崩落する洞窟と極限状態での愛の決断

第24話で偽金(私鋳銭)製造の証拠を突きつけられた黔州刺史・李璋が、密室に仕掛けた爆薬を起爆する衝撃の第25話。

崩れ落ちた洞窟の奥深くで、安郡王・蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)の致命的なトラウマである「閉所恐怖症」が発作を起こします。

死の淵で彼を救う楚楚(ソ・ソ)の命懸けの「口移し(人工呼吸)」と、ついに身分の壁を越えて二人の心が完全に結ばれる究極のロマンス。

さらに発狂した李璋が口走る「昌王の野望」と、冷月(レイ・ゲツ)の祖父・冷沛山の軍営から届いた不気味な捜査依頼が、物語を次なる死地へと導く濃密なエピソードです。

密室での死闘と狂気から漏れ出す皇位簒奪の陰謀

爆破された偽金拠点と閉所恐怖症の暴走

廃墟の磁窯(洞窟)で偽金製造の決定的な証拠を突きつけられた李璋は、あらかじめ仕掛けていた爆薬を起爆させます。

轟音と共に崩れ落ちる岩石。

混乱に乗じて逃げようとする李璋を楚楚(ソ・ソ)が追いかけ、彼女を守るために蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)もまた奥深くへと飛び込みました。

結果として三人は、光が完全に遮断された洞窟の最奥部へ閉じ込められてしまいます。

追い詰められた李璋は、証拠隠滅のために蕭瑾瑜へ殺意を向けて襲いかかりました。

しかし、検視官として培った冷静な観察力を持つ楚楚が、背後から石で李璋の頭部を強打し、見事に彼を気絶させます。

物理的な危機は去ったものの、真の恐怖はここからでした。

第5話の如帰楼の地下密室で発覚した、蕭瑾瑜の極度な「閉所恐怖症(幽閉症)」が発作を起こします。

暗闇の中で呼吸を乱し、過去の凄惨なトラウマの幻覚に囚われた蕭瑾瑜は、完全に意識を失いかけました。

命を繋ぐ口移しと、身分の壁を越えた愛の誓い

息絶えようとする蕭瑾瑜を前に、楚楚は迷うことなく己の唇を重ね、力強く息を吹き込みます(以口度気)。

医学の知識に基づく咄嗟の救命措置でしたが、その命懸けの口移しと必死の呼びかけが、幻覚の闇に沈みかけていた蕭瑾瑜を現実世界へと引き戻しました。

息を吹き返した蕭瑾瑜の腕の中で、楚楚はついに自分の本当の心と向き合います。

第23話で「逆党の遺児」という死罪の身分を恐れ、プロポーズから逃げ出してしまった彼女。

しかし死を目前にしたこの暗闇の中で、身分差という呪縛よりも蕭瑾瑜と共に生きることを選びます。

蕭瑾瑜の真摯な愛の告白を真正面から受け入れ、生死と禍福を共にすると強く誓い合いました。

無事に外部からの救出作業が完了し、地上へと戻った二人。

蕭瑾瑜が楚楚の無事を確かめ、改めて深く想いを交わす姿を、彼女の義兄である楚河が物陰から静かに見つめていました。

第17話から楚楚への恋愛感情をこじらせ暴走していた楚河でしたが、蕭瑾瑜の圧倒的な器の大きさと命懸けの愛を目の当たりにし、ついに自ら身を引くことを決意。

今後は「兄」として、愛する妹の幸せを生涯守り抜くと静かに心に誓いました。

燃え上がる刺史府と軍営で起こる悪霊殺人の謎

洞窟からの生還直後、黔州の刺史府が何者かによって放火され、全焼するという事件が発生します。

目撃情報によれば、火を放ったのは「西南節度使の兵の装束」を着た者たちでした。

救出された李璋は、楚楚の一撃と爆発の衝撃で脳に深刻なダメージを負い、完全に正気を失っていました。

しかし、狂気に陥った彼のうわ言の端々から「昌王が権力を奪い返す」「大いなる大業」という、皇位簒奪の具体的な野望が漏れ出します。

時を同じくして、西南節度使である冷沛山(冷月(レイ・ゲツ)の祖父)から蕭瑾瑜の元へ、一通の書状が届きました。

軍中で不可解な「邪祟殺人(悪霊による連続殺人)」が起きており、三法司の長である安郡王に捜査を依頼したいという内容です。

刺史府の放火と、タイミング良すぎる軍営からの招待。

冷沛山への疑念が深まる中、祖父の関与を恐れて沈み込む冷月を、景翊(ケイ・ヨク)が優しく力強い言葉で慰めます。

蕭瑾瑜は真実を突き止めるため、楚楚や冷月、景翊(ケイ・ヨク)らと共に、数万の精兵が駐屯する節度使の軍営へ直接乗り込む決断を下しました。

一方の長安では、西平公主の元に不穏な知らせが届いていました。

第23話で秦欒が目をつけた「西平公主が出産直後に解雇した奴婢」を、実際に宮中の太監たちが血眼になって探し始めているという事実。

双子の息子たちの命に関わる重大な秘密(双子出産の矛盾)を守り抜くため、西平公主は腹心の侍女・半夏に命じ、秦欒の探索を物理的に妨害・隠蔽する水面下の死闘を開始します。

独自考察・用語解説:昌王の恐怖支配と偽装された放火兵

今回、脳を損傷した李璋が口走った狂言は、昌王(薛汝成)の洗脳がいかに深く、計画が最終段階に入っているかを物語っています。

長年の間、清廉な地方官を演じながら偽金造りに手を染めていた李璋の精神は、昌王への狂信によって支えられていました。

注目すべきは、刺史府を全焼させた放火犯が「西南節度使の兵の装束」を着ていた点です。

李璋が捕まった直後に証拠隠滅を図り、しかもその罪を冷沛山の軍になすりつける偽装工作。

これは昌王が、黔州の行政を切り捨て、今度は西南の軍事力(冷沛山の軍)を丸ごと乗っ取る、あるいは朝廷と冷沛山を相打ちにさせるための毒計であると推測できます。

軍中で起きている「悪霊殺人」も、内部から冷沛山の統率を崩すための昌王の工作員による凶行である可能性が極めて高いです。

感想と次回の見どころ

閉所恐怖症で息も絶え絶えの蕭瑾瑜を救う楚楚の人工呼吸(以口度気)シーンは、本作屈指の名場面です。

身分を理由に逃げ続けていた楚楚が、極限状態の中で自分の心に素直になり、安郡王の愛をしっかりと受け止める展開には胸が熱くなりました。

身を引いた楚河の兄としての成長も素晴らしく、恋愛模様の決着がミステリーの緊迫感を全く削がない見事な脚本構成です。

舞台はついに、数万の軍勢がひしめく西南節度使の軍営へと移ります。

次回、冷月の祖父・冷沛山は敵か味方か。

軍を恐怖に陥れる「悪霊殺人」の裏に隠された物理的なトリックと、長安で双子の秘密を守る西平公主の戦い。

昌王の野望が西南の軍事力を飲み込もうとする中、安郡王たちの新たな法医学捜査から目が離せません!

つづく