昏睡の彭城王を救うための決死の生薬捜索と王府を襲う新たな弾劾の嵐
大婚の夜の惨劇を潜り抜けた沈驪歌(しんりか)が、劇毒に侵された彭城王を救うため自らの誇りを捨てて奔走します。
宿敵の包獄網が狭まる中、すべてを察知した義妹の沈楽清が王府の奥深くで再び牙を剥くことになりました。
正体を知った恋人たちの過酷な運命と、朝廷での熾烈な権力闘争が火花を散らす緊迫の第23話です。
策略と情愛が交錯する王府内外の緊迫した人間模様
定情の玉佩が阻んだ刃と馬車内で明かされた彭城王の真実の愛
前話の陸府での緊迫した足止め劇を終え、彭城王(劉義康(りゅうぎこう))は毒の浸食に耐えながら何とか帰路につきます。
護衛の許詹(きょせん)の機転により、救出された沈驪歌(しんりか)はあらかじめ馬車へと身を隠していました。
宿敵の目を欺き建康の街を進む車内で、ようやく二人の隠密の時間が訪れます。
劉義康(りゅうぎこう)は衰弱した身体で、愛しい侠女との再会を果たした奇跡の喜びを熱く語り始めました。
第11話や第16話で描かれたように、彼は全城を捜索し天灯を放って彼女の無事を祈り続けていたのです。
さらに、第7話の船倉で交換した定情の玉佩が、大婚の刃から自分の命を救ってくれたと告げます。
その告白を聞いた沈驪歌は胸を打たれると同時に、玉佩に付着した漆黒の血に凍りつきました。
第21話で師父の徐臨が仕込んだ劇毒である千絲引が、最愛の男の肉体を確実に蝕んでいると確信します。
劉義康はその場で意識を失い昏睡状態に陥り、沈驪歌は馬車を急遽参玖堂へと向かわせました。
師父の裏切りを知った陳少巽の覚醒と誇りを捨てて跪く驪妃の涙
参玖堂で意識を取り戻した陳少巽は、妹分の沈驪歌が陸遠(りくえん)の手に落ちたと考え激しく動揺します。
しかし、師父の徐臨は暗殺任務の成否のみを問い、愛弟子の救出を冷酷に拒絶しました。
そこへ弟子の空城(コンチョン)が現れ、落花舗に朱雀盟の夜光粉が撒かれていた事実を告発します。
この物証により、前話の落花舗の戦いで沈驪歌を陸遠(りくえん)に売り渡した内通者が徐臨本人だと証明されました。
徐臨は郊外の闇の中で、第21話から暗躍する黒衣の黒幕である王公と密会を重ねています。
師父の底知れぬ冷酷さに失望した陳少巽ですが、彭城王の治療には依然として強い躊躇いを抱いていました。
その頑なな心を動かしたのが、かつて誇り高く生きてきた沈驪歌の涙ながらの嘆願でした。
彼女は愛する人の命を救うため、朱雀盟の教えに初めて疑問を呈し、床に膝をついて激しく号泣します。
かつて剣を突きつけられても屈しなかった刺客が、一国の王の救命のためにすべてを投げ出しました。
仁寿閣の闇で牙を研ぐ沈楽清の密告と実母が拒んだ沉香の嘘
劉義康の脈を診た陳少巽は、この奇毒を制するには二日以内に白虎の虎胆と天竺沉香が必要だと断定します。
期日を過ぎれば、いかなる聖薬を用いても彭城王の命を救うことは不可能な絶体絶命の局面でした。
急報を受けた竟陵王の劉義宣(りゅうぎせん)は、即座に三宝を伴って王府の薬室へと潜入します。
しかし、この動きを暗闇から冷酷に見つめる一対の鋭い眼光がありました。
第20話の肉包の罠によって孫太妃の仁寿閣へと潜り込んでいた、最悪の義妹・沈楽清です。
彼女は王弟たちの不審な生薬捜索から彭城王の重体を確信し、太妃の信頼を得るため即座に密告を行いました。
薬室に虎胆はなく、劉義宣(りゅうぎせん)は実母の孫太妃が所有する天竺沉香を求めて仁寿閣の門を叩きます。
しかし、陸遠(りくえん)の息がかかった太妃は「沉香はすべて使い切った」と冷酷な嘘をつき、我が子の要求を拒絶しました。
三宝が用意した他の貴重な薬材で一時的に毒発を遅らせる中、沈驪歌は劉義宣へ自らの素性のすべてを白状します。
朝の敬茶に隠された太妃の嫌がらせと新政を阻む宿敵の弾劾の嵐
夜明けが近づく中、三宝は新妃としての最も重要な宮廷儀礼である朝の敬茶の時間が迫っていると告げます。
第15話で孫太妃が提案した礼教習熟の掟に従い、沈驪歌は急ぎ王府へ戻り身なりを整えました。
仁寿閣の堂前に立った彼女は、太妃からの陰湿な嫌がらせの数々を、見事な機知によって完璧にかわします。
同じ頃、朝廷では劉義康が起草した新政要略を学子たちの前で発布する、運命の時刻を迎えていました。
主君の昏睡を隠匿するため、劉義宣は急遽王印を預かり、摂政として臨時の朝堂に立ちます。
彼は、沈廷章を鎮北将軍へ昇進させ、平民の学子を登用する士林堂の設立と給事黄門侍郎の方清の任命を宣言しました。
しかし、上朝の前に陸遠(りくえん)から大婚の夜の刺客事件を聞かされていた中書令の謝灝が、激しく立ち塞がります。
陸遠と謝灝は完璧な共謀の陣を組み、彭城王の不在を「妖妃に惑わされた怠政」だと激しく弾劾し始めました。
朝廷の臣下たちが不穏に騒ぎ出す中、劉義宣は兄の新政を守るため、孤独な防戦を強いられることになります。
千絲引の毒性と徐臨が仕掛けた王室包囲網の政治的意図
聖薬の調合を阻む希少な生薬の相克作用と太妃の拒絶
第23話の核心となった千絲引の毒は、徐臨が王室と沈家を同時に破滅させるために選んだ最凶の凶器です。
第21話で短剣に塗布されたこの劇毒は、解薬の調合に必要な二つの希少な生薬を揃えねばなりません。
陸遠の一派である孫太妃が沉香の引き渡しを拒んだ背景には、彭城王の死によって一族の権力を復活させる明確な意図があります。
復讐劇を完成させるための時間差の罠と背後の黒幕
また、徐臨が落花舗に夜光粉を撒いて沈驪歌を捕らえさせた行動は、朱雀盟の復讐劇を完成させるための時間差の罠。
刺客の身元が沈家の長女だと朝廷に露呈すれば、沈廷章らは一挙に欺君の罪で極刑に処されます。
徐臨が黒衣の王公の指示の元で動いている事実も含め、この暗殺計画は劉宋の国家体制そのものを根底から転覆させるための巨大なチェス盤なのです。
誇りを捨てて跪いた驪妃の愛と、昏睡の王を狙う沈楽清の次なる毒牙!
愛する彭城王を救うため、かつての冷酷な刺客としてのプライドをすべて捨てて陳少巽の前に跪いた沈驪歌の涙に胸が締め付けられました。
お互いの正体を知ったからこそ、定情の玉佩がもたらした残酷な運命の悪戯がより一層の切なさとして際立ちます。
朝廷での陸遠らの激しい弾劾を、孤独な摂政となった劉義宣がどう凌ぎ切るのか息を呑む展開でした。
次回の第24話では、制限時間の二日を前に、絶体絶命の虎胆捜索戦が本格的に幕を開けます。
劉義康の昏睡という決定的な情報を握った沈楽清が、太妃を動かして王府内でどのような凄絶な追撃を仕掛けてくるのか。
新政の崩壊を阻止するため、沈驪歌が仕掛ける次なる命がけの隠密作戦の行方を、手に汗握る緊張感とともに次号で見届けましょう。
つづく

