鬼市を血に染める顔剥ぎの惨劇と新たな宮廷転覆の陰謀
長安の闇を内包する鬼市で、顔の皮膚を無残に剥ぎ取られた凄惨な女性の遺体が発見されます。
この猟奇殺人を機に、事件は宮廷の過去の記憶と、仏寺に隠された暗黒の流言へと繋がっていきました。
蘇無名(スー・ウーミン)の冷静な検死と、盧凌風(ルー・リンフォン)の怒りの一撃が、長安を揺るがす巨大な怪異の核心へと迫ります。
剥ぎ取られた顔皮と少年の決死の誓い
絶望に暮れる母親と身を挺して守った薛環(シュエ・ホァン)
鬼市の冷たい石床に横たわる遺体は、見るも無残に顔皮を剥ぎ取られていました。
悲報を聞き付けた母親の赤英は、衣類の装飾からそれが愛娘の舞陽であると確信します。
狂乱した彼女は石柱に頭をぶつけて自害しようとしますが、それを遮ったのは若き武官でした。
盧凌風(ルー・リンフォン)の弟子である薛環(シュエ・ホァン)が身を挺して柱との間に割り込み、背中で衝撃を受け止めます。
激しい衝撃で血を吐きながらも、少年は必ず真犯人を捕らえると赤英に強く誓いました。
蘇無名(スー・ウーミン)は赤英の心を優しく諭し、裴喜君(ペイ・シージュン)と褚櫻桃(チュ・インタオ)が寄り添うことで、更なる悲劇を食い止めます。
黄泉酒庄での大立ち回りと百変郎君の足跡
傷の癒えた薛環を伴い、盧凌風は再び百変郎君の行方を追って鬼市へと潜入しました。
不気味な黄色の灯籠が揺れる黄泉酒庄に突入した二人は、わざと乱暴に机をひっくり返します。
店主である閻王追を引きずり出し、周囲を護衛していた女装の曲者たちを瞬く間に制圧しました。
大将軍の風格を見せる盧凌風の威圧に屈し、閻王追は将功贖罪のために捜査への協力を誓います。
第2話で描かれたように、劉十七の頭部を買い取って顔面移植を企てていた百変郎君。
その邪悪な陰陽商人が、長安の地下深くにある別の隠れ家に潜伏しているとの情報を掴んだのです。
白薬師の茅葺き小屋に響く怪鳥の啼き声
同じ頃、蘇無名と費鶏師(フェイ・ジーシー)は、別の線索を追って鬼市の僻地にある茅葺き小屋を訪れていました。
第4話で終南山を騒がせた烏焰鳥の怪異を彷彿とさせる、「夜行遊女」の不気味な鳴き声が響きます。
室内にいた白薬師に話しかけた蘇無名は、その微細な仕草から彼の正体を見破りました。
眼前にいる老人こそ、捜索中だった百変郎君が化けた偽りの姿だったのです。
しかし、相手は瞬時に毒煙を巻き散らし、二人の名探偵は身動きを封じられてしまいました。
床に縛り付けられた蘇無名に対し、悪魔のような男は鋭利な刃をかざして顔を剥ごうとします。
暴かれた身代わり殺人と江底に沈んだ空の木籠
死を前にした蘇無名は、冷静に舞陽の殺害について百変郎君を問い詰めました。
男は笑い飛ばし、天後に酷似した顔を持つ舞陽を拉致したが、何者かに背後から奪われたと告白します。
怒った彼は、官府を攪乱するために似た年齢の別の哀れな少女を殺害し、顔を剥いだのでした。
百変郎君が刃を突き立てようとした瞬間、蘇無名は必死の力で相手を蹴り飛ばします。
よろめいた悪徒は壁際の破甲錐に頭を強打し、その場で頭から血を流して絶命しました。
駆けつけた盧凌風たちと共に、一行は大牢の李奉節を尋問し、舞陽が木籠に閉じ込められ江に沈められたと知ります。
しかし、盧凌風が冷たい江底に潜って引き揚げたのは、鋭利な刃物で紐を切られた空の木籠でした。
舞陽が何者かによって救出され、未だ生存している可能性に、名探偵たちの瞳に希望が宿ります。
流言が飛び交う長安城内で、長公主は女子が朝政に関わることの過酷さを静かに噛み締めていました。
独自考察:天後の幻影と成佛寺に蠢く妖魔の噂
今回の事件で最も恐ろしいエンティティは、死亡した百変郎君が口にした「天後に酷似した顔」という要素です。
第2話から続く宮廷の動揺を背景に、長安では天後の存在そのものが、未だに人々の心を縛る強烈な呪縛となっています。
京兆尹の杜銘が蘇無名に早期の結案を迫る背景には、これ以上朝廷の過去の闇が暴かれるのを恐れる政治的意図がありました。
さらに浮上した新たな流言は、美男子の沈玉が天後の寵愛ではなく、広笑方丈が密かに飼う妖人だという説です。
高名な画師である秦孝白が描いた成佛寺の壁画が妖魔で満ちているのは、彼が中邪(邪気に当てられた)したためだと言われています。
広笑自身がこの精神的圧力に耐えかねて絶食を始めた事態は、仏教界を巻き込んだ新たなる大規模な宮廷陰謀の幕開けを告げています。
怨念の壁画が呼び寄せる次なる怪異の足音
百変郎君という長安の癌が自滅に近い形で幕を閉じた瞬間には、因果応報の強烈なカタルシスを覚えました。
身を挺して母親を守り、重傷を負いながらも気高く笑った薛環の成長には、プロのライターとしても胸が熱くなります。
しかし、舞陽を江底の籠から救い出し、現在も連れ去っている「第三の勢力」の正体は未だ霧の中です。
事件の舞台は、呪われた壁画が眠る成佛寺へと急速にシフトしていきます。
絶食を始めた広笑方丈の真意と、秦孝白の絵筆が描き出した地獄絵図の謎。
次回、蘇無名と盧凌風が寺の門を叩くとき、大唐の根幹を揺るがす恐るべき仏罰の正体が暴かれるはずです。
暗闇から見つめる新たな敵の眼光から、一瞬たりとも目が離せません。
つづく

