狂気から漏れ出す「昌王」の野望と、西南軍営への危険な招待状

廃磁窯の爆発から一夜明け、完全に正気を失った黔州刺史・李璋の口から「昌王」の皇位簒奪計画が決定的なものとして浮かび上がります。長安への報告を保留し、数万の兵が駐屯する西南節度使の軍営へと乗り込む決意を固める安郡王・蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)。死地への同行を詫びる彼を楚楚(ソ・ソ)が熱いキスで黙らせる極甘シーンの一方、長安では許如帰の強奪事件が発生し、朝廷のパワーバランスが大きく崩れ始める第26話です。

第26話 詳細解説:暴かれた反乱軍の影と楚楚(ソ・ソ)の覚悟

狂乱の李璋と「昌王」を騙るカマかけの心理戦

昨夜、黔州刺史府を全焼させた放火犯は西南節度使の官兵でした。

都虞候の蕭瑾璃(しょう・きんり)が連れている少数の兵力では太刀打ちできない規模であり、背後に冷沛山大将軍の意思が働いているのは明白です。

蕭瑾璃(しょう・きんり)は洞窟付近で、行方不明だった李璋をようやく発見。しかし李璋は激しい爆発の衝撃で完全に発狂し、虚空に向かって「殿下」と叫びながら平伏を繰り返していました。

事態の深刻さを察知した蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)は、即座に蕭瑾璃へ命じて屋敷を厳戒態勢に置きます。

県令の鄭有徳すらも強引に退室させ、信頼できる冷月(レイ・ゲツ)と大理寺少卿・景翊(ケイ・ヨク)のみを現場に留めました。

蕭瑾瑜はあえて「昌王」を装い、威圧的な声で李璋へ話しかけます。

その声に反応した李璋は「昌王こそ正統な血脈!」と狂信的な忠誠を叫びました。

これは殺頭(斬首)の大罪に値する謀反の言葉。慌てて蕭瑾璃が李璋を気絶させます。

第22話で薛汝成が李璋に明かした昌王の謀略が、ここで蕭瑾瑜たちの推理と完全に一致しました。

長安と黔州の連絡網を遮断し、膨大な私鋳銭(偽金)を資金源として兵を集め、皇位簒奪を企む巨大な反乱軍がすでに西南に組織されている。

さらに蕭瑾瑜は、第3話で刑部尚書の馮玠が軍務視察の帰途で暗殺された事件も、この反乱軍の存在に気づいたための口封じであったと確信します。

反乱軍との全面衝突による戦火から民を守るため、景翊(ケイ・ヨク)は長安への軽率な上奏を強く反対しました。

楚楚の不意打ちキスと、身を引く義兄・楚河の決断

冷月(レイ・ゲツ)は祖父・冷沛山からの書状を蕭瑾瑜(しょう・きんゆ)に手渡します。

節度使の軍中で発狂して自殺する者が相次ぎ、「悪霊の仕業(邪祟作乱)」と恐れられているため、三法司の長である安郡王に直接調査してほしいという依頼でした。

罠であることは百も承知ですが、蕭瑾瑜は真の首謀者を暴くために自ら軍営へ乗り込む決断を下します。

蕭瑾瑜は楚家の人々を安全な場所へ避難させる手配を整えました。

しかし楚楚だけは例外です。逆党遺児の罪が晴れていない以上、彼女を安全な後方に残すわけにはいかず、危険な軍営へ同行させなければなりません。

一生守り抜くと誓いながら、過酷な運命に巻き込む不甲斐なさを詫びる蕭瑾瑜。

その唇を、楚楚が自ら塞ぎました。

言葉ではなく熱いキスで彼を安心させ、いかなる困難も共に乗り越える覚悟を伝えます。

窓の外で二人の甘い抱擁を目撃した楚河。

第17話から楚楚への恋愛感情をこじらせていた彼でしたが、二人の揺るぎない愛を目の当たりにし、ついに静かに身を引くことを決意。

蕭瑾瑜は長安の住所と三法司の令牌を楚河に渡し、いつでも妹に会いに来てほしいと家族としての敬意を示しました。

屋根の上のやけ酒と景翊の優しい慰め

一方、冷月は屋根の上で一人やけ酒を煽っていました。

祖父である冷沛山大将軍が、昌王の謀反に加担しているかもしれないという拭いきれない恐怖。

親族が国家転覆の重罪を犯すかもしれない絶望感は、逆党の娘として生きる楚楚と同じ種類の痛みでした。

隣に座った景翊は、冷月の震える肩に優しく寄り添います。

まだ証明されていない推測で悩むのは人間の常だが、最後の真実は現在の想像と全く異なるかもしれない。

景翊の温かく論理的な言葉が、冷月の張り詰めた心を少しずつ解きほぐしていきます。

長安では、景閣老もまた節度使軍営の異変を報告で知り、西南の情勢が極限の危険水域に達していることを認識していました。

長安の激震:許如帰の強奪と双子の秘密を探る秦欒

長安の皇宮では、唐宣宗が怒り狂っていました。

兵部尚書の薛汝成が黔州からの帰還途中で賊に襲撃され、護送中の重要参考人・許如帰が奪われたというのです。

大太監・秦欒は、自分の配下である神策軍の周翰が強奪を成功させたのだと思い込んでいました。

しかし、周翰が「自分たちは失敗した」と報告してきたことで顔色を失います。

同時に、西平公主は長安に不穏な空気が流れていることを察知していました。

第23話で秦欒が目をつけた、過去の双子出産時に解雇された奴婢たち。

その秘密の口封じ、あるいは探索の手が確実に伸びてきていることに気づき、西平公主は蕭家の血脈を守るための孤独な戦いを強いられます。

独自考察・用語解説:許如帰強奪の自作自演と軍営の「悪霊殺人」

薛汝成の護送陣が襲撃され、許如帰が奪われた事件。

周翰が関与していない以上、これは薛汝成(昌王)による完全な「自作自演」です。

許如帰を長安へ連れ帰り、秦欒の悪事を皇帝に暴露させるという蕭瑾瑜のプランを逆手に取り、許如帰を自身のコントロール下に置いたまま秦欒を牽制する強力なカード(手駒)として確保したのです。

また、冷沛山の軍営で発生している「悪霊殺人(発狂自殺)」。

これも昌王の工作員が軍の内部に潜入し、兵士たちに特殊な毒物や薬物を投与して発狂させている可能性が極めて高いです。

李璋が爆発の衝撃で発狂したのと同じように、脳や神経を破壊する薬物を用いて軍の指揮系統を混乱させ、冷沛山から軍事権を簒奪するための準備段階であると考えられます。

感想と次回の見どころ

楚楚からの突然の不意打ちキス!

いつも論理的で冷静な安郡王が、愛する女性の大胆な行動に言葉を失い、ただ甘く抱きしめ返すシーンは最高のご褒美でした。

そして身を引いた楚河へ令牌を渡す蕭瑾瑜の男気。恋のライバル関係を綺麗に終わらせる手腕に惚れ惚れします。

長安ではついに薛汝成が「昌王」としての本領を発揮し、自作自演で許如帰を隠匿。秦欒との化かし合いが激化しています。

次回、蕭瑾瑜たちはついに数万の兵が駐屯する西南節度使の軍営へと潜入します。

兵士たちを狂わせる「悪霊殺人」の物理的トリックとは何か。そして祖父・冷沛山は本当に反乱軍の首謀者なのか。本格的な軍営ミステリーの幕開けから一秒も目が離せません!

つづく