偽りの死体から暴かれる真実と少女が胸に秘めた切なる願い
成佛寺を巡る凄惨な怪異事件は、ついに美少女・舞陽の生存という奇跡的な転換点を迎えます。
発見された女屍の偽装を見破った蘇無名(スー・ウーミン)と盧凌風(ルー・リンフォン)の知略により、事件は意外な結末へと動き出しました。
毒親の支配から逃れようとした少女の狂言誘拐が、朝廷を揺るがす本物の悪党たちを引き寄せてしまった悲劇の真相が明かされます。
偽装された女屍と郊外の馬車で明かされた愛の逃避行
梅花の烙印が証明した生存と仕掛けられた罠
百変郎君が死亡し捜査が混迷する中、蘇無名(スー・ウーミン)は再び遺体の検証を行う決意を固めます。
同じ頃、裴喜君(ペイ・シージュン)(ペイ・シージュン)と褚櫻桃(チュ・インタオ)(チュー・インタオ)の二人は、独自に鬼市で発見された女屍の調査を進めていました。
遺体の腕を細かく観察した喜君は、そこに舞陽(ブヨウ)にあるはずの梅花の烙印がないことを発見します。
呼び出された母・赤英(チー・イン)は、幼い頃に舞陽が誘拐されかけたため、目印として自ら娘の腕に梅花の印を焼き付けたと涙ながらに告白しました。
第9話のラストで絶望に包まれた公堂は一転し、舞陽が今もどこかで生きているという確信に包まれます。
一行は隠れている舞陽を誘い出すため、赤英に捜索を諦めて高調に店を再開したように見せかける偽装工作を命じました。
灰除けの青年アムクの正体と語られる哀しき身世
赤英の店へ手伝いの阿木(アムク)が別れの挨拶に訪れ、故郷の寒州へ戻ると告げて去っていきます。
しかし、阿木が御す馬車が長安の郊外へと差し掛かったとき、その行く手を盧凌風(ルー・リンフォン)の一行が完全に塞いでいました。
観念して馬車の帳を上げたのは、他ならぬ生存していた舞陽その人だったのです。
舞陽は喜君と櫻桃の信頼を利用し、失踪を偽装して母の過酷な支配から逃れようとしたことを謝罪しました。
実は、舞陽と阿木は密かに愛し合っており、長安からの駆け落ちを以前から計画していたのです。
阿木はただの除灰夫ではなく、かつて九品の清廉な官吏であった父親を酷吏の罠で冤罪に追い込まれた落魄の孤児という隠された身世を持っていました。
【舞陽の狂言誘拐が引き寄せた真凶たちの連鎖】
舞陽と阿木の逃避行計画(狂言誘拐)
├── 沈玉(沈空居士):武后の生まれ変わりとして大仏殿に監禁(第9話)
├── 李奉節(陶伯):前朝の怨念から金簡を用いて殺害を企図(第9話)
└── 百変郎君:美しい皮膜(容貌)を奪うため執拗に追跡(第3話)
悪党たちの連鎖を呼んだ狂言劇の真相と司法参軍の恩赦
二人の純粋な計画は、第3話で人皮面具を狙った百変郎君、第9話で武后の面影を追った沈玉や李奉節という本物の悪党たちを次々と引き寄せてしまいました。
百変郎君が別の少女を殺害する現場を目撃した舞陽は、自らの衣類を遺体に着せ替えて自らの死を偽装したのです。
さらに阿木を使って百変郎君の居場所を蘇無名に密告させ、官府の手で悪党を合法的に処刑させるよう仕向けていました。
盧凌風は、大唐律法において人口の略誘や隠蔽は重罪であると、司法参軍(刑獄を司る官職)としての厳しい態度で阿木を叱責します。
しかし、必死に許しを請う舞陽や喜君たちの涙ながらの懇願、そして費鶏師(フェイ・ジーシー)が贈った改良版玉女粉の処方箋に免じ、盧凌風は法を厳守しつつも人情による恩赦を下しました。
二人の供述を正式な書類に画押(署名)させ、寒州の司法参軍である馬蒙の元へ出頭するよう命じることで、実質的な釈放の道を開いたのです。
前朝の酷吏政治が残した爪痕と長公主が放つ新たな刺客
酷吏政治の遺児たちと母娘の和解
阿木の父親を死に追いやった酷吏とは、前朝の武則天の時代に告密制度を利用して数多くの官僚を粛清した来俊臣らの恐怖政治を指しています。
第9話で描かれた長孫無忌の冤罪の歴史と同様に、今回の事件の底流には前朝の歪んだ政治がもたらした市井の悲劇が横たわっていました。
しかし、愛娘の生存を知った赤英は憑き物が落ちたように穏やかな表情を取り戻し、すべての店を閉めて寒州へ娘を追う決意を固めます。
蘇無名が語った千山万水を越えて、より良き人になれという言葉は、狄仁傑の弟子としての深い慈悲の精神を体現していました。
長安という権力の魔都から離れ、広大な大唐の山河へと旅立つ恋人たちと、それを追う母親。
無骨ながらも愛馬を贈って彼らの道中を祝福した盧凌風の行動は、かつての冷酷な金吾衛から民に寄り添う名判官へと成長した証です。
長公主の邸宅で動く新たな権力への布石
一方、長安の朝廷では早くも次なる権力闘争の火蓋が切って落とされていました。
街頭で理案(裁判)を続ける盧凌風の姿を、崔相の推薦を受けた謎の青年・李奈児(リ・ナイジ)が冷たい視線で見つめています。
その存在に気づいた右金吾衛大将軍の陸仝(リク・トウ)との間には、一瞬にして緊迫した空気が流れました。
長公主は李奈児を行宮へと呼び寄せ、盧凌風の動向を報告させると、彼に五品の典軍の職と金魚袋を授けます。
これは将来的に、第5話で陸仝が守り抜いた金吾衛大将軍の地位を李奈児に挿げ替えるための長公主の周到な布石です。
成佛寺の怪異が解決した直後、早くも宮廷の闇は二人の名探偵を巻き込む巨大な政変の渦を用意していました。
美しき大団円の裏で蠢く長安の新たな危機(感想と見どころ)
前朝の怨念に狂わされた沈玉たちの事件から、これほど温かく救いのある結末へと着地した脚本の見事さに深く感動しました。
腕の烙印という喜君の鋭い観察眼が、絶望の淵にいた母親を救い出し、若き恋人たちの未来を切り開く展開は最高にカタルシスが溢れています。
費鶏師(フェイ・ジーシー)がちゃっかり葫芦鶏(長安名物の鶏料理)に釣られて捜査への同行を承諾するコミカルなシーンも、張り詰めた物語の素晴らしい清涼剤でした。
しかし、ラストシーンで登場した李奈児という男の存在が、今後の長安に不穏な嵐を予感させます。
次回、司法参軍となった盧凌風と刑獄博士の蘇無名が街頭で直面する、さらに不可解で奇怪な公案とは何なのでしょうか。
長公主の新たな野望が牙を剥くなか、二人の名探偵が挑む次なる事件から一瞬たりとも目が離せません。
つづく

