潜入戦の裏で蠢く劇毒の陰謀と宿敵の非情な決断

第8話で陸遠(りくえん)が仕込んだ劇毒の玉釧により、ヒロインの沈驪歌(しんりか)が最大の危機を迎える第9話。

棲霞山の秘密鋳坊を巡る彭城王の作戦と、義妹の底なしの裏切りが交錯します。

毒が心脈に達した沈驪歌(しんりか)の運命、そして足止めされた劉義康(りゅうぎこう)の決断から目が離せません。

棲霞山を舞台に巻き起こる血塗られた崩落劇

偽りの和解と彭城王への辛辣な評価

沈夫人は沈楽清の不遇な生い立ちを哀れみ、過去の過ちを水に流そうとします。

楽清の父親が沈廷章の戦友であり、戦場で命を落としたことへの強い罪悪感がありました。

母親の優しい心根を知る沈驪歌は、その想いを汲んでひとまず休戦を受け入れます。

沈驪歌にとって、今は家内の争いよりも秘密鋳坊の捜索が最優先でした。

その頃、変装した劉義康(りゅうぎこう)は玄鉄の製造に使われる水源の調査を進めています。

過去の職人たちの不審死は、製鉄の過程で水に混ざる奇毒が原因だと突き止めました。

沈驪歌はこの毒水を告発すれば、陸遠(りくえん)の謀叛は言い逃れできないと考えます。

彼女は「あの彭城王という男でも、陸遠(りくえん)を庇いきれない」と冷酷に吐き捨てました。

目の前で自分を昏聵無徳と痛烈に罵られた劉義康は、思わず言葉を失います。

己の評判の悪さを自覚した王は、複雑な表情で自己嫌悪に陥りました。

しかし沈驪歌が霍雲の元へ向かおうとすると、劉義康はその手を優しく引き留めます。

予期せぬ優しい抱擁のような温もりに触れ、沈驪歌の胸には微かな鼓動が響きました。

棲霞山包囲網の結成と恋人たちの不変の誓い

劉義康は安北将軍府を訪れ、陸遠(りくえん)が証拠を隠滅する前に包囲する策を練ります。

側近の沈植は、正規軍を動かせば陸遠に察知される危険性があると指摘しました。

そこで沈家は、王の命令に従って自らの私兵を惜しみなく提供することに同意します。

劉義康が将軍府を去る瞬間、王子衿(おうしきん)が親友の沈驪歌を訪ねてやってきました。

運命の二人はここでもすれ違い、互いの素性を知る機会をまたしても失います。

その後、王子衿(おうしきん)は想い人である沈植に対して、自分の不変の愛を堂々と告げました。

「あなた以外の誰にも嫁がない」という言葉に、沈植は歓喜に震えます。

彼は陸遠の捕縛作戦が終われば、必ず盛大な婚礼を挙げると約束しました。

一方の竟陵王・劉義宣(りゅうぎせん)も、兄を支えるため独自の兵力動員を決意します。

側近の季恕は、無断での調兵は国家への逆謀と見なされると必死に諫めました。

沈家が彭城王の強力な盾となった今、王弟が危険を冒す必要はありません。

しかし劉義宣(りゅうぎせん)の陸遠排斥にかける意志は固く、忠告を退けて出陣します。

沈楽清の恐るべき密告と王府の毒殺未遂

柴房から解放された沈楽清は、密かに宿敵である陸遠と接触していました。

彼女は沈植が私兵を集めている事実を流し、沈家を破滅させる計画を提案します。

陸遠が沈驪歌を誘拐したという偽の手紙を作り、父の沈廷章を誘き出しました。

棲霞山で沈氏父子を一網打尽にするという、あまりにも冷酷な罠が仕掛けられます。

さらに陸遠は、劉義宣の無断調兵を逆手に取って孫太妃を激しく脅迫しました。

我が子の危機を恐れた孫太妃は、陸遠の要求通り劉義康の足止めに協力します。

作戦当日、孫太妃は正室の謝韞之の食事に劇薬の洋地黄を混入させました。

何も知らない王妃は激しく血を吐き、王府内は大パニックに陥ります。

愛する妻の急変を前に、劉義康は棲霞山へ向かう足を完全に止められました。

崩落する秘密鋳坊と劇毒に倒れる刺客

棲霞山の秘密鋳坊では、期限が迫る中で玄鉄の鍛造が大幅に遅れていました。

焦った陸遠の兵が職人を殴打したことで、現場では激しい暴動が巻き起こります。

陸遠は証拠隠滅のため、その場にいた工匠たちを全員皆殺しにする決断を下しました。

沈驪歌と劉義宣が鋳坊の入口を突き止めた時、中には生存者はいませんでした。

激しい戦闘が始まり、義賊の霍雲も兵を率いて加勢に駆けつけます。

沈驪歌は激しい怒りとともに、剣を抜いて陸遠の首を狙い突撃しました。

しかしその瞬間、第8話で手首へ嵌められた玉釧の毒が牙を剥きます。

陸遠が事前に仕込んだ恐ろしい劇毒が、ついに心脈へと達してしまいました。

意識が朦朧となった沈驪歌は本来の力を出せず、陸遠に蹴り倒されてしまいます。

陸遠は不敵な笑みを浮かべ、鉄鎖を引いて内部の溶岩を大爆発させました。

崩落する洞窟の危機から、劉義宣が間一発で沈驪歌の身体を救い出します。

足止めされていた劉義康は、三宝に身代わりを立てて棲霞山へ急行しました。

漢方の劇薬「洋地黄」の恐怖と沈楽清が完成させた二重の謀略

孫太妃が謝韞之の暗殺未遂に用いた洋地黄(ジギタリス)は、強力な強心作用を持つ漢方です。

適量であれば薬となりますが、過剰に投与すれば心不全を引き起こして確実に死に至る劇物となります。

陸遠は王弟の無断調兵という弱みを握ることで、太妃を自らの冷酷な駒として完璧に動かしました。

また、沈楽清が主導した沈家への復讐劇は、実の父親の戦死という過去の因縁が歪んだ結果です。

恩人であるはずの沈廷章を偽の手紙で誘き出す執念は、彼女の精神的な闇の深さを物語っています。

陸遠の武力と沈楽清の奸計が合致したことで、安北将軍府はかつてない絶体絶命の危機に直面しました。

劇毒に蝕まれる美しき刺客と正体が明かされる緊迫の次号

劇毒に侵されながらも陸遠に立ち向かう沈驪歌の、悲壮な戦いぶりに胸が締め付けられました。

自分のすぐ近くにいる「侠女」こそが、狙われている沈家の長女だと劉義康が知る瞬間が近づいています。

溶岩が噴出する洞窟から救出された彼女が、この絶望的な状況からどう生き延びるのか予測できません。

次回の第10話では、棲霞山に到着した劉義康が、ついに沈驪歌の危機に直面することになるでしょう。

沈楽清の罠に落ちた沈廷章の行方と、王妃の毒殺未遂の真犯人の追及からも目が離せません。

二人の正体が白日の下に晒される運命の瞬間を、息を呑むような緊張感とともに次号で迎えましょう。

つづく