ストーリー
朝鮮王朝時代の宮廷を舞台に、鬼神伝説と政治権謀が複雑に絡み合うファンタジー時代劇『鬼宮』。物語は、巫女のヨリ(キム・ジヨン)と、検書官ユン・ガプ(ユク・ソンジェ)に憑依した螭龍(ちりゅう/伝説の龍)のカンチョリを中心に展開する。二人は、王宮に巣食う恐ろしい八尺鬼(はっしゃくき)に立ち向かうため、否応なく協力関係を結ぶことになる。
本作は「死体復活」や「龍の人体憑依」といった斬新な設定で、従来のファンタジードラマの枠を超えた物語を紡ぎ出す。特に、螭龍カンチョリがユン・ガプの体を借りて巫女ヨリと交流する場面は、不気味でありながらもどこかコミカルで、観る者を惹きつける。
物語の主軸には、三重の葛藤が描かれる。
一つ目は、ヨリとカンチョリの共生関係。ヨリはカンチョリの強大な力を借りて悪鬼を祓おうとするが、同時に彼が自分を利用して天に昇ろうとする企みにも警戒しなければならない。
二つ目は、宮廷内で悪鬼に取り憑かれた王子が大臣たちを次々と惨殺する事件。これは王室内部の血なまぐさい権力闘争の闇を浮き彫りにする。
三つ目は、螭龍と八尺鬼の千年にわたる因縁。この長きにわたる怨念が、次第に巫女の一族に隠された宿命的な悲劇へと繋がっていく。
監督は、水墨画を思わせる特殊効果や不気味な色彩を巧みに用いることで、作品全体の妖しい雰囲気を際立たせている。焦点がぼやけた鬼魂の描写や、白骨が散らばる森の風景など、独特の映像美も本作の見どころの一つだ。
物語は「各話に小さなクライマックスがあり、3話ごとに大きなドンデン返しが待っている」というスリリングなテンポで進行する。例えば、第5話ではヨリの祖母が遺した呪符によってカンチョリの力を一時的に抑え込むことに成功するが、それがかえって王宮に新たな危機を招いてしまうという展開が描かれる。
現在、視聴率はトップを走り続けており、型破りな「幽霊界の恋愛模様」と骨太な「宮廷闘争ドラマ」の融合が、視聴者から「ファンタジー版『琅琊榜(ろうやぼう)』」と絶賛されている。