宿命の地へ向かう秦菀の決断と新たな怪異の幕開け
大理寺卿の娘である沈菀は、身分を偽りながらついに因縁の京城へと旅立つ切符を手にします。
道中で立ち寄った不気味な三元村の百草園で、彼女は不可解な怪異と未知の病人に遭遇することとなりました。
恋情と復讐の炎が交錯し、物語の舞台が大きく広がる転換点となる重要なエピソードです。
京城への旅立ちと奇怪なる百草園での再会
侯府の義女となった秦菀の強力な後ろ盾と嫉妬に燃える燕遅(イェン・チー)の機転
京城からやって来た秦琰の口から、忠勇侯府の長女である秦朝羽が太子妃に内定したという事実が明かされます。
秦琰の目的は秦家の娘たちを連れ帰ることであり、秦菀はこの急な招集の裏にある政治的意図を敏感に察知しました。
大理寺の白楓(バイ・フォン)から報告を受けた燕遅(イェン・チー)もまた、慶源典当行の捜査を霍知府に委ね、彼女を追って京城へ戻る決意を固めます。
旅立ちの四日前、秦菀は大長公主の元へ赴き、これまでの庇護に対する深い感謝と別れの挨拶を伝えました。
大長公主は彼女が京城の冷酷な親族に利用されることを激しく懸念し、実の家族のように彼女の身を案じます。
そこへ岳家の長男が突然彼女への求婚を仄めかしたため、焦った燕遅が割って入り、ある奇策を提案しました。
燕遅は自身の表叔の義女に秦菀を迎えることを提案し、大長公主もその場で彼女を侯府の義女として認めます。
第1話や第5話で描かれたように、秦府で辛酸を舐め尽くした彼女が、これで誰にも侮られない最高の地位を得ました。
愛する秦菀が他の男に奪われる危機を未然に防いだ燕遅は、大長公主の鋭い視線に気付かれながらも密かに笑みを浮かべます。
深夜の居室での甘い密会と二哥が遺した血を分けた情愛
出発を控えた深夜、燕遅は窓を抜けて秦菀の居室へと忍び込み、二人は秘密の逢瀬を果たしました。
慶源典当行の残務処理で出発が遅れる彼は、愛する人の身を案じて睿王府の貴重な護身の令牌を彼女に託します。
夜明けまでに駐地へ戻る体力の残っていない燕遅は、そのまま彼女の部屋の涼榻で朝まで静かに休息を取りました。
出発の朝、三夫人が娘の秦湘に対して京城の権力者に媚びを売るよう貪欲な助言を与える声が響きます。
そんな中、庶子である二哥が静かに現れ、自らが必死に貯めた全財産を秦菀の旅費として手渡そうとしました。
第6話において、秦菀が彼の秘められた奇病を偏見なく治療したことで、一族の中で最も強固な信頼の絆が結ばれていたのです。
秦菀は彼の誠意を受け取り、嫡庶の別なくあなたは私の大切な兄であると言い残して、深い情愛と共に荊州の地を離れました。
京城への長い道中、秦琰の一行は安全な水路を避け、怪異の噂が絶えない不気味な三元村の街道を進むこととなります。
村の客戦の掌櫃は、最近この地で人を喰らう妖怪が現れ、茶園が完全に荒廃してしまったという恐怖の怪談を語りました。
怪異の噂が流れる三元村の敵意と百草園で遭遇した師兄の再会
異様な警戒心を剥き出しにする村人たちに囲まれ、一行が絶体絶命の危機に陥ったその時、二人の医師が現れます。
窮地を救ったのは、薬王谷で共に修行を積んだ秦菀の師兄である孫慕卿と、その兄の孫皓月でした。
彼らはこの地で無料の診療所を開いており、秦菀たちを自身の拠点である広大な百草園へと快く招き入れます。
深夜、部屋に一人残された秦菀は、燕遅から贈られた睿王府の令牌を見つめながら彼の力強い存在を恋しく想っていました。
その頃、燕遅と白楓(バイ・フォン)もまた、彼女の旅路を追いかけるために嵐の中を不眠不休の猛スピードで猛追しています。
翌日、薬草が咲き乱れる庭園を散策していた秦菀は、閉ざされた物置小屋の窓から不気味な人間の手が突き出るのを目撃しました。
密室に閉じ込められた狂人と白非煙の寝室に漂う底知れぬ違和感
驚く彼女の前に現れた管家は、あの部屋にいるのは孫皓月が監禁して治療を行っている重度の狂人であると説明します。
秦菀は釈然としない疑念を抱きながらも、孫慕卿の案内で百草園の主である孫皓月の私室を訪ねました。
そこには彼の最愛の弟である白非珏も同席しており、一見すると穏やかな医療の聖地のように見えます。
しかし、重い心疾を患っているという孫皓月の妻、白非煙の寝室に入った瞬間、秦菀の検視官としての勘が働きます。
帳の奥に横たわる妻の姿と部屋全体の空気に、言葉にできない底知れぬ違和感が漂っていました。
孫皓月は薬を飲んで眠っているだけだと告げ、それ以上の接近を拒み、秦菀を部屋の外へと緩やかに誘導します。
三元村の妖怪伝説と百草園の密室に隠された活体解剖の謎
迷信の裏に潜む人間を検体とした禁忌の医学実験
村人たちが恐れる人を喰らう妖怪の正体は、自然界の怪異ではなく、明らかに人為的な犯罪行為の産物です。
百草園の物置に監禁されていた狂人の存在と、外界に対して異様な敵意を示す村の茶園の荒廃は深く結びついています。
孫皓月という名医の称号の裏で、新薬の開発や禁忌の医術のために生きた人間が検体として消費されている可能性は否定できません。
白非煙の異常な昏睡状態が告げる医療ミステリーの核心
秦菀が直感した白非煙の寝室の違和感は、彼女が単に病気で眠っているのではないという致命的な物証となります。
第10話の秦府埋骨事件において、彼女は毒物の正確な成分を暴き、人間の生体反応の限界を見事に看破しました。
呼吸の微弱さや部屋に漂う薬草の奇妙な調合臭から、白非煙はすでに仮死状態、あるいは別の猟奇的な処置を施されていると考えられます。
新たな猟奇の舞台への進出と深まる二人の絆
舞台が荊州の秦府から京城への道中へと移り、物語のスケールが一気に拡大した素晴らしい高密度エピソードでした。
大長公主の粋な計らいにより、秦菀が安陽侯府の義女という無敵の身分を手に入れた瞬間は最高の爽快感です。
何より、彼女の寝所で涼榻に横たわる燕遅の不器用な優しさと、二人の間で育まれる静かな愛の契約に胸が熱くなります。
しかし、立ち寄った百草園に漂う空気は、これまでの事件以上に猟奇的で背筋が凍るような恐怖に満ちていました。
あの物置から伸びた血の気の失せた手と、名医が頑なに隠そうとする病床の妻の本当の姿。
次回、嵐を突いて駆けつける燕遅の黒甲衛と共に、秦菀の鋭いメスが百草園に隠された最悪の医学の禁忌を解剖します!
つづく


