暴雨の雨師廟から始まる愛憎劇と青龍坊を揺るがす奇妙な殺人
雹混じりの豪雨が長安を襲う中、琵琶奏者の紅薬と商人たちの運命が狂い始めます。
夫の孟不疑が抱く猜疑心と、鬼市の暗殺者が絡み合う複雑な愛憎のミステリー。
愛と裏切りが交錯する長安の夜に、蘇無名(スー・ウーミン)と盧凌風(ルー・リンフォン)の鋭いメスが隠された真実を切り裂きます。
宣紙に隠された不貞の疑惑と切り裂かれた羊湯店主の命
雨師廟の秘密の逢瀬と白髪の少年への殺人の教唆
激しい雹が降り注ぐ中、雨師廟へと逃げ込んだ琵琶奏者の紅薬(こうやく)。
そこへ彼女との私通を隠れて楽しむ商人の銭正(せんせい)が現れ、密会が始まります。
しかし紅薬は冷淡に拒絶し、冷たい雨の中を一人で立ち去ってしまいました。
自宅に戻った紅薬を待っていたのは、白髪の少年である阿醤(あしょう)です。
彼は泥棒ではないと弁明し、紅薬から一枚の銀铤(銀塊)を受け取ります。
それは、羊湯店の店主である張三を暗殺せよという、恐ろしい密命の報酬でした。
探子老猫の正体と鬼市に響く不穏な暗殺の足音
不貞の証拠を掴むため、銭正は情報屋の老猫へ調査を依頼しました。
しかし、その老猫の正体こそ紅薬の夫である孟不疑(もうふぎ)だったのです。
妻の裏切りを確信した彼は、同臣の顔君羡(がんくんせん)と遭遇した後、鬼市へと向かいました。
その頃、大繁盛する六合酥山店で手伝いをしていた蘇無名(スー・ウーミン)(スー・ウーミン)。
そこへ右金吾衛の使者から、青龍坊で起きた変死事件の検死を緊急要請されます。
被害者は、紅薬が命を狙っていたはずの無頼漢、張三(ちょうさん)でした。
泥酔の無頼漢を襲ったハサミの刃と阿醤の衝撃的な供述
現場へ急行した蘇無名と盧凌風(ルー・リンフォン)(ルー・リンフォン)は、頸部を細い刃物で刺された死体を確認します。
宿舎のベッドに残された白髪から、蘇無名は野次馬の中にいたあの白髪の少年を思い出しました。
捕縛された阿醤は、紅薬から張三殺害を依頼されたものの、返り討ちに遭ったと衝撃の告白を始めます。
阿醤の目撃談によれば、張三は孟家の財産を盗むために夜中に侵入したとのこと。
さらに、孟不疑が壁を越えて侵入し、宣紙(せんし)の巻物を奪って去る姿を目撃していました。
その直後、紅薬と顔君羡が部屋から逃げ出し、再び戻った紅薬が張三をハサミで刺したというのです。
鬼市での値段交渉の決裂と危機一髪の薛環(シュエ・ホァン)の救出劇
妻の行方が分からなくなり、焦燥を募らせた孟不疑は、再び鬼市へと足を踏み入れます。
彼は伝説の殺手である虎神通(こしんつう)を雇い、誰かを抹殺しようと企んでいました。
第10話で描かれたように、鬼市は百変郎君のような悪徒が巣食う、極めて危険な無法地帯です。
お目当ての殺手が不在のため、孟不疑は別の暗殺者と交渉を始めますが、価格の面で激しく衝突します。
殺意を抱いた暗殺者の刃が彼に迫ったその瞬間、盧凌風の弟子である薛環(シュエ・ホァン)(シュエ・ホァン)が鮮やかに介入しました。
命を救われた孟不疑は、混乱に乗じていずこかへと逃げ去ってしまいます。
志怪小説に隠されたカモフラージュと唐代の紙貿易の経済的背景
今回、孟不疑がアリバイ作りのために主張した揚州六合紙の購入という言い訳は非常に巧妙です。
当時、揚州で生産される高級な宣紙は、文人たちの間で非常に高値で取引されていました。
彼は志怪小説の執筆を隠れ蓑にしつつ、実際には妻の浮気相手や脅迫者を抹殺する計画を進めていたと考えられます。
阿醤の供述にあった、死体に傷がなかったという点は、非常に重要な医学的トリックを暗示しています。
張三はハサミで刺される前に、すでに別の方法、例えば薬物や毒物によって命を奪われていた可能性があります。
顔君羡が太医丞という医療の最高峰に位置する官職である事実は、この事件がただの不倫劇ではないことを示していました。
崩れゆく文人のプライドと次なる法廷で明かされる真実の殺人者
愛する妻の裏切りを知った文人の歪んだプライドが、長安の闇をさらに深くしていく展開に鳥肌が立ちました。
一見すると被害者のように振る舞う孟不疑の裏の顔が、少しずつ剥がされていく構成は実に見事です。
特に、顔君羡という朝廷の医師がこの愛憎劇にどう関わっているのか、疑惑は深まるばかり。
次回、逃亡した孟不疑の行方と、行方不明の紅薬が秘匿している本物の遺言が明らかになります。
蘇無名が暴く、ハサミの傷の前に仕組まれた本当の死因。
長安の雨がすべてを洗い流す前に、二人の名探偵が導き出す審判の結末から目が離せません。
つづく


