中に連行しようというのです。令状をかざし「帝の思し召しだ」と主張する大理寺に対し、張晋然(ちょう・しんぜん)は「徐南英という大物を逃がすわけにはいかない!」と敢然と立ちはだかります。一触即発の状況の中、なんと皇帝陛下からの勅旨が!「張晋然の公正な捜査を支持し、徐南英をその場で審理せよ」との内容に、大理寺の役人たちもすごすごと引き下がるしかありませんでした。いやー、張晋然、ここ一番で頼りになりますね!

父の非情な罠、そして引き裂かれる愛

その頃、知衡と十九の隠れ家を突き止めたのは、あろうことか知衡の父・鄭世元(ていせいげん)でした。世元は十九を縛り上げ、知衡に「全ての罪を十九になすりつけろ。そうすればお前は鄭家の後継者だ」と非情な言葉を囁きます。しかし、十九を深く愛する知衡がそんな提案を受け入れるはずもありません。「彼女を傷つけるくらいなら…!」と、父に短刀を向け抵抗する知衡。その時、信じられない事態が!どこからか飛んできた一本の槍が、知衡の胸を無情にも貫いたのです…!

目の前で唯一の息子が血を流し倒れる姿に、さすがの世元も呆然。振り返ると、そこには黒装束の謎の人物が…。息子を手にかけたのが誰なのかを悟った(あるいは誤解した?)世元は、狂気ともいえる命令を下します。「知衡がそれほどまでに崔十九(さいじゅうきゅう) を好いたというのなら、二人まとめて葬ってしまえ!」と、茅葺小屋に火を放つよう命じたのです。なんという非道…!

炎の中の最後の愛、そして…

世元が去った後、奇跡的に息を吹き返した知衡。しかし、体はもう限界です。愛する十九を炎の中で死なせるわけにはいかない…!最後の力を振り絞り、槍を引き抜こうとしますが叶わず、体ごと引きちぎるようにして縄を断ち切り、口を塞がれていた十九に「早く逃げろ!」と叫びます。

燃え盛る炎の中、十九は知衡を支えながら必死に逃げようとします。しかし、無情にも燃え落ちる梁が二人を襲います。その瞬間、知衡は最後の力を振り絞り、十九を安全な場所へ突き飛ばしました。そして…彼は、静かに息を引き取ったのです。愛する人を守り抜いた、あまりにも悲しい最期でした…。涙なしには見られません。

残された者の苦渋と新たな企み

その後、張晋然は鄭世元を捕らえ、盗品の行方を問い詰めます。すると世元は、またしても全ての罪を亡き息子・知衡になすりつけようとします。証人として引き出された崔十九(さいじゅうきゅう) 。しかし、彼女の口から出たのは、驚くべき証言でした。「鄭世元様の仰ることは真実です…」。知衡はもういない。彼が父親の無事を願っていることを、十九は痛いほど理解していたのでしょう。なんという苦しい選択…。

屋敷に戻った鄭世元は、使用人たちを集め、大金を積んで「端午(たんご)と燕子京(えん・しけい)を殺せ」と命じますが、名乗り出る者は誰一人いませんでした。彼の怒りと復讐心は、一体どこへ向かうのでしょうか…。

つづく